JSP 第2四半期業績は、増収ながら製品価格是正の遅れ等もあり減益となる

■押出事業は増収減益、ビーズ事業は増収増益

 JSP<7942>(東1)の今期15年3月期第2四半期連結決算は、増収であったものの、国内の原燃料価格、電力料金、輸送費の値上がりに対する製品価格是正の遅れ、消費税率の引き上げに伴う駆け込み需要の反動減により、減益となった。

 北米については、記録的な寒波の影響で景気は一時的に停滞したがその後回復した。欧州は緩やかな回復基調で推移した。中国については、成長率は鈍化したものの、アジア全体としては高い成長を維持した。

 その結果、第2四半期連結業績は、売上高582億66百万円(前年同期比7.0%増)、営業利益26億73百万円(同4.5%減)、経常利益29億36百万円(同5.1%減)、純利益21億57百万円(同5.3%減)と増収ながら減益。

 同社の事業は、押出事業、ビーズ事業、その他に分かれている。

 押出事業では、産業用包装材・ディスプレイ材の「ミラマット」は、液晶テレビ基板・大型家電の需要減で売上は減少した。「キャプロン」は、自動車部品包装材等の用途拡大で、売上増となった。「ミラボード」は、景気回復を背景に企業向けディスプレイ材需要増で前年並みの売上となった。
 食品包材・容器の「スチレンペーパ」は、堅調な需要に支えられ増収。
 住宅用断熱材・土木資材の「ミラフォーム」は、住宅・マンション着工数減で売上減少した一方で、復興需要で土木売上は増加した。
 その結果、押出事業の業績は、売上高200億09百万円(同6.4%増)、営業利益6億98百万円(同22.3%減)と増収ながら減益となった。

 ビーズ事業では、自動車衝撃緩衝材、家電製品緩衝材用途の「ピーブロック」については、日本では軽自動車の需要拡大、自動車・家電向け需要が低調で売り上げ減となった。北米においては、寒波の影響により自動車販売が落ち込むがその後回復し売上は増加した。南米については、景気悪化による自動車販売台数の減少で売上減少。欧州では、景気回復による自動車部品の需要増で売上が増加した。アジアにおいては、自動車・家電市場が依然高い成長を維持し増加した。
 魚箱、家電製品緩衝材、住宅用断熱材用途の「スチロダイア」は、天候不順で水産・農林分野は低調で、建材・家電分野が堅調と前年並みの売上となった。
 これらの結果、ビーズ事業の業績は、売上高は349億53百万円(同5.8%増)、営業利益22億89百万円(同5.0%増)の増収増益であった。

 その他では、国内一般包材は、ベッド芯材等の新分野への拡販で売上が増加した。中国一般包材は、液晶テレビ向けに新規梱包材の採用で売上増となった。
 その結果、その他の業績は、売上高33億03百万円(同25.5%増)、営業利益△30百万円(前年同期△17百万円)と大幅増収ながら赤字幅拡大となった。

 第2四半期は、原燃料価格、電力料金、輸送費の値上がりに対する製品価格是正の遅れ、消費税率の引き上げに伴う駆け込み需要の反動減等が響いた結果減益となったが、下半期については、海外は好調を維持し、国内は価格是正の進展と原燃料市況改善で収益は回復すると見ている。

 15年3月期通期連結業績予想は、売上高1155億円(前期比3.0%増)、営業利益60億円(同1.5%増)、経常利益62億円(同4.8%減)、純利益42億円(同4.6%減)を見込んでいる。

 なお、ピーブロックの需要が今後益々見込めるため、10日に中国とタイにピーブロックを製造する子会社を設立し、新工場を建設することを発表した。

 中国については、自動車メーカーが集積している湖北省武漢市に新たに子会社を設立し、新工場を建設することを決定した。投資金額は12億円、年間の生産能力は3000トン、工場の稼働は2017年1月を予定している。この結果、中国全体での生産能力は24000トンとなる。

 タイについては、日系自動車メーカーの生産拠点の集中度が高く、電気・電子部品産業の集積地でもあり、「ピーブロック」の需要は年々増加を続けている。そのため、現在、タイ向けの同製品の供給は、シンガポールの子会社より輸出対応しているが、近年、より軽量な高倍率製品の需要が急増しており、今後もこの様な状況は続くと予測している。新工場の所在地は、タイ王国サムットプラカーン県「アジア工業団地」、投資金額6億円、年間生産能力1600トン、2016年1月に生産開始予定。

 また、環境にやさしい植物由来のポリ乳酸発泡ビーズ・発泡体「LACTIF」、各種樹脂・金属・無機素材と発泡体の複合体「ACTech」、極めて高い光反射率(100%に近い)「光り反射シート」、フィルムを使わない木目模様付きポリスチレン発泡シート・ボード「木目 スチレンペーパー ミラボード」、高性能・新次世代型断熱材「ミラフォームラムダ」、防蟻剤なしでシロアリに侵食されない唯一の発泡プラスチック断熱材「ミラポリカフォーム」といった6つの新製品が発表されている。

 中でも次の柱となると期待されているのが、「光り反射シート」である。独自技術により開発した、断面方向に超微細な気泡構造を持つ無機発泡剤を用いたPS系多層押出し発泡シート。用途としては、液晶テレビ、LED反射板等が挙げられる。市場規模が大きいことから、大きく業績に貢献するものと予想される。

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