【編集長の視点】富士ソフトSBは期末の配当権利取りと割安修正買いが相乗して反発
- 2017/3/27 08:07
- 編集長の視点
富士ソフトサービスビューロ<富士ソフトSB、6188>(JQS)は、前週末24日に7円高の921円と3日ぶりに反発して引け、900円台下位でのもみ合いに煮詰まり感を強めた。明28日に3月期決算会社の配当権利付き最終売買日を迎えることから、同社の年間20円の安定配当を見直し、配当権利取りの買い物が増勢となった。今3月期業績が、連続過去最高更新と続伸予想にあって割安で、株価水準的にも昨年3月のIPO(新規株式公開)時の公開価格890円をやや上回った出遅れ水準にあることも、下値買いの手掛かり材料となっている。
■日本年金機構向けの大型案件に備えた新規採用の1000名が稼働開始
同社の配当は、30%の配当性向をメドとする株主への利益還元政策に従って、IPO時から年間20円を継続し、しかも期末の一括配当となっている。このため昨年3月のIPO時も、前期期末の配当権利取りも上乗せとなって公開価格890円を上回る1010円で初値をつけ、上場来高値1170円まで買い進まれた。
一方、同社の今2017年3月期業績は、売り上げ80億円(前期比1.7%増)、営業利益2億7000万円(同7.8%増)、経常利益2億7000万円(同6.9%増)、純利益1億7200万円(同5.5%増)と続伸を予想、売り上げと経常利益は過去最高を連続更新する。日本年金機構向けに昨年10月から事務センターにおける入力業務・共同処理委託業務の大型BPO(業務処理の外部受託)サービス事業を受注したほか、コールセンターサービス事業の大型案件が継続しており、この先行投資として採用した1000名規模の社員が稼働を開始したことなどが、寄与する。
ただ、今期の四半期業績は、受注した大型案件に備えて社員を採用し教育する先行費用が、事前に発生する同社の先行投資型のビジネスモデルのために、今期の2016年4~9月期(第2四半期、2Q)累計業績は期初予想から下方修正され、第3四半期(2016年4月~12月期)業績も、3月通期業績に対して低利益進捗率にとどまった。しかし3月通期売り上げは、昨年10月の日本年金機構向けの大型受注が寄与して期初予想より3億円上方修正される一方、利益は期初予想通りに続伸する。
■PER、PBR、配当利回りとも市場平均を下回り「半値戻しは全値戻し」へ
株価は、英国の国民投票によるEU(欧州連合)離脱のショックで上場来安値567円に突っ込み、今期2Q累計業績の下方修正でも613円安値までダメ押しをしたが、公開価格割れは下げ過ぎとして底上げ、3月期末接近とともに公開価格を上抜き、昨年3月の上場来高値1170円から上場来安値までの調整幅の半値戻しをクリアした。配当利回りは、2.17%、PERは11倍台、PBRは1.30倍とジャスダック市場の全銘柄平均を下回ってなお割安で、配当権利取り妙味を示唆しており、株価的にも相場格言の「半値戻しは全値戻し」通りに上場来高値1170円を意識しよう。(本紙編集長・浅妻昭治)