ヒーハイスト精工は17年3月期大幅増益予想で18年3月期も収益改善基調期待

 ヒーハイスト精工<6433>(JQ)は直動機器を主力としている。小径リニアボールブッシュの世界トップメーカーである。17年3月期大幅増益予想で、18年3月期も収益改善基調が期待される。株価は自律調整が一巡し、収益改善基調を評価して戻りを試す展開が期待される。0.5倍近辺の低PBRも見直し材料だ。

■小径リニアボールブッシュの世界トップメーカー

 球面加工技術や鏡面加工技術をコア技術として、直動機器(リニアボールブッシュや球面軸受けなど)、精密部品加工(レース用部品や試作部品の受託加工など)、ユニット製品(液晶製造装置向けなど)を展開している。小径リニアボールブッシュの世界トップメーカーである。

 主力のリニアボールブッシュは、機械装置の稼働部に用いられる部品で、金属と金属の接触面を鋼球が転がりながら移動することで摩擦による影響を低減し、機械装置の寿命を延ばす役割を担っている。

 16年3月期の製品別売上構成比は直動機器65%、精密部品加工28%、ユニット製品7%で、主要販売先の売上構成比はTHK<6481>54%、本田技研工業<726>21%である。

■産業用機械・電子部品・自動車関連の設備投資動向が影響する収益特性

 四半期別の業績推移を見ると、16年3月期の売上高は第1四半期4億16百万円、第2四半期3億82百万円、第3四半期4億38百万円、第4四半期3億92百万円、営業利益は21百万円、2百万円、47百万円、3百万円の赤字だった。産業機械・電子部品・自動車関連の設備投資動向の影響を受けやすく、設備投資関連のため四半期業績が変動しやすい収益特性もある。

 16年3月期連結業績は15年3月期比15.3%増収となり、営業利益は黒字化、経常利益は2.2倍増益、純利益は4.7倍増益となった。増収効果や生産性向上・原価低減効果などで営業黒字化した。直動機器は4.5%増収、精密部品加工はレース用部品の好調で54.3%増収、ユニット製品は9.9%増収だった。

 なお売上総利益は同15.1%増加したが、売上総利益率は29.3%で同横ばいだった。販管費は同1.6%減少し、販管費比率は25.2%で同4.3ポイント低下した。ROEは1.1%で同0.9ポイント上昇、自己資本比率は74.0%で同2.4ポイント上昇した。配当は7期ぶりの復配で年間1円(期末一括)とした。配当性向は19.1%だった。

■17年3月期第3四半期累計は大幅増収増益

 前期(17年3月期)第3四半期累計(4月~12月)の連結業績は、売上高が前年同期比15.3%増の14億26百万円、営業利益が同29.3%増の91百万円、経常利益が同32.7%増の76百万円、純利益が同58.8%増の53百万円だった。

 主力の直動機器が堅調に推移し、レース用部品精密加工や液晶製造装置向けユニット製品の大幅伸長も寄与して2桁増収となり、増収効果や生産性向上・原価低減効果で大幅増益だった。製品別売上高は直動機器が同6.1%増の8億68百万円、精密部品加工が同37.1%増の4億41百万円、ユニット製品が同20.8%増の1億16百万円だった。

 売上総利益は同10.2%増加したが、売上総利益率は29.1%で同1.4ポイント低下した。また販管費は同5.8%増加したが、販管費比率は22.8%で同2.0ポイント低下した。営業外費用では為替差損が増加(前期8百万円、今期12百万円)した。

 四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期4億42百万円、第2四半期4億42百万円、第3四半期5億42百万円、営業利益は27百万円、17百万円、47百万円だった。

■17年3月期大幅増益予想で18年3月期も収益改善基調

 前期(17年3月期)通期の連結業績予想(5月13日公表)は売上高が前々期(16年3月期)比2.4%増の16億67百万円で、営業利益が同30.4%増の87百万円、経常利益が同50.0%増の83百万円、そして純利益が同74.0%増の56百万円としている。配当は前々期と同額の年間1円(期末一括)で配当性向は11.0%となる。

 通期会社予想に対する第3四半期累計の進捗率は、売上高が85.5%、営業利益が104.6%、経常利益が91.6%、純利益が94.6%と高水準である。通期会社予想に増額余地がありそうだ。そして今期(18年3月期)も収益改善基調が期待される。

■リニアボールブッシュの競争力強化・拡販を推進

 収益力向上および経営基盤強化に向けた重点方針として、生産能力向上とコストダウンによる採算性向上、QCDの徹底追求による顧客対応力の強化、顧客ニーズに適合した応用製品の開発と販売、主力製品リニアボールブッシュの競争力強化による拡販、提案型技術営業による新規顧客開拓、海外販売網の構築・強化、従業員の上昇志向と能力の向上を掲げている。

■株価は自律調整一巡して戻り試す、低PBRも見直し

 株価の動きを見ると、240円~250円近辺の年初来高値圏から地合い悪化も影響して反落したが、4月17日の直近安値213円から切り返しの動きを強めている。自律調整が一巡したようだ。

 4月25日の終値228円を指標面で見ると、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS9円11銭で算出)は25倍近辺、前期推定配当利回り(会社予想の年間1円で算出)は0.4%近辺、前々期実績連結PBR(前々期実績連結BPS485円45銭で算出)は0.5倍近辺である。時価総額は約14億円である。

 週足チャートで見ると52週移動平均線近辺から切り返してサポートラインを確認した形だ。自律調整が一巡し、収益改善基調を評価して戻りを試す展開が期待される。0.5倍近辺の低PBRも見直し材料だ。(日本インタビュ新聞アナリスト水田雅展)

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