マルマエは4月の上場来高値試す、17年8月期業績予想を再増額修正、4月の受注残も増加

 マルマエ<6264>(東マ)は半導体・FPD製造装置に使用される真空部品などの精密切削加工事業を展開している。受注好調で5月11日に17年8月期業績予想を再増額修正した。5月13日発表した4月の受注残高も増加している。株価は自律調整が一巡し、好業績を評価して4月の上場来高値を試す展開が期待される。

■真空部品や電極などの精密切削加工事業を展開

 半導体・FPD(フラットパネルディスプレー)製造装置に使用される真空部品や電極などの精密切削加工事業を展開し、新規分野として光学装置・通信関連分野も強化している。

■収益改善基調、受注好調でプロダクトミックス改善も寄与

 四半期別の業績推移を見ると、15年8月期は売上高が第1四半期3億84百万円、第2四半期6億39百万円、第3四半期5億59百万円、第4四半期5億42百万円、営業利益が41百万円、1億30百万円、1億40百万円、1億39百万円だった。16年8月期は売上高が6億19百万円、5億32百万円、4億84百万円、6億07百万円で、営業利益が1億55百万円、1億12百万円、90百万円、1億31百万円だった。

 16年8月期は15年8月期比5.6%増収、8.5%営業増益、5.1%経常増益だった。受注が好調に推移し、プロダクトミックス改善も寄与した。純利益は税金費用増加で同35.0%減益だった。

 分野別受注高は半導体分野が同2.7%増の12億69百万円、FPD分野が同9.3%増の8億28百万円、その他分野が同94.1%減の21百万円、売上高は半導体分野が同2.6%増の12億05百万円、FPD分野が同64.6%増の9億47百万円、その他分野が同76.2%減の89百万円だった。

 コスト面では労務費、減価償却費、研究開発費などが増加したが、FPD分野増収によるプロダクトミックス改善、生産性向上効果などで営業増益だった。売上総利益は同14.0%増加し、売上総利益率は33.3%で同2.4ポイント上昇した。販管費は同26.0%増加し、販管費比率は11.5%で同1.8ポイント上昇した。特別利益では補助金収入87百万円を計上した。ROEは42.9%で同57.8ポイント低下、自己資本比率は38.1%で同5.4ポイント上昇した。

 配当は年間15円(第2四半期末7円、期末8円)だった。15年9月1日付株式3分割を考慮して15年8月期の年間36円を12円に換算すると実質的に3円増配で、配当性向は21.7%だった。

■17年8月期第1四半期は減益だが、受注は大幅増

 今期(17年8月期)第2四半期累計(9月~2月)の非連結業績は、売上高が前年同期比12.6%増の12億96百万円、営業利益が同4.0%増の2億77百万円、経常利益が同8.0%増の2億70百万円、純利益が同5.8%増の1億84百万円だった。

 分野別受注高は半導体分野が同94.7%増の10億09百万円、FPD分野が同10.4%減の4億18百万円、その他分野が同6.4%減の8百万円、合計が同44.4%増の14億36百万円だった。分野別売上高は半導体分野が同50.1%増の8億80百万円、FPD分野が同25.1%減の3億78百万円、その他分野が同62.0%減の16百万円、合計が同12.6%増の12億96百万円だった。

 売上総利益は同9.6%増加し、売上総利益率は33.6%で同0.9ポイント低下した。販管費は同21.2%増加し、販管費比率は12.2%で同0.9ポイント上昇した。売上増に伴って材料費や外注加工費が増加し、需要拡大に対応した生産設備増強や流動的人材活用で減価償却費、労務費、研究開発費などが増加した。

 四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期6億18百万円、第2四半期6億78百万円、営業利益は1億12百万円、1億65百万円だった。四半期ベースでも収益拡大基調である。

■17年8月期通期予想を再増額修正

 今期(17年8月期)通期の非連結業績予想について、5月11日に再増額修正を発表した。前回予想(12月19日に増額修正)に対して、売上高は3億46百万円増額して前期(16年8月期)比26.7%増の28億40百万円、営業利益は1億86百万円増額して同39.3%増の6億80百万円、経常利益は1億81百万円増額して同44.1%増の6億60百万円、そして純利益は1億29百万円増額して同24.0%増の4億50百万円とした。半導体分野とFPD分野の受注が想定以上となる見込みだ。

 なお17年4月度の月次受注残高(速報値)は半導体分野が4億82百万円(前月比7.2%増、前年同月比250.3%増)、FPD分野が2億11百万円(前月比21.9%増、前年同月比14.3%増)、その他分野が7百万円(前月比19.2%増、前年同月比34.6%減)で、合計は7億01百万円(前月比11.3%増、前年同月比109.7%増)と好調が続いている。

 半導体分野は出荷検収が高水準で推移したうえで、受注も拡大した。今後もロジックの微細化投資と3D NANDの設備投資拡大で好調に推移する見込みだ。FPD分野は出荷検収・受注とも高水準である。今後も特にテレビ向け第10.5世代大型パネル関連の受注が拡大する見込みだ。

 なお半導体分野の急激な需要増加に対応するため、設備投資計画を当初の約4億円から、7億円近くまで増加させる計画に上積みしている。この結果、半導体分野およびFPD分野の生産能力(販売価格換算)は、協力企業を含んで前期末時点の月産2億円程度から、直近では月産2.6億円程度まで増加している。さらに現在の投資計画が一段落する来期(18年8月期)第1四半期には月産3億円程度まで増加する見込みとしている。

 配当予想は、17年3月1日付で株式2分割を実施して第2四半期末8円、期末4円としている。株式2分割後に換算すると17年8月期は年間8円となり、16年8月期の年間7円50銭に対して50銭増配となる。予想配当性向は26.3%となる。

■新中期事業計画でロボット分野への参入も推進

 15年10月に新中期事業計画「Evolution2018」(16年8月期~18年8月期)を策定した。

 半導体分野は微細化投資の本格化に対応して、洗浄分野への参入やエッチング分野の試作強化を推進する。FPD分野は8Kなどで需要拡大が見込まれるため、自社における設備投資ではなく、協力企業の拡大によって需要変動に対応する。その他分野では自動車関連やロボット関連市場に参入し、生産余力の効率的活用と協力企業の拡大を図る。

 半導体分野を成長ドライバーとする既存事業のブラッシュアップに加えて、現業とのシナジー効果や半導体・FPD分野の需要変動に対するリスクヘッジとして、売上高20億円規模までの中小企業を対象としてM&Aも活用する方針だ。なお既存事業で半導体分野の需要が高水準のため、M&Aについては一時停止して自社投資を優先するとしている。

 15年12月には鹿児島大学大学院理工学研究科との共同研究契約を締結した。リハビリ装置の研究開発と作業筋力補助ロボットの研究開発の2件について、早期の実用化を目指して共同研究する。市場ニーズの高さを考慮し、脳卒中の後遺症として腕や足に残る運動麻痺の改善を狙うリハビリ装置の製品化を先行し、腕の麻痺改善装置の開発に着手している。そして16年11月にはリハビリ装置(上肢の麻痺改善装置)の試作機が完成した。

 経営数値目標としては、18年8月期の連結売上高40億円、営業利益10億円(単体ベースで売上高30億円、営業利益7億円、M&Aで売上高10億円、営業利益3億円)を掲げている。株主還元としては配当性向35%以上(順次向上)を目指している。また計画期間中に東証1部への市場変更を目指す方針だ。

■株価は好業績評価して4月の上場来高値試す

 株主優待制度は毎年8月末日現在、6ヶ月以上継続して1単元(100株)以上(17年3月1日付株式2分割後)保有株主を対象としてクオカード1000円分を贈呈する。17年8月期末から実施する。

 株価の動き(17年3月1日付で株式2分割)を見ると、4月3日の上場来高値1098円から利益確定売りで反落し、地合い悪化が影響する場面もあったが、4月13日の直近安値718円から切り返し、増額修正も好感して5月12日には965円まで上伸している。

 5月12日の終値960円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS42円71銭で算出)は22~23倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想に株式2分割を考慮した年間8円で算出)は0.8%近辺、前期実績PBR(前期実績に株式2分割を考慮したBPS92円90銭で算出)は10.3倍近辺である。時価総額は約107億円である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線を一旦割り込んだが、素早く切り返してサポートラインを確認した形だ。自律調整が一巡し、好業績を評価して4月の上場来高値を試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞アナリスト水田雅展)

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