プラマテルズは調整一巡して年初来高値更新、18年3月期増収増益予想

 プラマテルズ<2714>(JQ)は合成樹脂の専門商社である。原材料メーカーと販売先を繋ぐ高い提案営業力を強みとしている。4月26日発表した17年3月期連結業績は減収減益だったが、18年3月期は需要回復や円安メリットで増収増益予想である。株価は短期的な調整が一巡して年初来高値を更新した。指標面の割安感も見直して15年7月高値を目指す展開が期待される。

■双日グループの合成樹脂専門商社、高付加価値商材を拡販

 双日<2768>グループのプラスチック原材料・製品・関連機器専門商社である。エンジニアリング系樹脂、スチレン系樹脂を主力として、オレフィン系樹脂、塩化ビニール系材料なども取り扱っている。

 17年3月期の取扱商材別売上高構成比は、エンジニアリング系樹脂41%、スチレン系樹脂18%、オレフィン系樹脂11%、塩化ビニール系材料5%、その他樹脂3%、PET樹脂4%、製品(合成樹脂関連他)16%、合成樹脂関連機械・シート2%だった。

 16年3月期販売先業界別売上高構成比は、精密機器(OA・事務機器、カメラ等の光学機器、ギア等の精密部品)39%、家電・電子(家庭電気製品、パソコン等のOA・事務機器)15%、医療機器(注射器具等)9%、建材(床材、発泡押出製品、壁紙)8%、自動車(ハンドルや内装部品等)4%、ホビー4%、パッケージング3%、衛材3%、その他16%だった。需要先は幅広く、原材料メーカーと販売先を繋ぐ高い提案営業力を強みとしている。

 高付加価値商材の拡販、良質な商権を持つ優良会社の営業権取得やM&Aを積極化するとともに、海外は中国、ベトナム、フィリピン、タイ、インド、台湾などアジア地域に積極展開している。17年3月期の海外売上比率は32%だった。

■高付加価値商材の好調で売上総利益率上昇基調

 四半期別の業績推移を見ると、15年3月期は売上高が第1四半期138億45百万円、第2四半期141億23百万円、第3四半期146億70百万円、第4四半期143億99百万円、営業利益が1億86百万円、2億02百万円、2億16百万円、1億94百万円、16年3月期は売上高が145億77百万円、151億70百万円、146億03百万円、134億45百万円、営業利益が1億98百万円、2億26百万円、2億39百万円、2億20百万円だった。

 16年3月期の売上総利益は15年3月期比7.7%増加した。売上総利益率は6.0%で同0.3ポイント上昇した。高付加価値商材の好調で売上総利益率は上昇基調である。販管費は同6.8%増加し、販管費比率は4.5%で同0.2ポイント上昇した。ROEは6.2%で同0.1ポイント上昇、自己資本比率は37.2%で同2.8ポイント上昇した。

 取扱商材別の売上高はエンジニアリング系樹脂が同0.8%増の254億63百万円、スチレン系樹脂が同4.6%減の108億85百万円、オレフィン系樹脂が同7.9%減の57億40百万円、塩化ビニール系材料が同1.8%増の28億63百万円、その他樹脂が同8.7%増の15億47百万円、PET樹脂が同65.7%増の12億32百万円、製品(合成樹脂関連他)が同7.9%増の88億70百万円、合成樹脂関連機械・シートが同28.7%増の11億92百万円だった。

■17年3月期は減収減益

 4月26日発表した前期(17年3月期)連結業績(4月18日に売上高を72億48百万円、営業利益を94百万円、経常利益を67百万円、純利益を14百万円それぞれ減額修正)は、売上高が前々期(16年3月期)比10.5%減の517億52百万円、営業利益が同10.4%減の7億91百万円、経常利益が同7.4%減の7億83百万円、純利益が同2.0%減の5億26百万円だった。中国など新興国経済の減速による海外需要低迷や、円高による換算影響などで計画を下回り、減収減益だった。

 取扱商材別売上高はエンジニアリング系樹脂が同16.8%減の211億94百万円、スチレン系樹脂が同13.0%減の94億71百万円、オレフィン系樹脂が同2.2%減の56億16百万円、塩化ビニール系材料が同14.5%減の24億49百万円、その他樹脂が同11.9%増の17億31百万円、PET樹脂が同55.9%増の19億21百万円、製品(合成樹脂関連他)が同8.6%減の81億06百万円、合成樹脂関連機械・シートが同5.6%増の12億59百万円だった。

 売上総利益は同6.8%減少したが、売上総利益率は6.3%で同0.3ポイント上昇した。販管費は同5.6%減少したが、販管費比率は4.8%で同0.3ポイント上昇した。営業外では替差損益が改善(前々期は差損7百万円、前期は差益10百万円)した。特別利益では投資有価証券売却益92百万円を計上した。特別損失では減損損失25百万円、投資有価証券評価損10百万円、および和解金15百万円を計上した。

 またROEは5.8%で同0.4ポイント低下、自己資本比率は38.3%で同1.1ポイント上昇した。配当は4月26日に期末1円増額修正して年間17円(第2四半期末8円、期末9円)とした。配当性向は27.6%である。配当政策は将来の事業展望(海外展開およびM&A)と経営基盤・財務基盤の強化のため必要な内部留保を確保しつつ、安定的な配当の継続を実施していくことを基本方針としている。

 四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期124億51百万円、第2四半期126億38百万円、第3四半期133億18百万円、第4四半期133億45百万円、営業利益は1億42百万円、2億07百万円、2億21百万円、2億21百万円だった。

■18年3月期は増収増益予想

 今期(18年3月期)連結業績予想(4月26日公表)は、売上高が前期(17年3月期)比6.3%増の550億円、営業利益が同4.8%増の8億30百万円、経常利益が同3.4%増の8億10百万円、純利益が同0.7%増の5億30百万円としている。

 原油価格上昇によるナフサ価格および樹脂価格への影響、さらに為替レートの動向に注意が必要となるが、プラスチック原料ビジネスはアジアを中心として海外市場の成長が見込まれ、積極的な事業展開で増収増益予想としている。需要回復、市況改善、高付加価値製品拡大、円安メリットなどで収益拡大が期待される。配当予想は前期と同額の年間17円(第2四半期末8円、期末9円)で予想配当性向は27.4%となる。

■株価は調整一巡して年初来高値更新

 株価の動きを見ると、4月13日の直近安値431円から切り返し、4月28日に年初来高値となる482円まで上伸した。17年3月期増配や18年3月期増収増益予想を好感し、短期的な調整が一巡して年初来高値を更新した形だ。

 4月28日の終値469円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS62円00銭で算出)は7~8倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間17円で算出)は3.6%近辺、そして前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1082円40銭で算出)は0.4倍近辺である。なお時価総額は約40億円である。

 日足チャートで見ると一旦割り込んだ25日移動平均線を素早く回復した。また週足チャートで見ると26週移動平均線近辺から切り返して13週移動平均線を回復した。サポートラインを確認して強基調に回帰した形だ。指標面の割安感も見直して15年7月高値538円を目指す展開が期待される。(日本インタビュ新聞アナリスト水田雅展)

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