【鈴木雅光の投信Now】投資信託の複雑な「しかけ」には要注意

MLP、カバードコール、ヘッジプレミアム、TAA、通貨選択、リスク限定・・・・。

上記の単語をご存じだろうか。自身が保有している投資信託の商品設計に、このような言葉が混じっていたら、要注意だ。

いずれも、運用上の「しかけ」であり、これらを甘味剤として、「儲かりそうな投資信託」の商品性が出来上がる。

たとえばカバードコールなら、コールオプションの売りを用いることにより、事前に入る「オプションプレミアム」によって、ファンドの分配金をかさ上げできる。ヘッジプレミアムも同じようなものだ。

また「リスク限定」などというと、預貯金指向の強い日本人には、殊の外、魅力的に聞こえるのだと思うが、実はこの仕組みを用いたファンドは、リーマンショック時の株価暴落を受けてリスク限定のための保険が消滅し、結局のところ大幅な元本割れで償還を迎えた。

こんな話がある。某大手機関投資家の運用担当者に聞いたことだが、彼のもとには毎週、さまざまな投資手法の売り込みがあるそうだ。ところが、これらの投資手法で、ずっと使い続けられるものは、ほぼ皆無だという。過去5年間のバックテストで良好な成績を収めたからといって、それが将来のリターンを保証するものではない。どんなに優れているように見える運用モデルであったとしても、所詮は机上の空論に過ぎないということだ。

それにも増して、複雑怪奇なデリバティブの組み合わせなどを用いて組成されているファンドには、表から見えない、非常に多額のコストが内包されているケースも少なくない。リスク限定型ファンドは、オプション取引などを組み合わせ、マーケットが一定条件の下で、ファンドの損失が一定額以上広がらないようにする「しかけ」を用いているが、オプション取引は相対取引なので、そこにどれだけのコストが盛り込まれているか、ファンド保有者の目には全く見えない。つまり保有者は、ファンドを購入する際に支払う購入時手数料、保有期間中に支払う運用管理費用の他に、リスク限定のしかけを組成する部分で、さらに多額のコストを負担させられている恐れがあるのだ。

こうした点を考慮すると、投資信託はなるべく仕組みがプレーン(平易)なものが良く、リスクマネジメントはあくまでも長期保有と分散投資で行うのがリーズナブルという結論に達するのである。(証券会社、公社債新聞社、金融データシステム勤務を経て2004年にJOYntを設立、代表取締役に就任、著書多数)

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