神鋼商事は17年3月期業績予想を増額修正、18年3月期は市況回復で好業績期待

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 神鋼商事<8075>(東1)は鉄鋼・鉄鋼原料・非鉄金属関連の専門商社で、KOBELCO(神戸製鋼グループ)の中核となるグローバル商社を目指している。3月31日、17年3月期業績予想の増額修正を発表した。減収減益幅が縮小する見込みだ。そして18年3月期は円安や市況回復で好業績が期待される。株価は戻り高値圏でモミ合う形だが、日柄調整が完了し、増額修正を評価して上値を試す展開が期待される。

■KOBELCO(神戸製鋼グループ)の中核商社

 神戸製鋼所<5406>系で鉄鋼製品、鉄鋼原料、非鉄金属、機械・情報、溶接材料・機器などを扱う専門商社である。

 なおNPO法人ヒーローズが運営する小学5~6年生対象の少年少女ラグビー全国大会「第9回HEROES CUP」をオフィシャルスポンサーとして協賛した。今後も地域貢献の観点からCSR活動を推進するとしている。

 また17年2月には、日興アイ・アールが発表した「2016年度全上場企業ホームページ充実度ランキング」において、当社ホームページが優秀企業ホームページに選定された。

■M&Aも活用してグローバル商社目指す

 M&Aも積極活用し、KOBELCO(神戸製鋼グループ)の中核となるグローバル商社を目指している。

 14年7月筒中金属産業が新設分割で設立した国内卸売事業会社(現コベルコ筒中トレーディング)を子会社化、15年5月コベルコ筒中トレーディングが韓国でアルミ高精度厚板の切断加工・卸売事業を展開している韓国筒中滑川アルミニウム(現ケーティーエヌ)を子会社化、15年8月ミャンマー・ヤンゴン市に神鋼商事ヤンゴン支店を開設した。

 16年1月非鉄金属材料の素材・加工品を販売する中山金属が新設分割で設立した国内外卸売事業会社の株式80%を取得し、国内外卸売事業会社および海外子会社を子会社化した。株式取得対象の国内外卸売事業会社の商号は中山金属(新)で、海外子会社は中国(上海)、タイ、インドネシアの3社である。16年4月神戸製鋼所の子会社で溶接材料、溶接機器、産業用機械などを扱う商社エヌアイウエル(現エスシーウエル)の株式80%を取得して子会社化した。

 3月27日には森本興産(大阪市)の株式40%取得を発表した。森本興産は鉄鋼製品の販売および鋼板製品の加工を展開し、建材分野に多くの優良顧客を有している。2016~2020年度中期経営計画で掲げた商社機能の強化への取り組みの一環として実行する。

 海外は14年9月メキシコにおける線材二次加工拠点となる合弁会社KCHM(出資比率は当社40%、メタルワン25%、神戸製鋼所10%、大阪精工10%、メキシコGrupo Simec10%、米O&k American5%)を設立し、16年10月開所式を開催した。

■売上総利益率は改善傾向

 四半期別推移を見ると、15年3月期は売上高が第1四半期2140億42百万円、第2四半期2124億16百万円、第3四半期2140億78百万円、第4四半期2298億71百万円、経常利益が16億38百万円、13億59百万円、17億44百万円、18億34百万円で、16年3月期は売上高が2163億60百万円、2031億23百万円、1893億35百万円、1825億24百万円、経常利益が20億49百万円、12億46百万円、13億33百万円、12億80百万円だった。

 16年3月期は、資源価格下落や期末にかけてのドル安・円高などの影響で、鉄鋼・半導体・電機業界向け取扱数量が減少し、鋼板製品の市況低迷、輸入鉄鋼原料の販売価格下落、国内人員増加による人件費増加なども影響して減収減益だった。売上総利益は同2.4%増加し、売上総利益率は3.4%で同0.4ポイント上昇した。販管費は同8.3%増加し、販管費比率は2.6%で同0.4ポイント上昇した。売上総利益率は改善傾向だ。

 営業外では為替差損益が悪化したが、デリバティブ評価損益が改善した。営業外収益では受取配当金が増加し、持分投資利益も増加した。特別利益では固定資産売却益が減少した。ROEは8.2%で同2.0ポイント低下、自己資本比率は17.1%で同0.7ポイント低下した。配当性向は20.4%だった。配当については企業体質の強化と将来の事業展開に必要な内部留保等を考慮しつつ、各期の業績に応じた配当を継続していくことを基本方針としている。

 セグメント別(連結調整前、経常利益)動向を見ると、鉄鋼は同1.1%減収で同11.5%減益、鉄鋼原料は同21.3%減収だが同53.8%増益、非鉄金属は同0.8%減収で同16.3%減益、機械・情報は同6.2%減収で同6.9%減益、溶材は同3.9%減収で同55.6%減益だった。

■17年3月期第3四半期累計は減収減益だが売上総利益率上昇

 前期(17年3月期)第3四半期累計(4~12月)連結業績は、売上高が前年同期比9.3%減の5522億83百万円、営業利益が同25.8%減の32億77百万円、経常利益が同16.0%減の38億88百万円、そして純利益が同7.5%減の27億45百万円だった。鉄鋼、自動車、半導体、空調関連は堅調だったが、資源価格や地金価格の下落、円高影響などで減収減益だった。

 売上総利益は同4.0%減少したが、売上総利益率は3.5%で同0.2ポイント上昇した。販管費は同2.2%増加し、販管費比率は2.9%で同0.4ポイント上昇した。営業外では持分法投資利益が増加(前期2億53百万円、今期6億47百万円)し、為替差損益が改善(前期は差損5億69百万円、今期は差益5億94百万円)したが、受取配当金が減少(前期8億02百万円、今期6億円)し、デリバティブ評価損益が悪化(前期は評価益3億18百万円、今期は評価損7億77百万円)した。

 セグメント別(連結調整前、経常利益)に見ると、鉄鋼は市況低迷や円高の影響で7.0%減収・26.2%減益、鉄鋼原料は取扱数量減少や価格下落で17.6%減収・2.0%減益、非鉄金属はアルミ・銅地金価格下落の影響で10.1%減収だが空調用銅管や自動車向け端子材用銅板条の数量増加で18.2%増益、機械・情報は建設機械用部品の減少などで0.4%増収・18.7%減益、溶材は建築鉄骨向けや韓国LNG案件向けの増加で11.3%増収・61.5%増益だった。

 なお四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期1777億78百万円、第2四半期1802億45百万円、第3四半期1942億60百万円、営業利益は7億93百万円、10億74百万円、14億10百万円だった。

■17年3月期通期予想を増額修正して減収減益幅縮小

 前期(17年3月期)通期の連結業績予想について、3月31日に増額修正を発表した。前回予想(9月30日に売上高と営業利益を減額、経常利益と純利益を増額修正)に対して、売上高を600億円増額して前々期(16年3月期)比3.1%減の7670億円、営業利益を7億円増額して同21.1%減の46億円、経常利益を7億円増額して同10.3%減の53億円、純利益を1億円増額して同13.8%減の30億円とした。

 主要需要家である鉄鋼、自動車、半導体、空調などの業界向けが堅調に推移し、原料炭価格の上昇や円安進行のメリットで売上高、利益とも前回計画を上回り、減収減益幅が縮小する見込みだ。なお特別損失として、インドの子会社における減損損失約11億円、インドネシアの投資先向け債務保証損失や投資有価証券評価損で減損損失約1億円を計上する。

 前期(17年3月期)の減収減益幅が縮小し、さらに今期(18年3月期)は円安や市況回復で好業績が期待される。

 配当予想は、16年10月1日付で10株を1株に株式併合し、第2四半期末4円、期末60円(普通配当40円+創立70周年記念配当20円)としている。株式併合後に換算すると年間100円で、16年3月期の換算後80円に対して実質的に20円増配となる。修正後の純利益で算出すると予想配当性向は29.5%となる。

■新中期経営計画で21年3月期経常利益80億円目標

 新中期経営計画(16年度~20年度)では、10年後の姿をイメージした長期経営ビジョン(10年度発表)のもと、3つの全体戦略(グローバルビジネス加速、商社機能強化、経営基盤充実)を柱に諸施策を推進するとした。

 そして経営目標数値には、21年3月期売上高8900億円、経常利益80億円(鉄鋼35億円、鉄鋼原料13億円、非鉄金属24億円、機械・情報14億円、溶材6億円)、純利益52億円、海外取引比率50%(16年3月期実績40.5%)、自己資本比率20%以上、ROE8%以上、D/Eレシオ1.0倍、期末人員1840人(16年3月期末1508人)を掲げている。

 投資計画は4年間合計300億円で、鉄鋼(80億円)は北米・メキシコ・インドにおける線材二次加工設備増強、厚板溶断設備増強、鉄鋼原料(100億円)は北米・豪州・他における原料権益への投資、非鉄金属(50億円)はメキシコ・中国・韓国・ASEANなど海外事業拠点の増強、新事業拠点の設立、機械・情報(20億円)は国内外における機械メーカー、エンジニアリング、サービス会社への出資、溶材(10億円)は流通取引先への出資、本社(IT投資他)(40億円)はM&Aの検討、業務システム改善などを推進する。

■株価は日柄調整完了、増額修正評価して上値試す

 株価の動き(16年10月1日付で10株を1株に併合、単元株式数を1000株から100株に変更)を見ると、戻り高値圏2400円~2500円近辺でモミ合う展開だ。安値圏1600円近辺から急伸後の日柄調整局面のようだ。

 3月31日の終値2396円を指標面で見ると、前期推定連結PER(修正後の会社予想連結EPS338円80銭で算出)は7倍近辺、前期推定配当利回り(会社予想に株式併合を考慮した年間100円で算出)は4.2%近辺、そして前々期実績連結PBR(前々期実績に株式併合を考慮した連結BPS4753円60銭で算出)は0.5倍近辺である。時価総額は約212億円である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線が接近してきた。日柄調整が完了し、増額修正を評価して上値を試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞アナリスト水田雅展)

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