【株式評論家の視点】エストラストは西部ガスとの連携に期待感高まる、ここからの押し目は注目

株式評論家の視点

 エストラスト<3280>(東1)は、2012年11月の東京証券取引所マザーズ市場への上場から約1年9ヶ月という短期間で、東京証券取引所市場第一部への市場変更を実現。1999年の設立以来、新築マンションを販売する不動産分譲事業を軸としながら、マンション完成後の建物管理やお客様の暮らしをより豊かにする、様々な「住」関連サービスにも事業領域を広げ、住環境を創造する総合不動産会社として、着実に事業基盤を固めている。

 同社は2月21日、西部ガスによる同社株のTOB(公開買い付け)が終了したと発表。1月24日から2月20日まで1株800円で公開買い付けを行い、当初予定通り、西部ガスがエストラスト株式の51%を2月24日付で取得、連結子会社となった。西部ガスグループは福岡都市圏で分譲戸建を中心に事業を行っている一方、エストラストグループは山口県及び九州の主要都市で分譲マンションを中心に事業を行っているため、事業の補完性が高く、両グループが保有する用地情報や経営・事業ノウハウ等を共有し、連携するメリットは大きく、西部ガスグループが保有する遊休不動産及び事業用不動産を、エストラストグループの不動産事業に関する経営ノウハウを活用して再開発することも可能になり事業拡大が見込まれる。

 エストラストの前2017年2月期第3四半期業績実績は、売上高が70億3700万円(前年同期比28.1%減)、営業利益が2億4300万円(同74.8%減)、経常利益が1億5000万円(同82.0%減)、純利益が8500万円(同83.7%減)に着地。

 前17年2月期業績予想は、売上高が130億円(前の期比1.3%増)、営業利益が8億9000万円(同20.2%減)、経常利益が7億5000万円(同21.4%減)、純利益が5億円(同16.7%減)を見込んでいる。配当予想は8円(第2四半期末4円、期末4円)継続を予定している。

 株価は、2月22日にTOB価格を上回る昨年来高値808円と買われたが、買い付け予定上限の314万5200株を上回る応募があったため、その後は売り押され軟調展開が続いているが、TOB発表直前の2月20日終値675円に接近しており、値ごろ感は出ている。西部ガスグループとの連携による知名度の上昇、西部ガスグループが保有する遊休不動産及び事業用不動産の再開発等に対する期待感は高まっており、現在策定中と見られる2018年2月期から中期経営計画が明らかになれば、切り返す動きが予想される。中長期的な視点でここからの押し目は注目される。(株式評論家・信濃川)

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