【編集長の視点】イワキポンプは最高値後に小反落も3月通期業績の連続過去最高を手掛かりに割安株買いが交錯

 イワキポンプ<イワキ、6237>(東2)は、前日14日に大引けでは20円安の2880円と4日ぶりに反落した。ただ、取引時間中には2960円まで買い進まれ、連日の上場来高値更新となり、午後の安値2826円からは50円超幅引き戻して終了した。同社株は、前日9日大引け後に今3月期業績の2016年4月~12月期(第3四半期、3Q)決算の発表を予定しており、これを先取りして3月通期業績の連続最高更新予想を手掛かりに割安株買いが増勢となった。実際に大引け後に発表された3Q業績は、小幅減益となったが、3月通期業績に対して順調な利益進捗率を示しており、最高値後の下値では押し目買いも交錯したことを示した。個別材料的にも、今年9月8日には船舶バラスト水規制管理条約が発効、同社の水質管理システムの需要拡大を背景に次期2018年3月期業績への期待を高めていることも、買い手掛かりとなっている。

■国内売り上げは医療機器市場などが好調に推移し続伸も円高進行が響く

 同社の今3月期業績は、昨年11月に2016年4月~9月期(第2四半期、2Q)累計業績が、上方修正される一方、3月通期業績が、下方修正され、また配当も、2Q中間配当を30円(前年同期は0円)とする一方、期末配当を33.9円から32円に小幅減配し、年間配当を62円(前期実績78.8円)とした。これを受けた3Q業績は、前年同期比1.5%増収、5.4%営業減益、6.0%経常減益、2.2%純益減益となったが、3月通期業績対比の利益進捗率は、73~79%と目安の75%をほぼ達成した。本業の主力6市場のうち医療機器市場が好調に推移し、水処理市場、化学市場も堅調で国内売り上げは前年同期比3.1%となったが、海外向け売り上げが、半導体・液晶市場で大型受注案件の貢献があったものの、為替レートが円高となったことが響いた。

 3月通期業績は、昨年11月の下方修正値を据え置き売り上げ248億7100万円(前期比0.2%増)、営業利益15億9400万円(同4.0%増)、経常利益20億6700万円(同3.8%増)、純利益15億2700万円(同横ばい)としたが、過去最高業績は連続更新する。今期業績は、円高の影響を受けるが、同社は、第1期中期経営計画で来期2018年3月期の純利益として17億7900万円を目標にしており、今年9月の船舶バラスト水規制条約の発効などの事業環境好転で、この目標達成の確度が高まってくる。

■昨年11月と同様に業績推移をポジティブに評価してPER14倍台の割安修正に再発進

 株価は、昨年11月の増額・減額が交錯した今期業績の修正では、3月通期業績の下方修正値が市場コンセンサスをほぼクリアするとしてポジティブに評価して2000円台を回復、「トランプ・ラリー」による円安・ドル高の進行とともに2877円高値まで買い進まれ、年明け後は、「トランプ・リスク」の再燃で25日移動平均線で下値を確認したあと決算発表先取りで上場来高値追いとなった。PERは14倍台となお割安であり、昨年11月と同様に業績推移をポジティブに評価して押し目買いを誘発、目先の利益確定売りを吸収して上値追いに再発進しよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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