星光PMCは自律調整一巡して上値試す、17年12月期も収益拡大期待

 星光PMC<4963>(東1)は製紙用薬品事業、印刷インキ用・記録材料用樹脂事業、化成品事業を展開し、次世代素材セルロースナノファイバー(CNF)など新分野開拓を推進している。16年12月期大幅増益予想で、利益再増額の可能性が高いだろう。そして17年12月期も収益拡大が期待される。株価は自律調整が一巡して上値を試す展開が期待される。

■製紙用薬品、印刷インキ・記録材料用樹脂、および化成品を展開

 DIC<4631>の連結子会社で、製紙用薬品事業、印刷インキ用・記録材料用樹脂事業、化成品事業(14年4月、興人フィルム&ケミカルズの化成品事業を承継したKJケミカルズを子会社化)を展開している。15年12月期の売上高構成比は製紙用薬品事業が64%、印刷インキ用・記録材料用樹脂事業が22%、化成品事業14%だった。

 高付加価値製品の拡販、中国事業の再構築、東南アジア市場への積極展開、次世代素材セルロースナノファイバー(CNF)、導電性ナノ材料(銀ナノワイヤー)、光学弾性樹脂(OCA)など、成長市場・新分野開拓の戦略を推進している。

■次世代素材CNFの事業化推進

 次世代素材CNFは、すべての植物の植物細胞壁の骨格成分であるセルロースをナノサイズまで細かくほぐすことによって得られる繊維である。鋼鉄の5分の1の軽さで5倍以上強く、熱による変形が少ないなどの特徴がある。樹脂の補強材として機能させることで、自動車用樹脂の強度向上や金属部材からの置き換え、家電・モバイル機器の軽量化などでの需要が期待されている。

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)CNF開発プロジェクトの中核企業として早期事業化を目指し、13年2月経済産業省イノベーション拠点立地推進事業に採択された。14年6月には産官学連携型コンソーシアム「ナノセルロースフォーラム」が設立され、当社を含めて100社以上が参画した。14年11月には竜ヶ崎工場におけるCNF実証生産設備が完成し、本格的な変性CNFサンプルの提供を開始している。

 銀ナノワイヤーについては14年9月からサンプル出荷を本格開始した。直径がナノサイズ、長さがミクロンサイズの繊維状の銀を溶液中に分散させて透明導電性電極を形成し、ウェアラブル端末や大型ディスプレイへの利用が期待されている。

■営業損益改善基調

 四半期別の推移を見ると、14年12月期は売上高が第1四半期53億36百万円、第2四半期61億68百万円、第3四半期60億64百万円、第4四半期64億02百万円、営業利益が1億40百万円、17百万円の赤字、77百万円、1億19百万円で、15年12月期は売上高が60億25百万円、60億75百万円、62億51百万円、62億18百万円、営業利益が2億45百万円、3億79百万円、2億92百万円、4億02百万円だった。営業損益は14年12月期第2四半期をボトムとして改善基調である。

 15年12月期の売上総利益率は23.5%で14年12月期比4.2ポイント上昇、販管費比率は18.1%で同0.1ポイント上昇した。なお営業利益増減分析は、増益要因が原材料価格上昇に対する製品価格是正によるギャップ解消4億60百万円、製造経費減少1億20百万円、販管費減少80百万円、中国子会社の収益改善3億42百万円、化成品事業の収益改善4億14百万円、その他14百万円、減益要因が単体ベース売上減少1億72百万円、製品構成差2億39百万円、新規事業開発費の増加21百万円としている。

 またROEは5.4%で同5.5ポイント上昇、自己資本比率は69.7%で同1.8ポイント上昇した。配当性向は33.9%だった。利益配分については、経営環境、業績、将来の事業展開および配当性向・配当利回り等を総合的に勘案し、適切な配当水準を維持しつつ、利益還元を行うことを基本方針としている。

■16年12月期第3四半期累計は大幅増益

 前期(16年12月期)第3四半期累計(1~9月)の連結業績は、売上高が前年同期比0.9%減の181億78百万円だが、営業利益が同92.6%増の17億65百万円、経常利益が同76.7%増の16億67百万円、純利益が同68.3%増の13億65百万円だった。製紙業界や印刷インキ業界の需要が総じて伸び悩み、販売価格低下も影響して減収だったが、国内外におけるコスト削減・合理化、化成品事業および中国事業の製紙用薬品が順調に推移して大幅増益だった。

 売上総利益は同19.6%増加し、売上総利益率は27.7%で同4.8ポイント上昇した。販管費は同0.7%減少したが、販管費比率は18.0%で同0.1ポイント上昇した。また営業外では為替差損が増加(前期24百万円、今期1億89百万円)した。特別利益では前期計上の国庫補助金2億54百万円が一巡したが、KJケミカルズの株式追加取得(100%子会社化)に伴う負ののれん発生益77百万円を計上した。特別損失では固定資産圧縮損1億67百万円が一巡した。

 セグメント別に見ると、製紙用薬品は売上高が同1.7%減の115億46百万円で営業利益(連結調整前)が同65.2%増の14億55百万円だった。需要が伸び悩み、販売価格低下も影響したが、コスト削減・合理化や中国事業の順調推移などで大幅増益だった。印刷インキ用・記録材料用樹脂は売上高が同3.9%減の38億65百万円で営業利益が同64.8%増の2億45百万円だった。水性インキ用樹脂は増収だが、オフセットインキ用樹脂および記録材料用樹脂が減収だったが、コスト削減・合理化で増益だった。化成品事業は売上高が同7.0%増の27億66百万円で営業利益が同62.3%増の3億67百万円だった。主力製品の輸出が好調に推移し、コスト削減・合理化効果も寄与した。

 四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期59億49百万円、第2四半期60億63百万円、第3四半期61億66百万円、営業利益は4億97百万円、5億79百万円、6億89百万円だった。

■16年12月期通期予想は再増額の可能性

 前期(16年12月期)通期連結業績予想(8月8日に売上高を減額、利益を増額修正)は、売上高が前々期(15年12月期)比2.0%減の240億90百万円だが、営業利益が同48.7%増の19億60百万円、経常利益が同41.5%増の18億90百万円、純利益が同39.8%増の15億円としている。配当予想は前期と同額の年間12円(第2四半期末6円、期末6円)で予想配当性向は24.3%となる。

 原料価格低下に伴って製品価格が低下するため減収だが、国内外におけるコスト削減・合理化、中国事業や化成品事業の順調推移などで大幅増益予想だ。為替レートは1ドル=103円、ナフサ価格は3万5000円を前提としている。営業利益増減(6億42百万円増益)分析は、増益要因が差別化製品投入による売上増加3億60百万円、コスト削減・合理化効果5億円、製造経費減少70百万円、減益要因が製品構成差2億24百万円、販管費増加17百万円、その他47百万円としている。

 セグメント別計画は、製紙用薬品の売上高が同2.2%減の154億70百万円で営業利益(連結調整前)が同38.7%増の17億94百万円、印刷インキ用・記録材料用樹脂の売上高が同4.3%減の51億30百万円で営業利益が同41.6%増の2億11百万円、化成品事業の売上高が同3.1%増の34億90百万円で営業利益が同19.0%増の3億82百万円としている。

 通期会社予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が75.5%、営業利益が90.1%、経常利益が88.2%、純利益が91.0%と高水準である。通期利益予想は再増額の可能性が高いだろう。そして今期(17年12月期)も収益拡大が期待される。

■新中期経営計画で18年12月期営業利益率8%以上を目指す

 16年2月策定の新中期経営計画「CS VISION-2」では具体的戦略として、国内事業基盤の強化(製紙用薬品事業における高性能新規製品投入、樹脂事業における製品ポートフォリオ見直し、化成品事業における機能性モノマー・オリゴマー提供)、海外事業展開の加速(製紙用薬品事業における製品ポートフォリオ拡充、樹脂事業における印刷インキ水性化ニーズ捕捉、海外人材の育成・採用強化)、新規開発事業テーマの事業化(セルロースナノファイバーや銀ナノワイヤーなどの事業化)、事業領域拡大のための新規事業の探索・事業化(グループの強みを活かした新規事業参入機会の探索)、外部資源の活用(他社との業務・資本提携やM&Aの積極活用)、自ら変化・挑戦・成長する企業風土の醸成(チャレンジ精神に溢れる企業集団)を推進する。

 経営目標数値としては、会社設立50周年にあたる18年12月期売上高272億円(15年12月期比10.7%増)、営業利益22億円(同66.9%増)、営業利益率8%(同2.6ポイント上昇)以上、参考指標として海外売上高57億73百万円、海外売上高比率21.2%、ROE7.7%を掲げた。M&Aを実行して事業規模の拡大を図るため、適切な財務戦略に基づく資金枠を設定し、積極的に案件を探索する。

 なお事業別(連結調整前)目標値は、製紙用薬品事業の売上高が173億34百万円(15年12月期比9.6%増)で営業利益が17億円(同31.5%増)、樹脂事業の売上高が58億66百万円(同9.4%増)で営業利益が4億78百万円(同3.2倍)、化成品事業の売上高が40億円(同18.2%増)で営業利益が4億48百万円(同39.6%増)としている。樹脂事業には新規開発事業を含んでいる。

■株価は自律調整一巡して上値試す

 株価の動きを見ると、16年12月の戻り高値1294円から一旦反落したが切り返しの動きを強めている。1月16日には1248円まで上伸した。自律調整が一巡したようだ。

 1月16日の終値1248円を指標面で見ると、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS49円47銭で算出)は25~26倍近辺、前期推定配当利回り(会社予想の年間12円で算出)は1.0%近辺、前々期実績連結PBR(前々期実績の連結BPS665円09銭で算出)は1.9倍近辺である。時価総額は約384億円である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインとなって戻り歩調だ。自律調整が一巡して上値を試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞アナリスト水田雅展)

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