【編集長の視点】ソラストは続落も2Q上ぶれ着地業績とM&A、月次介護サービスの続伸を合わせ技に上場来高値を意識

 ソラスト<6197>(東1)は、前日27日に3円安の1182円と3営業日続落して引けた。25日移動平均線水準で売り買いが交錯、方向感を探る動きを続けているが、今年11月10日に発表した今3月期4月~9月期(第2四半期、2Q)累計業績が、今年6月の新規株式公開(IPO)時の予想を上ぶれて着地したのに続き、M&Aの積極継続、介護サービスの月次利用状況の続伸と相次いで好材料が表面化しており、割安放置は歴然であり、今年7月4日につけた上場来高値1306円を再度、意識し照準に捉える展開が有力となりそうだ。

――――2Q介護・保育事業のセグメント利益は75%増と伸び下期にはM&Aが即戦寄与も――――

 同社の今期2Q業績は、利益がIPO時予想を1億2200万円~2億500万円上ぶれ前年同期比2.9%増収、11.5%営業増益、8.3%経常増益、15.4%純益増益と増益率を伸ばして着地した。医療関連受託業務のセグメント利益は、医療機関からの新規契約受注や既存顧客の取引に向けた立ち上げ費用や社員給与・賞与の見直し、社員待遇の改善など人材投資費用の増加で小幅減益となったが、介護・保育事業では、事業所数・施設数が増加するとともに、訪問介護サービスやグループホーム、有料老人サービスなどの施設系サービスの利用者が増加してセグメント利益が、4億3800万円(前年同期比75.1%増)と大きく伸びたことなどが寄与した。

 一方、M&Aについては、この2Q累計好決算とともに、通所介護(デイサービス)を展開する住センター(神奈川県横浜市)の株式を1億8500万円で取得して子会社化することを発表し、今期は、M&Aで10億円の増収を計画している。

 さらに12月20日に発表した11月の月次の介護サービス利用状況では、訪問介護のサービス利用者が前年同月比12.4%増、デイサービス利用者数も同3.1%増と続伸した。同社の今3月期業績は、IPO時予想を据え置き売り上げ663億9100万円(前期比5.3%増)、営業利益36億円(同8.7%増)、経常利益35億800万円(同6.0%増)、純利益23億1300万円(同16.0%増)と見込んでいるが、2Q累計業績と同様の上ぶれ着地期待を高めている。来年2月7日に発表を予定している今期4月~12月期(第3四半期)決算の動向が要注目となる。なお配当は、年間41円を予定している。

――――「半値戻しは全値戻し」の途上でPER14倍台、配当利回り3.4%の割安修正に拍車――――

 株価は、同社の前身で2012年にMBO(経営陣が加わった株式公開買い付け)により上場廃止となった旧日本医療事務センターが、今年6月に公開価格1300円で再上場(IPO)され、再上場株はIPO株として人気薄となるアノマリーが響いて、1222円で初値をつけ一時は上場来高値1306円と買い直され公開価格をクリアしたが、その後は全般相場急落とともに上場来安値912円へ突っ込んだ。最安値後は、2Q累計業績の上ぶれ着地とM&Aを評価して1234円高値までリバウンドし、足元では25日線で下値を確認するもみ合いを続けてきた。同水準は、最高値から最安値への調整幅の半値戻しをクリアして3分の2戻し水準で、相場格言通りの「半値戻しは全値戻し」の途上にありPER14倍台、配当利回り3・46%の割安修正に拍車を掛け上場来高値に直行展開の可能性も出てくる。(本紙編集長・浅妻昭治)

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