菊池製は今期業績の伸び悩みを織り込み株式分割の権利取りが再燃し反発

編集長の視点

【編集長の視点】

菊池製作所<3444>(JQS)は、70円高の5860円と反発して始まっている。来週28日に迫った権利付き最終日を前に株式分割の権利取りの買い物が再燃している。同業他社のCYBERDYNE<サイバダイン、7779>(東マ)が、同じく株式分割の権利取りで上場来高値をつけ、権利落ち後も高人気を継続していることも意識、菊池製の今4月期業績の伸び悩み推移は織り込み済みとして、ロボット関連株の急騰習性の再現も期待されている。

■新工場に生産設備を導入し介護ロボットのオリジナル製品を投入

株式分割は、投資単位当たりの金額を引き下げて投資しやすい環境を整え、同社株式の流動性を向上させ投資家層を拡大することを目的にしており、10月31日を基準日に1株を3株に分割する。配当も、株式分割に伴い前期実績・今期予定の20円を7円に修正するが、株式分割を勘案すると実質1円の増配となる。

一方、同社の今4月期業績は、売り上げ59億円(前期比7.1%増)、経常利益1億4000万円(前期は5200万円の赤字)、純利益8300万円(同47.5%減)と増減マチマチ予想となっている。前期業績は、携帯電話、デジタルカメラなどの情報通信機器・精密電子機器メーカーの新製品開発抑制による受注低迷や、東京電力<9501>(東1)福島第1原子力発電所事故の影響による生産効率低下などで経常利益が、赤字転落したが、今期は、顧客に対して試作開発品製造の受注時点で試作段階から組立・量産製造段階までを網羅する技術提案を積極化、さらにとくに注力する介護ロボット分野で、政府の成長戦略推進により市場ニーズが高まっているマッスルスーツなどのオリジナル製品を市場投入、生産能力を増強していることなどが要因となる。

なお純利益は、前期に計上した東京電力から受領した原発事故の補償金2億5500万円、福島県の川内工場新設、飯館工場増設、生産設備導入などで受領した補助金収入12億8900万円などが一巡して減益転換する。今年9月9日に発表した今期第1四半期(1Q)業績は、売り上げが前年同比8.7%減と続落、経常利益が1億1800万円の赤字(前年同期は1億1700万円の赤字)、純利益が7200万円の赤字(同6000万円の赤字)と伸び悩んだが、第2四半期累計・4月通期業績については、期初予想を据え置いた。

■同業他社のサイバダインは権利落ち後も高人気が続き権利取り妙味を示唆

株価は、今年3月26日にロボットスーツの研究開発・製造・販売メーカーのサイバダインが、新規株式公開され公開価格3700円に対して、今年7月31日を基準日に実施した株式分割(1対5)も追撃材料に上場来高値1万4620円まで約4倍化し、菊池製も、関連人気を高めて上場来高値1万140円まで約3倍化、ほぼ往って来いの調整をした。サイバダインは、分割権利落ち後も落ち安値から1000円幅の水準訂正するなど高人気が続いており、菊池製も、同様の展開が予想され権利取り妙味を示唆している。(本紙編集長・浅妻昭治)

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