【アナリスト水田雅展の銘柄分析】立花エレテックは高値圏で堅調、15年3月期再増額の可能性や割安感を評価して上値追い

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

電機・電子技術商社の立花エレテック<8159>(東1)は、2月4日に第3四半期累計(4月~12月)業績を発表して増収増益だった。株価は1月5日の高値1750円から上げ一服の形となったが、高値圏1600円近辺で堅調に推移している。今期15年3月期)の業績見通しに再増額の可能性があり、低PERや低PBRも評価して上値追いの展開だろう。

FAシステム事業、半導体デバイス事業を主力として、施設事業、産業デバイスコンポーネント事業、その他事業(ソリューション事業とMS事業)を展開している。MS(マニュファクチャリング・サービス)事業は金属加工の製造受託(MMS)と電子機器の製造受託(EMS)を統合した事業である。

積極的なM&A戦略を推進し、10年にFA機器専門商社の大電社を完全子会社化、12年に関東圏を地盤とするFA機器専門商社の高木商会と資本・業務提携して持分法適用会社化(14年12月に株式を追加取得して連結子会社化)した。13年2月には、ルネサスエレクトロニクス<6723>の販売子会社からコンポーネント事業と半導体製品再販事業の移管を受けて、子会社の立花デバイスコンポーネントを設立した。海外は中国などアジア地域に子会社8社で合計14営業拠点を展開している。

技術商社の強みを活かして海外ビジネスの拡大、グループシナジーの追求、事業領域の拡大、営業力強化と体質改善などを推進している。中期成長に向けた重点戦略としては、FAシステム事業ではロボット関連の強化、半導体デバイス事業では品揃えの強化、施設事業では年間売上高150億円への挑戦、産業デバイスコンポーネント事業では事業再構築などを掲げている。なお16年3月期スタートの中期経営計画を15年3月期中に策定するようだ。

2月4日に発表した今期(15年3月期)第3四半期累計(4月~12月)の連結業績は、売上高が前年同期比0.9%増の1008億65百万円、営業利益が同11.5%増の32億07百万円、経常利益が同1.4%増の40億09百万円、純利益が同59.5%増の43億93百万円だった。主力のFAシステム事業と半導体デバイス事業の好調が牽引して増収増益だった。

なお特別利益に、子会社化関連損益15億99百万円(高木商会の株式追加取得に伴う負ののれん発生益40億75百万円から、段階取得に係る差損24億75百万円を差し引いた額)を計上した。

セグメント別に見ると、FAシステム事業は同1.0%増収、同19.4%営業増益だった。FA機器分野のプログラマブルコントローラや産業機械分野の製造ライン向け自動機などが好調だった。半導体デバイス事業は同2.1%増収、同9.7%営業増益だった。自動車関連のロジックICや民生品向けパワーモジュールなどが好調だった。

施設事業は同3.9%減収、同28.9%営業減益だった。天候不順や住宅着工減少の影響でルームエアコンなどが低調だった。産業デバイスコンポーネント事業は同21.2%減収、同53.4%営業減益だった。タッチパネルモニターなどが堅調だったが、住基ネット案件の一巡でコンピュータ周辺機器が減少した。その他は同21.7%増収だが72百万円の営業赤字だった。

通期の連結業績見通しは、前回予想(高木商会の連結子会社化に伴って12月12日に増額修正)を据え置いて、売上高が前期比5.7%増の1500億円、営業利益が同12.2%増の49億円、経常利益が同4.1%減の54億円、純利益が同38.3%増の53億円としている。また配当予想は前回予想(5月12日公表)を据え置いて年間22円(第2四半期末11円、期末11円)としている。

通期見通しに対する第3四半期累計の進捗率は売上高が67.2%、営業利益が65.4%、経常利益が74.2%、純利益が82.9%である。FAシステム事業のプログラマブルコントローラなど好採算分野の受注が好調であることや、設備投資関連は第4四半期(1月~3月)の構成比が高くなる収益構造を考慮すれば高水準であり、通期再増額の可能性があるだろう。

なお12月12日に株式分割を発表し、15年3月31日を基準日(効力発生日15年4月1日)として1株を1.2株に分割する。

株価の動きを見ると、1月5日の高値1750円まで上伸した後に、上げ一服の形となったが、大きく反落することなく高値圏の1600円近辺で堅調に推移している。今期好業績見通しや株式分割を好感する動きだろう。

2月6日の終値1619円を指標面(1株あたり数値は15年4月1日付の株式分割前)で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS244円42銭で算出)は6~7倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間22円で算出)は1.4%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS2130円80銭で算出)は0.8倍近辺である。

週足チャートで見ると13週移動平均線近辺から切り返しの動きを強めている。サポートラインを確認して強基調の形だ。今期業績見通しに再増額の可能性があり、低PERや低PBRも評価して上値追いの展開だろう。

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