【編集長の視点】農業総合研究所は1Q直売所の前倒し開設と地方創生の相次ぐ提携、集荷場開設を見直し反発

 農業総合研究所<3541>(東マ)は、前週末3日に90円高の6940円と反発して引け、7000円台出没の三角保ち合いに煮詰まり感を強めた。今年1月12日に開示した今8月期の2016年9月~11月期(第1四半期、1Q)決算で、農業生産者に「都市型農産物流通プラットフォーム」を提供して農家の直売をサポートする委託販売システム(KPI)の店舗数が、798店舗と8月通期計画に対して前倒しに進捗したことを見直し、業績上ぶれ期待を高めて内需関連株買いが再燃した。1Q決算発表後に四国銀行<8387>(東1)、岩手銀行<8345>(東1)とそれぞれ連携協定を締結し、熊本県に62カ所となる集荷場を開設したことも、農業と先端技術を融合したアグリテック関連株人気を高めた。

■1Q直売所開設は通期計画比52%と高進捗し九州に初の直営集荷場も開設

 同社の今期1Q業績は、売り上げ3億4700万円、営業利益2600万円、経常利益2600万円、純利益1700万円で着地した。1Q決算は初作成となるため前年同期との比較はないが、8月通期業績に対する進捗率は、売り上げで22.2%、営業利益で15.8%、さらに直売されたスーパーマーケットなどで最終消費者が購入した最終販売額の総計である流通総額は、16億1500万円の同21.5%、KPIの登録生産農家数も6005名の19.4%と計画通りに順調に推移した。

 なかでも全国のスーパーマーケットなどで委託販売する直売所の店舗数は、798店舗と8月通期計画の905店舗に対して52.4%の進捗率と前倒しで店舗数が拡大した。しかも、このあと同社は農家の稼ぐ力を強化する地方創生に向け四国銀行、岩手銀行などと包括的業務提携を締結し、さらに1月26日には九州地方で初の直営集荷場となる植木集荷場(熊本市北区植木町)を熊本市の協力を受けて開設した。TPP(環太平洋経済連携協定)が、米国の離脱により不透明化、今後は、2国間協議でトランプ大統領による市場開放圧力が高まると予測されるなか、同社の独自ビジネスモデルへの農業生産者のニーズが高まり、業績上ぶれ期待を高めている。

 今8月期通期業績は、期初予想通り売り上げ15億6000万円(前期比30.6%増)、営業利益1億7000万円(同8.6%増)、経常利益1億6900万円(同4.0%増)、純利益1億900万円(同1.9%増)と予想され、連続して過去最高を更新するが、開設直売店舗数の前倒し進捗につれ今後の業績推移が注目されることになる。

■7000円台出没の三角保ち合いが煮詰まり「アグリテック・サミット」を先取りして上値挑戦

 株価は、昨年7月の7460円高値から新興市場の人気離散波及で3955円安値、さらにTPPに否定的な米国のトランプ次期大統領当選が響いて再び4020円安値まで売られ、両安値を岩盤にダブルボトム形成として大きく底上げ、上場来高値7640円まで買い進まれて7000円大台出没の三角保ち合いに煮詰まり感を強めている。今年5月23~24日には、農業にドローンやAI(人工知能)などの先端技術を融合させ新ビジネスの創出を目指す「アグリテック・サミット」が開催予定にあることも関連して先取り、保ち合いを上放れ最高値抜けから上値チャレンジが続こう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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