メディカル・データ・ビジョンの16年12月期は投資回収の準備完了年

■画期的なサービスである「CADA-BOX」をリリース

 メディカル・データ・ビジョン<3902>(東1)は、15年12月期にCADAを100%出資会社として設立し、連結子会社としたことで、16年12月期の第2四半期より連結決算に移行している。

 16年12月期は、投資回収の準備完了年であり、新医療データ活用の黎明期と位置付けている。

 16年12月期には、業績が順調に拡大していることもあり11月24日に東証一部へ市場変更となった。また、株式分割を行い、株式優待制度の新設も行った。更に、画期的なサービスである「CADA-BOX」をリリースした。

 16年12月期の業績は、4期連続の増収増益で、経常利益は前年同期比48.4%増の大幅増益となった。売上高に関しては、当初予想30億円を目標としていたが、エースビジョンを発売する予定から、CADA-BOXの製造販売に切り替えたことで26億32百万円と当初計画を下回る結果となった。しかし、利益面については利益率の高い商品が売れたことで経常利益は当初予定の3億円を大きく上回る4億15百万円となった。

 16年12月期連結業績は、売上高26億32百万円(前期比9.1%増)、営業利益4億30百万円(同52.6%増)、経常利益4億15百万円(同48.4%増)、純利益1億78百万円(同8.7%増)と最高益更新となった。
 営業利益、経常利益の増益幅に比較して、純利益の伸びが低いのは、ソフトウェア及び投資有価証券について、資産評価を行った結果、減損損失として1億21百万円を特別損失として計上した影響による。

 データネットワークに関する2016年度の目標は、「CADA-BOX」5病院への導入と電子カルテ企業との提携、「Medical Code」の更なる拡大、非DPC病院対象の経営分析システムの提供、「CADA決済」事業のスタートの4つを掲げていた。

 その結果を見ると、「CADA-BOX」の導入は3病院に留まったが、電子カルテ企業との提携は完了した。
 「Medical Code」の更なる拡大に関しては、「Medical Code」導入の病院数は176病院から224病院へと順調に進んだといえる。
 非DPC病院対象の経営分析システムの提供については、システム改修の必要から提供に遅れ本格的な販売には至らなかった。しかし、今期50病院を見込んでいるが、既に50を超える病院から予約がきている状況。
 「CADA決済」事業のスタートについては、福岡県内の病院で既に始まっている。事故もなく順調に進んでいる。

 以上の結果、データネットワークサービスの売上高は14億38百万円(同0.8%減)であった。

 データ利活用に関する2016年度の目標は、アドホック調査サービスの更なる拡大、インシュアランス業界へのデータ分析サービス開始、コンシューマーヘルスケア領域の製品開発支援サービス開始の3つを挙げていた。

 その結果、アドホック調査サービスに関しては、案件数は前年同期比27.0%増と順調に成長した。1000万円超の案件が増加した。
 インシュアランス業界へのデータ分析サービス開始については、昨年3月よりサービスの提供を開始し、新規領域の成長に大きく寄与している。データベースで4000万円ほどの売上が出ている。
 コンシューマーヘルスケア領域の製品開発支援サービス開始については、支援ではなく製造販売を行うMDVコンシューマー・ヘルスケア株式会社の設立準備に注力し、今年の2月1日に設立した。

 データ利活用の売上高は、11億94百万円(同23.9%増)と大きく伸びた。

 以上のように、16年12月期の目標は、ほぼ計画通りに達成したといえる。

■「CADA-BOX」は、今期は最低でも15病院へ導入

 14年から前期16年までは投資の時期としていたが、今期17年より19年は投資回収の時期と位置付けている。事業施策としては、二次医療圏344病院へ「CADA-BOX」を導入、データ基盤を更に拡大、データ利活用ビジネス拡大、他社との協業「M&A」を挙げている。

 データ利活用ビジネスの新領域として、治験分野でのデータ活用を予定している。「CADA-BOX」は、今期は、最低でも15病院への導入を計画している。その15病院で得られるデータで治験に参入する。なお、治験分野の国内売上規模は約1200億円と見ている。

 今17年12月期連結業績予想は、売上高36億円(前期比36.8%増)、営業利益5億42百万円(同25.9%増)、経常利益5億40百万円(同29.9%増)、純利益3億11百万円(同74.9%増)を見込む。

 売上構成は、データネットワーク19億94百万円(同38.7%増)、データ利活用16億05百万円(同34.4%増)となっている。

 データネットワークの売上の内訳は、メンテナンス(EVE・Medical Code等月額保守費等)8億71百万円(同8.2%増)、パッケージ(EVE・Medical Code等の初期導入費等)7億41百万円(同21.3%増)、新規(子会社・CADA-BOX等)3億80百万円(前期21百万円)。

 データ利活用の売上の内訳は、MDV analyzer2億76百万円(前期比4.9%増)、アドホック10億75百万円(同25.0%増)、新規(子会社・OTC・インシュアランス等)2億54百万円(前期69百万円)。

 以上のように、今期も大幅増収増益で、最高益更新を見込む。

 なお、今年2月に子会社化した、OTC医薬品・H&BC製品を製造販売するMDVコンシューマ・ヘルスケアは、今年夏頃より販売開始する予定。
 また、著名なドクターが推薦する理想の医師を紹介するDoctorbookは1月に子会社化している。今期中にマネタイズする計画。(TA)

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