キムラユニティーは18年3月期2桁増益で過去最高更新予想、低PBRも見直し

 キムラユニティー<9368>(東1)はトヨタ自動車向け部品包装が主力の総合物流サービス企業である。物流請負のNLS事業が成長し、北米や中国の収益拡大も進展している。17年3月期は円高影響などで営業増益だったが、18年3月期は2桁増益で過去最高更新予想である。株価は地合い悪化も影響した4月の直近安値圏から切り返している。調整が一巡し、低PBRも見直して上値を試す展開が期待される。

■トヨタ向け部品包装が主力の総合物流サービス企業

 トヨタ自動車<7203>の補修部品・KD部品の包装・物流、および一般物流請負を主力とする総合物流サービス企業である。自動車販売・リース・整備などの自動車サービス事業、物流分野における情報サービス事業、派遣・アウトソーシングなどの人材サービス事業、太陽光発電による売電事業なども展開している。

 17年3月期のセグメント別売上構成比(連結調整前)は、物流サービス事業が66%、自動車サービス事業が31%、情報サービス事業+人材サービス事業+その他が4%だった。

 主力の物流サービス事業では、ネット通販市場の拡大も追い風として物流請負のNLS(ニューロジスティクスサービス)が拡大基調である。17年3月期のトヨタグループ関連売上高は16年3月期比1.6%減の188億20百万円(売上構成比40%)だった。またNLS売上高(海外現地子会社含む)は同0.2%減の92億24百万円だった。

 自動車サービス事業では13年12月、軽自動車販売専門店を運営するスーパージャンボを子会社化した。15年12月にはスーパージャンボが、自動車小売・買取FCチェーン「カーセブン」を運営するカーセブンディベロップメントとFC契約を締結して中古車買取専門店「カーセブン国道1号中川店」を出店した。

 海外はトヨタ自動車の海外生産拡大に合わせて、米国、メキシコ、ブラジル、中国、タイに拠点展開している。物流量増加に伴って収益拡大基調である。

 米国子会社は13年7月カナダの大手自動車部品メーカーMAGNAグループのDRIVE社から倉庫内物流請負を新規受注、14年7月新倉庫が稼働した。中国では自動車保有台数の増加に伴い、自動車アフターマーケットにおける補修部品需要の拡大基調が予想される。

■物流事業の拡大が収益牽引

 四半期別の業績推移を見ると、15年3月期は売上高が第1四半期107億47百万円、第2四半期110億47百万円、第3四半期115億81百万円、第4四半期123億93百万円、営業利益が1億88百万円、3億81百万円、4億43百万円、5億08百万円、16年3月期は売上高が114億77百万円、118億29百万円、125億17百万円、121億98百万円、営業利益が2億86百万円、5億16百万円、5億94百万円、5億53百万円だった。

 16年3月期は、自動車サービス事業でメンテナンス契約の車検費用を発生時に費用処理したことが一時的な売上原価増加要因となったが、物流サービス事業における国内格納器具製品事業の受注拡大、国内新規事業所開設を含めた拡販、北米子会社の物流業務拡大、円安による海外子会社売上の円換算額増加、自動車サービス事業におけるリース契約台数・メンテナンス契約台数の増加で過去最高の売上高となり、新規事業所での生産準備費用一巡も寄与して大幅営業増益だった。経常利益と純利益は営業外での為替差損益悪化で減益だった。

■17年3月期は営業減益だが経常利益と純利益は増益

 4月27日発表した前期(17年3月期)の連結業績(4月20日に減額修正)は、売上高が前々期(16年3月期)比2.2%減の469億83百万円、営業利益が同12.2%減の17億11百万円だが、経常利益が同1.4%増の19億63百万円、純利益が同2.3%増の10億42百万円だった。

 国内における格納器具製品事業の受注減少、円高による海外子会社の為替換算影響、自動車販売の落ち込みで7期ぶり減収となり、営業利益は退職給付費用積立額の増加も影響して2期ぶり減益だった。ただし持分法投資利益の増加や為替差損の減少で経常利益と純利益は3期ぶり増益だった。

 売上総利益は同1.6%減少したが、売上総利益率は16.2%で同0.1ポイント上昇した。販管費は同2.1%増加し、販管費比率は12.5%で同0.5ポイント上昇した。営業外収益では持分法投資利益が増加(前々期1億87百万円、前期2億47百万円)した。営業外費用で外貨建て資産に係る為替差損が減少(前々期1億72百万円、前期59百万円)した。特別利益では退職給付信託設定益2億71百万円、特別損失ではスーパージャンボののれん減損損失2億82百万円を計上した。

 ROEは4.2%で同0.2ポイント上昇した。自己資本比率は49.8%で同1.2ポイント上昇した。配当は前々期と同額の年間27円(第2四半期末13円、期末14円)で配当性向は31.3%だった。

 セグメント別(連結調整前)に見ると、物流サービス事業は売上高が同1.7%減の311億13百万円(包装が同1.6%増の269億19百万円、格納器具製品が同18.4%減の41億93百万円)で、営業利益が同8.1%減の20億83百万円だった。北米事業は物流業務が順調に拡大したが、国内における格納器具製品事業の受注減少、熊本地震の影響、円高による海外子会社の為替換算影響、北米子会社の物流業務における修繕費の増加などで減収減益だった。

 自動車サービス事業は売上高が同3.4%減の145億71百万円(車両リースが同2.9%増の71億47百万円、車両整備が同1.1%増の37億37百万円、自動車販売が同18.9%減の27億85百万円など)で、営業利益が同4.2%増の5億91百万円だった。個人消費低迷やメーカー燃費不正問題の影響で自動車販売が減少したが、リース契約台数・メンテナンス契約台数が増加し、前々期発生したメンテナンス契約における車検費用の発生時処理が一巡して増益だった。

 また情報サービス事業は売上高が同1.1%減の11億49百万円で営業利益が同15.5%減の1億01百万円、人材サービス事業は売上高が同2.4%増の4億62百万円で営業利益が2百万円の赤字(前々期は14百万円の黒字)、その他は売上高が同0.8%減の46百万円で営業利益が同2.6%減の14百万円だった。

 四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期115億55百万円、第2四半期115億49百万円、第3四半期116億26百万円、第4四半期122億53百万円、営業利益は3億30百万円、5億円、4億43百万円、4億38百万円だった。

■18年3月期2桁増益で過去最高更新予想

 今期(18年3月期)連結業績予想(4月27日公表)は、売上高が前期(17年3月期)比4.3%増の490億円、営業利益が同22.7%増の21億円、経常利益が同12.1%増の22億円、純利益が同24.7%増の13億円としている。配当予想は前期と同額の年間27円(第2四半期末13円、期末14円)で、予想配当性向は25.1%となる。

 物流サービス事業は国内外での拡販を見込み、自動車サービス事業ではリース契約台数・メンテナンス契約台数の増加を見込む。また個人向けの自動車販売については、スーパージャンボと一体となった販売体制を展開する方針だ。のれん償却費の圧縮や継続的な原価改善活動も寄与して2桁増益予想である。売上高、各利益とも過去最高更新の見込みである。

 セグメント別(連結調整前)の計画は、物流サービス事業の売上高が同1.3%増の315億20百万円(包装が同1.5%増の273億30百万円、格納器具製品が同0.1%減の41億90百万円)で、営業利益が同4.2%増の21億70百万円、自動車サービス事業の売上高が同9.3%増の159億20百万円(車両リースが同6.3%増の75億95百万円、車両整備が同6.4%増の39億75百万円、自動車販売が同19.5%増の33億30百万円など)で、営業利益が同31.9%増の7億80百万円としている。

 また情報サービス事業は売上高が同16.2%増の13億35百万円で営業利益が同42.4%増の1億45百万円、人材サービス事業は売上高が同75.1%増の8億10百万円で営業利益が30百万円(前期は2百万円の赤字)、その他は売上高が同4.1%減の45百万円で営業利益が同5.7%増の15百万円としている。

■中期的に収益拡大基調

 15年5月策定の「中期経営計画2017」では、目標値として18年3月期の売上高520億円、営業利益25億円、経常利益27億円、純利益16億円、EPS132円56銭、ROE6.0%を掲げている。利益還元については業績や設備投資計画を踏まえつつ、連結配当性向30%以上を目標としている。

 セグメント別(連結調整前)目標は、物流サービス事業の売上高が337億円で営業利益が25億50百万円、自動車サービス事業の売上高が168億15百万円で営業利益が9億円、情報サービス事業の売上高が14億円で営業利益が1億20百万円、人材サービス事業の売上高が7億円で営業利益が50百万円、その他サービス事業の売上高が45百万円で営業利益が15百万円としている。

 また中期重点強化事業の目標値としては、深トヨタグループ事業の売上高を15年3月期比9.2%増の194億30百万円に、NLS(ニューロジスティクスサービス)事業の売上高を同29.2%増の108億50百万円に、海外事業の売上高を同29.8%増の80億円に、BtoB(CMS=カーマネジメントサービス)事業の管理台数を同90.7%増の4万台に、BtoC(車両販売)事業の車両販売台数を同70.5%増の4500台に拡大する方針だ。

 18年3月期連結業績の会社予想によると、中期経営計画における18年3月期目標値の達成がやや難しくなった形だが、中期的には収益拡大基調が期待される。

■株主優待は3月末と9月末の年2回実施

 株主優待制度は毎年3月31日現在および9月30日現在の1単元(100株)以上保有株主に対して、保有株数に応じて「お米券」を贈呈している。さらに500株以上を継続2年以上保有している株主に対しては、保有株数に応じて長期優待が上乗せされる。たとえば1000株以上を2年以上保有している場合は「基本優待お米券5kg+長期優待お米券2kg=合計お米券7kg」を贈呈する。

■株価は調整一巡して切り返し、0.6倍近辺の低PBRも見直し

 株価の動きを見ると、地合い悪化も影響した4月の直近安値圏1100円近辺から切り返している。5月2日には1178円まで上伸した。

 5月2日の終値1177円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS107円72銭で算出)は10~11倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間27円で算出)は2.3%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2104円19銭で算出)は0.6倍近辺である。時価総額は約142億円である。

 週足チャートで見ると52週移動平均線近辺から切り返し、26週移動平均線回復の動きを強めている。調整が一巡し、低PBRも見直して上値を試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞アナリスト水田雅展)

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