【編集長の視点】富士ソフトSBは期末の配当権利取りと割安修正買いが相乗して反発

 富士ソフトサービスビューロ<富士ソフトSB、6188>(JQS)は、前週末24日に7円高の921円と3日ぶりに反発して引け、900円台下位でのもみ合いに煮詰まり感を強めた。明28日に3月期決算会社の配当権利付き最終売買日を迎えることから、同社の年間20円の安定配当を見直し、配当権利取りの買い物が増勢となった。今3月期業績が、連続過去最高更新と続伸予想にあって割安で、株価水準的にも昨年3月のIPO(新規株式公開)時の公開価格890円をやや上回った出遅れ水準にあることも、下値買いの手掛かり材料となっている。

■日本年金機構向けの大型案件に備えた新規採用の1000名が稼働開始

 同社の配当は、30%の配当性向をメドとする株主への利益還元政策に従って、IPO時から年間20円を継続し、しかも期末の一括配当となっている。このため昨年3月のIPO時も、前期期末の配当権利取りも上乗せとなって公開価格890円を上回る1010円で初値をつけ、上場来高値1170円まで買い進まれた。

 一方、同社の今2017年3月期業績は、売り上げ80億円(前期比1.7%増)、営業利益2億7000万円(同7.8%増)、経常利益2億7000万円(同6.9%増)、純利益1億7200万円(同5.5%増)と続伸を予想、売り上げと経常利益は過去最高を連続更新する。日本年金機構向けに昨年10月から事務センターにおける入力業務・共同処理委託業務の大型BPO(業務処理の外部受託)サービス事業を受注したほか、コールセンターサービス事業の大型案件が継続しており、この先行投資として採用した1000名規模の社員が稼働を開始したことなどが、寄与する。

 ただ、今期の四半期業績は、受注した大型案件に備えて社員を採用し教育する先行費用が、事前に発生する同社の先行投資型のビジネスモデルのために、今期の2016年4~9月期(第2四半期、2Q)累計業績は期初予想から下方修正され、第3四半期(2016年4月~12月期)業績も、3月通期業績に対して低利益進捗率にとどまった。しかし3月通期売り上げは、昨年10月の日本年金機構向けの大型受注が寄与して期初予想より3億円上方修正される一方、利益は期初予想通りに続伸する。

■PER、PBR、配当利回りとも市場平均を下回り「半値戻しは全値戻し」へ

 株価は、英国の国民投票によるEU(欧州連合)離脱のショックで上場来安値567円に突っ込み、今期2Q累計業績の下方修正でも613円安値までダメ押しをしたが、公開価格割れは下げ過ぎとして底上げ、3月期末接近とともに公開価格を上抜き、昨年3月の上場来高値1170円から上場来安値までの調整幅の半値戻しをクリアした。配当利回りは、2.17%、PERは11倍台、PBRは1.30倍とジャスダック市場の全銘柄平均を下回ってなお割安で、配当権利取り妙味を示唆しており、株価的にも相場格言の「半値戻しは全値戻し」通りに上場来高値1170円を意識しよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■国内初、HVO51%混合燃料が建設現場で稼働  大成建設<1801>(東証プライム)とユーグレナ…
  2. ■従来の制作プロセスを刷新しAI時代の人材育成を推進  武蔵精密工業<7220>(東証プライム)は…
  3. ■高速道路で手放し運転が可能に、新開発「Honda SENSING 360+」がACCORDの運転支…
2025年7月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031  

ピックアップ記事

  1. ■内需株に広がる「トランプ・ディール」回避の波  東京電力ホールディングス<9501>(東証プライ…
  2. ■日米関税交渉、7月9日に運命の日「90日猶予」迫る潮目  「三日、三月、三年」とは、潮目、変わり…
  3. ■祝日と金融政策が交錯する7月  7月は、7月21日が「海の日」が国民の祝日に制定されてからフシ目…
  4. ■「MMGA」効果の造船株・海運株は「海の日」月間キャンペーン相場も加わり一段高を期待  あと1カ…
  5. ■選挙関連の「新三羽烏」の株価動向をウオッチ  足元では野党が石破内閣への内閣不信認決議案提出を見…
  6. どう見るこの相場
    ■米、イラン核施設を電撃空爆、緊張激化へ  「2週間以内」と言っていたのが、わずか「2日」である。…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る