エフティグループは17年3月期横ばい予想だが、積極的な事業展開で18年3月期収益拡大期待

 エフティグループ<2763>(JQ)は、法人向け環境関連商品・情報通信機器販売を展開し、M&Aも積極活用してストック型収益・業容拡大戦略を推進している。17年4月には新しい電力サービスブランド「エフエネでんき」のサービスを開始した。17年3月期は営業利益横這い予想だが、積極的な事業展開で18年3月期は収益拡大が期待される。株価は戻り一服の形だが、自律調整が一巡し、指標面の割安感も見直して戻りを試す展開が期待される。

■法人向けLED照明、ビジネスホン、OA機器などの販売が主力

 13年6月TOBで光通信<9435>の連結子会社となり、15年8月持株会社に移行して、社名をエフティコミュニケーションズからエフティグループに変更した。

 傘下の事業会社で、法人事業(中小企業・個人事業主向けLED照明等環境関連商品、ビジネスホン・OA機器・SOHOスモールサーバー等情報通信機器の販売、WEB制作サービスやインターネットサービスの提供)、コンシューマ事業(一般消費者向けインターネットサービスの提供、ドコモショップ運営)を展開している。16年3月期の事業別売上高構成比(連結調整前)は法人事業84%、コンシューマ事業16%である。

■M&A・アライアンスを積極活用してストック型収益と業容を拡大

 LED照明や空調などの環境商材を重点分野と位置付け、中期成長に向けた重点戦略として、定額保守サービスなどストック型収益の積み上げ、M&Aも活用した業容拡大、海外展開、プラットフォーム事業の強化を推進している。

 13年10月ネットワークセキュリティ機器製造のアレクソンを子会社化、13年11月ビジネスホン・OA機器販売のグロースブレイブジャパンを子会社化、13年12月ノンフロン新自然冷媒ガス販売・施工のニューテックを子会社化、スマホ・タブレット端末で個人間プラットフォーム事業・マルチ決済ソリューションを展開する子会社ViewPointを設立、14年9月インターネット事業を担当する子会社アイエフネットがWEBサイト制作外注先のアドマウントを子会社化、15年9月子会社エフティコミュニケーションズウエストおよびグロースブレイブジャパンがレカム<3323>広島支店の通信機器等販売事業を譲り受けた。

 15年12月西日本地区における個人向け太陽光発電設備販売の最大手アローズコーポレーションと資本業務提携、16年4月東日本地区における個人向け太陽光発電設備販売の最大手エージー・ジャパンと資本業務提携し、東日本および西日本地区の個人向け太陽光発電設備販売の最大手企業との提携が実現した。

 16年5月新電力サービス「ハルエネでんき」を運営するハルエネと販売取次に関する契約を締結した。法人向けに新電力サービスの取次販売を行う。16年8月レカム<3323>の中国現地法人であるレカムビジネスソリューションズ社(大連)に出資(出資比率4.0%)した。LED照明の供給支援を行う。

 16年9月、トップマークスとの合弁会社リアン(16年7月設立、当社の持分法適用会社)がインターネット接続サービスおよびLED照明等環境関連商品の販売を開始した。また節水装置「JET」の開発元で代理店向け卸売販売を展開するエコテクソリューション社を子会社化(出資比率57.9%)した。節水コンサルティングノウハウの提供を受けてストックビジネスのさらなる強化を図る。さらにLED照明レンタル事業のコーウェル社と資本業務提携(出資比率2.54%)した。店舗装飾用LED照明を商品ラインナップに加える。

 16年10月、西日本地区における個人ユーザー向け太陽光発電設備販売の最大手で15年12月に資本業務提携したアローズコーポレーションを子会社化(出資比率50.5%)した。

■グループ再編も推進

 16年3月子会社FRONTIERが、グループの個人向け太陽光発電設備や蓄電池等を専門に扱う環境事業関連会社として、太陽光発電設備および蓄電池の販売を開始した。16年4月子会社アイエフネットのWEBサイト制作等の制作サービス部門を子会社TRUSTに移管、環境関連商品販売事業を新たに設立した子会社大和環境設備に移管した。アイエフネットは光コラボレーション「ひかり速トク」およびインターネットサービスプロバイダーの通信事業者と位置付けた。

 16年6月にはコンシューマ事業のドコモショップ半道橋店と高見店の店舗運営会社が連結子会社サンデックスから富士通パーソナルズに変更になった。ドコモショップ北上店・宮古千徳店・西根店の3店舗は引き続きサンデックスが運営する。

 16年7月の法人事業組織変更で、事業会社をエフティコミュニケーションズ、エフティエコソリューション(大和環境設備が商号変更)、TRUST、エフティ北日本(エフティコミュニケーションズの北日本地区を分社)、エフティ東北(エフティコミュニケーションズの東北地区を分社)、エフティコミュニケーションズウエスト、エフティ東海(エフティコミュニケーションズウエストの東海地区を分社)、エフティ中四国(グロースブレイブジャパンが商号変更)、エフティ九州(エフティコミュニケーションズウエストの九州地区を分社)とした。新設4社は8月営業開始した。

 16年9月には連結子会社エフティエナジーが経済産業省資源エネルギー庁から小売電気事業者の登録を受けて電力事業に参入した。なお17年3月、エフティエナジーがエフエネに商号変更した。新しい電力サービスブランド「エフエネでんき」を前面に打ち出す商号とした。そして17年4月、新しい電力サービスブランド「エフエネでんき」のサービスを開始した。

 海外は14年7月設立のタイ子会社をASEAN地域への事業展開拠点として、LED照明など環境商材の販売を推進している。15年9月にはフィリピン現地法人FTグループ・フィリピンを設立した。

 16年11月にはインドネシアのMTI社の株式を取得して子会社化(間接含めて100%出資、17年4月事業開始予定)した。タイとフィリピンに続き、インドネシアにおいてLED照明販売の環境関連事業を展開する。

■ストック型収益を積み上げ

 四半期別の業績推移を見ると、15年3月期は売上高が第1四半期82億33百万円、第2四半期88億68百万円、第3四半期87億73百万円、第4四半期89億30百万円、営業利益が9億28百万円、10億13百万円、10億77百万円、10億91百万円、16年3月期は売上高が80億85百万円、91億09百万円、99億73百万円、100億47百万円、営業利益が8億59百万円、13億01百万円、13億78百万円、13億35百万円だった。

 ストック型収益の積み上げで営業損益は拡大基調だ。なお16年3月期から、営業外収益に計上していた受取ロイヤリティーを取引形態ごとに、売上高に関連して獲得するものは売上高に含めて計上し、仕入高に関連して獲得するものは売上原価から控除する方法に変更した。

 16年3月期は法人事業の好調が牽引して過去最高益を更新した。差引売上総利益は15年3月期比0.9%減少し、差引売上総利益率は48.6%で同3.7ポイント低下した。販管費は同4.1%減少し、販管費比率は35.5%で同3.9ポイント低下した。営業外では持分法投資損益が悪化し、営業外費用では為替差損を計上した。ROEは26.2%で同3.2ポイント低下、自己資本比率は56.6%で同3.1ポイント上昇した。

 配当は第2四半期末30円と期末14円だった。15年10月1日付株式3分割の遡及修正後で年間72円(第2四半期末30円、期末14円×3=42円)となり、15年3月期の年間70円に対して実質的に2円増配だった。配当性向は28.5%だった。

 セグメント別(連結調整前)動向を見ると、法人事業は売上高が同7.1%増の316億74百万円、営業利益が同21.7%増の56億40百万円だった。商品別にはコピー機が1.5%増収、LED照明が30.8%増収、冷媒ガス等環境関連商品が19.0%増収、ビジネスホンが4.8%増収、サーバー・セキュリティUTMが49.6%増収、光コラボ(Bフレ)ISPが4.6%減収、WEBサイト制作が2.1%増収、法人携帯が37.0%減収、その他が39.1%減収だった。

 コンシューマ事業は売上高が同0.1%減の59億57百万円、営業利益が3億51百万円の赤字(前々期は3億52百万円の黒字)だった。光コラボ獲得数はコンシューマ向け「ひかり速トク」が4万7400回線、法人向け「FT光」が4300回線、合計が5万1700回線だった。

■17年3月期第3四半期累計は減益

 前期(17年3月期)第3四半期累計(4~12月)の連結業績は、売上高が前年同期比6.3%増の288億90百万円、営業利益が同18.3%減の28億92百万円、経常利益が同18.1%減の28億84百万円、純利益が同21.5%減の16億68百万円だった。

 売上総利益率が低下して減益だった。差引売上総利益は同2.5%減少し、差引売上総利益率は45.4%で同4.0ポイント低下した。販管費は同3.2%増加したが、販管費比率は35.3%で同1.1ポイント低下した。

 セグメント別(連結調整前)動向を見ると、法人事業は売上高が同5.8%減の220億64百万円で営業利益が同22.7%減の31億87百万円だった。UTMサーバは8.8%増収、FT光ISPは4.9%増収、WEBサービスは14.7%増収だったが、LED照明が2.4%減収、ビジネスホンが6.0%減収、OA機器が27.1%減収だった。OA機器は販売台数が減少し、前年同期に獲得できた仕入先からの受取コミッションを獲得できなかった。社員が働きやすい環境整備を行うため営業社員の年間休日数を増やして営業稼働日が減少したこと、4月入社新卒社員の戦力化が遅れたこと、既存顧客に対する営業を制限して新規開拓を促進するリスト戦略で社員一人当たり生産性が低下したことも影響した。

 コンシューマ事業は売上高が同73.6%増の70億52百万円で営業利益が1億54百万円の赤字(前年同期は2億91百万円の赤字)だった。第3四半期(10~12月)から太陽光発電設備販売のアローズコーポレーションを連結化し、四半期ベースでは黒字化した。またストックサービスである光コラボ自社サービス「ひかり速トク」は83.0%増収だった。ドコモショップは九州地区2店舗を他社に移管して31.8%減収だった。

 なお四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期92億08百万円、第2四半期92億54百万円、第3四半期104億28百万円、営業利益は10億60百万円、8億06百万円、10億26百万円だった。

■17年3月期通期営業利益横ばい予想だが、18年3月期収益拡大期待

 前期(17年3月期)通期連結業績予想(11月10日に利益を減額修正)は、売上高が前々期(16年3月期)比7.5%増の400億円、営業利益が同0.5%増の49億円、経常利益が同0.3%増の48億50百万円、純利益が同8.2%減の27億円としている。

 増収基調に変化はないが、法人事業におけるOA機器の販売台数減少による受取コミッションの低下、売上総利益率の低下、新規顧客開拓推進のリスト戦略による生産性低下、新卒社員199名入社の戦力化遅れなどの影響で、営業利益横ばい予想である。

 通期会社予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が72.2%、営業利益が59.0%、経常利益が59.5%、純利益が61.8%と低水準の形だが、ストック収益の積み上げを推進する。第4四半期以降は新卒社員の戦力化や生産性向上も期待される。

 事業別の計画は、法人事業の売上高が同1.0%増の320億円で営業利益が同7.8%減の52億円、コンシューマ事業の売上高が同34.2%増の80億円で営業利益が1億円の赤字(前期は3億51百万円の赤字)としている。コンシューマ事業は16年10月子会社化したアローズコーポレーションも寄与する。

 配当予想は増額修正した。利益還元の基本方針を「安定した配当を継続的に実施する」から「親会社に帰属する当期純利益に対する配当性向50%を目途に将来の事業展開等を総合的に勘案する」に変更し、期末配当を6円増額して年間34円(第2四半期末14円、期末20円)とした。16年3月期(15年10月1日付株式3分割を考慮すると年間24円)との比較では実質的に10円増配となる。推定配当性向は42.6%となる。

■株価は自律調整一巡して戻り試す

 株価の動きを見ると、3月の年初来高値809円から一旦反落したが、自律調整の範囲だろう。

 4月14日の終値739円を指標面で見ると、前期推定連結PER(会社予想連結EPS79円77銭で算出)は9~10倍近辺、前期推定配当利回り(会社予想の年間34円で算出)は4.6%近辺、前々期実績連結PBR(前々期実績連結BPS349円52銭で算出)は2.1倍近辺である。時価総額は約268億円である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線近辺で下げ渋る形だ。自律調整が一巡し、指標面の割安感も見直して戻りを試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞アナリスト水田雅展)

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