アールシーコアは17年3月期第3四半期累計減益だがネガティブ反応限定的、4%台の高配当利回りに注目

 アールシーコア<7837>(JQ)はログハウスのオリジナルブランド「BESS」を販売している。1月31日発表した17年3月期第3四半期累計連結業績は減益だったが、通期は増収・営業増益予想、そして連続増配予想である。株価は戻り歩調で、第3四半期累計減益に対するネガティブ反応は限定的だ。4%台の高配当利回りも注目点であり、15年12月高値を目指す展開が期待される。

■ログハウスのオリジナルブランド「BESS」を販売

 自然材をふんだんに使った個性的な木の家であるログハウスのオリジナルブランド「BESS」の販売を、国内直販部門、連結子会社BESSパートナーズ(BP)社、および国内販社で展開している。FCを中心とした事業展開で高資本効率を実現している。

 16年3月期末の契約販社数(BP社含む)は26社、営業拠点数は全国40拠点(直営2拠点、BP社2拠点、販社36拠点)だった。国内直販部門では東京・代官山「BESSスクエア」と神奈川県「BESS藤沢展示場」の直営展示場2拠点、およびタイムシェア別荘施設「フェザント山中湖」も運営している。

■中期経営計画で17年3月期ROE18%目標

 中期経営計画では、目標数値として17年3月期の契約棟数1600棟、売上高180億円、営業利益率8%、ROE18%を掲げている。

 重点戦略として「BESS」ブランドの深耕、強みであるログハウスを主軸に据えたマーケティング・商品戦略、販社再編、商品の納期短縮・コスト削減・価格競争力向上、営業拠点と営業員の拡充、営業スキル向上と営業力強化に向けたBESS営業(ホームナビゲーター)資格制度導入、展示場50拠点展開などを推進している。またΩ戦略室で法人向け等の事業開発に着手している。

 商品戦略強化では14年11月に新世代ログハウスとして新商品「G-LOG」を発売した。また16年6月には新商品としてLOG小屋「第三のトコロ IMAGO(イマーゴ)」を発表した。16年8月から予約販売を開始する。

 16年7月には新商品LOG小屋「第三のトコロ IMAGO(イマーゴ)」の展開として、農業ベンチャーのマイファーム(京都市)およびDIYライフスタイルカンパニーのDIYFACTORY大都(大阪市)との提携を発表した。

 展示場50拠点を目指した展開では、16年4月BESS久御山(京都府)とBESS松本(長野県)が新規オープン、16年6月BESS蒲郡(愛知県)が周辺再開発で閉鎖、16年10月BESS川口(埼玉県)とBESS大分(大分県)が新規オープンした。

■部材製造販売のカナダの連結子会社を売却してファブレス化

 カントリーログハウスのキット部材を製造販売するカナダの連結子会社BFM社については、16年7月カナダのBAYWEST社に全株式を譲渡した。ファブレス化で経営資源をマーケティングや商品開発に集中させる方針だ。株式譲渡後も当面はBFM社からの取引を継続するとしている。

■収益は物件引き渡し件数・時期で変動

 四半期別の業績推移を見ると、15年3月期は契約(受注)高が第1四半期15億25百万円、第2四半期30億47百万円、第3四半期24億42百万円、第4四半期34億75百万円、売上高が28億11百万円、32億75百万円、29億16百万円、29億39百万円、営業利益が1億14百万円、2億23百万円、1億95百万円、1億45百万円で、16年3月期は契約高が22億17百万円、35億10百万円、21億61百万円、39億88百万円、売上高が28億59百万円、34億93百万円、28億95百万円、30億71百万円、営業利益が1億29百万円、3億02百万円、1億23百万円、1億98百万円だった。

 収益は直販部門とBP社の「BESS」売上、販社からのロイヤリティ収入および販社へのキット部材売上などである。物件引き渡し件数・時期などで四半期収益は変動しやすいが、契約(受注)高は回復傾向を強めている。

 16年3月期は販管費抑制も寄与して15年3月期比増益での着地となった。契約(受注)棟数は同10.7%増の1004棟、契約(受注)高は同13.2%増の118億76百万円、期末契約(受注)残高は同12.0%増の71億16百万円だった。全国BESS展示場への新規来場者数は2.9万件でほぼ15年3月期並みだったが、強化ポイントの再来場者数は同2.1%増加した。営業員の質・量の拡充については、販社を含むBESS事業全体の営業員数(成約稼働ベース=トレーニング実済み)が前期末比1名増加の141名となった。

 売上総利益は同3.3%増加し、売上総利益率は33.3%で同横ばいだった。販管費は同1.7%増加したが、販管費比率は27.2%で同0.4ポイント低下した。純利益は法人税等の減少も寄与した。ROEは11.7%で同1.5ポイント上昇、自己資本比率は44.9%で同2.2ポイント上昇した。配当は同3円増配の年間45円(第2四半期末22円、期末23円)で配当性向は39.0%だった。

 セグメント別(連結調整前)に見ると直販部門は契約高が同15.7%増の36億91百万円、売上高が同1.4%増の35億76百万円、営業利益が同15.2%減の2億41百万円で、販社部門は契約高が同12.8%増の66億円、売上高が同7.7%増の78億87百万円、営業利益が同8.8%増の15億41百万円、BP社は契約高が同12.1%増の15億57百万円、売上高が同17.3%減の14億13百万円、営業利益が同61.8%減の22百万円、北米部門(BFM社)は売上高が6億19百万円、営業利益が17百万円だった。

■17年3月期第3四半期累計は減益

 1月31日発表した今期(17年3月期)第3四半期累計(4~12月)連結業績は売上高が前年同期比3.4%増の95億59百万円、営業利益が同18.7%減の4億50百万円、経常利益が同14.5%減の4億58百万円、そして純利益が同36.8%減の2億29百万円だった。契約(受注)高は同4.4%増の82億32百万円で、期末契約(受注)残高は66億26百万円となった。

 期首の豊富な繰越契約残高を背景として売上が順調に推移したが、人員増に伴う人件費増加、本社ビルの賃料増加などで減益だった。売上総利益は同2.9%増加したが、売上総利益率は32.5%で同0.2ポイント低下した。販管費は同7.7%増加し、販管費比率は27.8%で同1.1ポイント上昇した。特別損失では関係会社株式売却損1億15百万円を計上した。

 セグメント別(連結調整前)に見ると直販部門は契約高が同16.7%増の27億20百万円、売上高が同1.6%増の27億24百万円、営業利益が同40.6%増の2億42百万円だった。営業施策が奏功して契約高が2桁増となった。利益面では施工効率改善が寄与した。

 販社部門は契約高が同8.6%減の41億70百万円、売上高が同3.9%増の61億53百万円、営業利益が同9.1%減の10億40百万円だった。期首の豊富な繰越契約残高を背景として売上が順調に推移したが、販社再編の影響で受注が減少した。利益面では受注遅れによるロイヤリティの減少、販社再編による販管費の増加が影響した。

 BP社は契約高が同36.9%増の13億32百万円、売上高が同12.5%増の11億61百万円、営業利益が10百万円の赤字(前年同期は4百万円の黒字)だった。営業員の戦力化が進展して受注が大幅増加した。また期首の豊富な繰越契約残高からの売上が順調に推移した。北米部門はBFM社の売却が16年7月に完了し、売上高が1億16百万円、営業利益が6百万円だった。

 四半期別の業績推移を見ると、契約(受注)高は第1四半期18億41百万円、第2四半期41億78百万円、第3四半期22億13百万円、売上高は29億12百万円、36億23百万円、30億24百万円、営業利益は54百万円、3億35百万円、61百万円だった。

■17年3月期通期増収営業増益予想、そして連続増配予想

 今期(17年3月期)連結業績予想は前回予想(10月21日に減額修正)を据え置いて売上高が前期(16年3月期)比10.8%増の136億50百万円、営業利益が同3.6%増の7億80百万円、経常利益が同2.5%増の7億60百万円、純利益が同12.9%減の4億45百万円としている。

 第2四半期累計の計画未達分を減額したが、期首の豊富な繰越契約残高からの売上が順調に推移して増収営業増益予想である。配当予想は据え置いて同2円増配の年間47円(第2四半期末23円、期末24円)としている。連続増配で予想配当性向は47.0%となる。

■株主還元はDOEを重視、株主優待は3月末と9月末に実施

 利益配分についての基本方針は、DOE(純資産配当率)を重視した長期的視点での安定的配当を実施するとしている。15年3月期のDOEは4.5%、16年3月期のDOEは4.4%で、17年3月期のDOEは4.6%となる見込みだ。

 株主優待制度は毎年3月末・9月末時点で100株以上保有株主に対して実施している。優待内容は15年3月期から改訂し、保有株数に応じて「BESS指定工事請負契約にかかる優待割引」「フェザント山中湖タイムシェア・別荘オーナー制度・メンバー制度の優待割引」「フェザント山中湖宿泊利用割引・サービス利用割引」「BESSオリジナル外部用防腐スプレー販売割引」などの優待券を贈呈している。

■株価は戻り歩調、第3四半期累計減益に対するネガティブ反応限定的

 なお1月31日、社員に対して自社の株式を給付するインセンティブプラン「株式給付信託(J-ESOP)」を導入すると発表した。

 株価の動きを見ると、安値圏900円台でのモミ合いから上放れて戻り歩調だ。1月31日には1108円まで上伸した。そして第3四半期累計減益に対するネガティブ反応は限定的だ。

 2月1日の終値1092円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS99円92銭で算出)は10~11倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間47円で算出)は4.3%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1005円76銭で算出)は1.1倍近辺である。時価総額は約49億円である。

 日足チャートで見ると25日移動平均線、週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインの形となった。また26週移動平均線が52週移動平均線を上抜いて先高感を強めている。4%台の高配当利回りも注目点であり、15年12月高値1167円を目指す展開が期待される。(日本インタビュ新聞アナリスト水田雅展)

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