【CSR(企業の社会的責任)関連銘柄特集】アルコニックスはレアメタル・レアアースなどの取引を通じて社会に還元

アルコニックス:現代社会に不可欠な素材の安定供給を担う

商社機能と製造業を融合し非鉄金属の総合企業を目指す

 アルコニックス<3036>(東1)は、非鉄金属やレアメタル・レアアースなどを取り扱い、商社機能と製造業を融合した非鉄金属の総合企業を目指している。銅やアルミは産業用途に欠かせない基礎素材であり、インジウムやモリブデンなどはIT機器などの電子材料に不可欠。産業界のニーズに応えるだけでなく、現代社会に不可欠な素材として安定供給の責務も担う。
 このため、2019年3月期までの3ヵ年中期計画(機動的な判断が可能なように期間を3年とし1年ごとに更新するローリング方式を採用)では、金属加工分野と装置材料分野を軸とした、さらなる製造業のラインナップ拡充を目指している。また環境負荷の軽減や資源のリユース・リサイクル利用などにも積極的に取り組んでいるところだ。

電子材料向け輸入レアメタル・レアアースのシェアは国内トップクラス

 こうした事業特性のため、同社は早くから地球環境問題などを経営上の重要課題の一つとして位置づけてきた。環境マネジメントシステムに関する国際規格「ISO14001」を取得したのは2003年で、株式をJASDAQに上場した2006年よりも前になる。そして08年には東証2部に昇格し、10年には東証1部に上場した。

 この間、技術革新などにつれて非鉄金属を取り巻く環境は大きく変化し、銅やアルミなどの伝統的素材はニーズが多様化し、レアメタル・レアアースは電子材料などに不可欠な素材として、それなしでは産業界が立ち行かなくなってきた。同社が取り扱う電子材料向け素材の輸入数量におけるシェアは、金属チタンが約50%、ニッケル粉末は約70%、レアアースは30%弱、タングステン化合物は30%強、チタン展伸材は輸出の20%弱。電子材料向けのレアメタル・レアアースではトップクラスの実績となっている。

  レアアース

レアアース

省エネ素材やリサイクルモデル構築にも取り組み持続可能な社会作りを目指す

 このように、同社は非鉄金属やレアメタル・レアアースの取扱いで多くの実績を持ち、事業活動を通じて、日本の産業界の高い技術力を維持する一端を担っている。このため、商社としての流通事業にとどまらず、独自の技術開発や用途開発による産業界への貢献を目指し、金属加工分野と装置材料分野を軸に製造業のラインナップ拡充を進めてきた。

 「電子機能材」事業では、原料(レアメタル・レアアース)から製品(電子材料・機能性材料)までを網羅したビジネスを展開し、スマートフォン・タブレット端末向け部材などをはじめ、自動車、家電、半導体、IT分野などの幅広い分野においてコア素材から環境対応材料までを取り扱い、提供している。
 「アルミ銅」事業では、同社のルーツであり環境配慮製品の最先端であるアルミ製品、及び伸銅品を自動車、家電、半導体から建設、エネルギーと幅広い分野で販売。特に連結子会社のアルミ銅センターでは独自のスクラップヤードを保有し、アルミ・銅スクラップの回収と販売を手掛ける。
 「装置材料」事業では、2012年12月に子会社化したユニバーティカルホールディングスが自動車、半導体、建設、航空・防衛向けめっき材料の製造を担い、15年7月に子会社化した東海溶業では、自動車金型用溶接棒、工作機械向け溶接棒を、そして16年2月に子会社化したマークテックでは、自動車、航空、電力向け非破壊検査装置及び探傷剤、並びに鉄鋼向けマーキング装置の製造を行っている。

 また「金属加工」事業では、09年7月に子会社化した大川電機製作所が航空・防衛、半導体、産業機械用切削加工部品の製造を行い、13年5月に子会社化した大羽精研では、チップマウンター用ヘッド機構部品向け研削加工部品、及び自動車用試作部品などの製造を担当。さらに、持分法適用関連会社である上海龍陽精密複合鋼管(中国)、広東創富金属製造(中国)では、自動車(焼結部品、駆動部品)、家電(空調配管部品など)の分野で開発製造を行っている。

 民間航空機の需要は今後20年間で2倍以上に拡大する見込みとされることなどを受け、2016年2月には、品質マネジメントシステム「JIS Q 9100:2009」を認証取得した。これにより、同社開発の先端技術製品が「IAQG-OASIS」データベースシステムに公開され、世界中の航空機関連メーカーに同社の「製品プロジェクト部・輸送機材チーム」の存在を示すことになった。

タブレット端末・スマートフォン

タブレット端末・スマートフォン

レアメタル・レアアースの取引を通じて社会に還元

 また、同社の事業の一つとして、アルミニウムや銅スクラップと、それらを再溶解してできた再生塊の取引がある。例えば飲料のアルミ缶が早くからリサイクルされていたように、アルミニウムや銅はリサイクルの代表格。同社の取扱うアルミ再生塊は、ダイカストメーカーでアルミダイカスト製品となったあと、自動車関連メーカーで主に自動車のエンジンや部品となり、銅スクラップは溶解したあと半導体基板や電子材料に生まれ変わっている。こうしたリサイクル関連事業を通じて環境ビジネスに積極的に関わり、環境保全に努めている。

 地球環境問題を経営上の重要課題の一つと位置づけ、環境負荷の軽減、循環型事業・省エネルギー事業の促進、環境関連諸法規等の遵守、環境管理体制の充実、などの環境方針を定め、あらゆる活動を通じて地球環境の保全と改善に努め、次の世代に豊かな地球を引き継ぐことを目指している。

今期の業績は円高の影響を受けるが中期的には非鉄市況高などで上ぶれも

 今期・2017年3月期の連結業績予想は、全体に円高などの影響があるほか、前期に計上した平和金属の「負ののれん」益の反動減もあり、売上高を前期比5.8%減の1900億円とし、営業利益は同5.1%減の36億円、経常利益は同8.9%減の39億円、純利益は同39.7%減の30億円とする。。

 現在進行中の新中期経営計画(2017年3月期~19年3月期:1年ごとに見直すローリング方式)ではROEは13~15%程度、NET/DER1.0~1.3倍程度を掲げ、3年間の投融資総額はM&A・事業投資を中心に200億円の計画としている。

 

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