【アナリスト水田雅展の銘柄分析】フランスベッドHDの今期下振れ懸念は織り込み済みの可能性、16年3月期の収益改善期待で反発

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 介護関連のフランスベッドホールディングス<7840>(東1)は、1月30日に第3四半期累計(4月~12月)業績を発表して減収減益だった。株価は安値圏180円近辺でモミ合う展開だが、14年10月安値まで下押す動きは見られず下値固め完了感を強めている。今期(15年3月期)業績の下振れ懸念は織り込み済みの可能性があり、来期(16年3月期)の収益改善を期待して反発のタイミングだろう。

 メディカルサービス事業(介護・福祉関連用具のレンタル・販売、介護予防の通所介護施設「悠々いきいき倶楽部」運営など)、インテリア健康事業(家庭用高級ベッド、医療・介護用ベッド、リハビリ商品など)、その他事業(日用品雑貨販売など)を展開している。

 成長分野のシニア・シルバービジネスに経営資源をシフトして、医療・介護用電動リクライニングベッド・マットレス、アクティブシニア向け「リハテック」ブランドの電動アシスト三輪自転車やハンドル型電動三輪車いす、さらにリフトアップチェア、リフトアップ車いす、超低床フロアーベッド、在宅・病院・福祉施設向けの徘徊防止通報システムなど、独自の新商品・新サービスの開発を強化して介護・福祉用具レンタル市場でのシェア拡大戦略を推進している。新規販売チャネル開拓で病院・施設向け取引も拡大する方針だ。

 1月30日発表の今期(15年3月期)第3四半期累計(4月~12月)連結業績は、売上高が前年同期比3.7%減の377億33百万円、営業利益が同32.4%減の12億96百万円、経常利益が同32.1%減の12億97百万円、純利益が同37.3%減の6億58百万円だった。

 セグメント別売上高の状況はメディカルサービス事業が同1.7%減収、インテリア健康事業が同5.0%減収、その他事業が同10.6%減収だった。メディカルサービス事業の介護・福祉関連用具のレンタルは堅調だったが、メディカルサービス事業の病院・施設向け販売およびインテリア健康事業は消費増税の影響長期化などで低調だった。利益面では減収に加えて、退職給付費用や広告宣伝費の増加なども影響した。

 通期の連結業績見通しは前回予想(10月24日に減額修正)を据え置いて売上高が前期比2.3%減の536億円、営業利益が同21.4%減の22億円、経常利益が同20.9%減の22億円、純利益が同28.4%減の10億円としている。配当予想は前回予想(5月15日公表)を据え置き、記念配当50銭を落として前期比50銭減配の年間4円50銭(第2四半期末2円25銭、期末2円25銭)としている。

 四半期別の推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)123億85百万円、第2四半期(7月~9月)125億64百万円、第3四半期(10月~12月)127億84百万円と増加傾向である。また営業利益は第1四半期5億16百万円、第2四半期2億86百万円、第3四半期4億94百万円である。営業損益は第2四半期がボトムとなった可能性があるだろう。

 通期見通しに対する第3四半期累計の進捗率は売上高が70.4%、営業利益が58.9%、経常利益が59.0%、純利益が65.8%である。低水準のため通期下振れに注意が必要だが、介護レンタル市場でのシェア拡大、病院施設部門での新製品販売促進、インテリア健康事業でのアクティブシニア向け「リハテック」ブランドの販路拡大、原材料価格上昇に伴う価格改定などを推進している。ドル高・円安進行に伴って国産品の価格競争力も回復傾向を強めているため、来期(16年3月期)の収益改善が期待される。

 なお1月30日には15年3月期の株主優待制度の詳細を発表した。15年3月31日時点の1000株以上保有株主に対して、(A)1万円分のご利用券、(B)オリジナル優待品(9品の中から1品を選択)とのお引き換え、(C)慈善団体への寄付、の中から一つを選択する。

 株価の動きを見ると、戻りが鈍く安値圏180円近辺でモミ合う展開だ。ただし14年10月安値171円まで下押す動きは見られず下値固め完了感も強めている。第3四半期累計業績に対するネガティブ反応は限定的であり、今期業績見通し下振れ懸念は織り込み済みの可能性があるだろう。

 2月3日の終値179円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS4円66銭で算出)は38倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間4円50銭で算出)は2.5%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS165円85銭で算出)は1.1倍近辺である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線が戻りを押さえる形だが、日足チャートで見ると25日移動平均線を挟んでのモミ合いであり、下値固め完了感を強めている。今期業績見通しの下振れ懸念は織り込み済みの可能性があり、来期の収益改善を期待して反発のタイミングだろう。

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