ビューティガレージは3月の上場来高値試す、リピート顧客増加基調で18年4月期も収益拡大期待

 ビューティガレージ<3180>(東1)は美容サロン向け美容商材ネット通販の最大手である。サロン向け「開業支援」から「開業+経営支援」へのサービス領域拡大を推進し、17年4月期2桁増収増益・増配予想である。リピート顧客が増加基調であり、18年4月期も収益拡大が期待される。株価は3月の上場来高値に接近している。好業績を評価して上値を試す展開が期待される。

■美容サロン向け美容商材ネット通販の最大手

 理美容室、エステサロン、ネイルサロン、リラクゼーションサロンなど全国の美容サロン向けに、業務用理美容・エステ機器(スタイリングチェア、シャンプーユニット、パーマ機器、エステスチーマーなど)や、業務用化粧品・消耗品(ヘアケア製品、エステティック化粧品、マッサージオイル、ネイル商材など)を販売するプロ向け美容商材の物販事業を主力としている。

 販売チャネルは日本最大級のプロ向け美容商材ネット通販サイト「BEAUTY GARAGE Online Shop」でのオンライン販売(=EC)を主力として、カタログ通販、および全国のショールームでの販売を展開している。なお5月8日に大阪ショールームと神戸ショールームを統合・移転し、大阪・心斎橋に大型ショールームとしてオープンした。

 IT(ネット通販)とリアル(ショールームでの販売)を融合連携させたBtoBビジネスモデルで、美容サロン向け美容商材ネット通販の最大手である。中間流通を省いたダイレクト販売と大量一括購入による国内最安値保証、自社開発の「WEB&リアル店舗連動型」基幹POSシステム、自社物流センターを保有して利便性を高めた配送サービス、中古・格安PB商品と開業支援ソリューションで新規開業者を集める仕組み、物販とソリューションのワンストップサービスでリピート利用に繋げる仕組みなどを強みとしている。

 グループ子会社は、タフデザインプロダクトがサロン店舗設計・施工事業、アイラッシュガレージがアイラッシュ(まつ毛エクステ)商材卸売および開業・経営支援事業を展開している。17年1月設立BGパートナーズはファイナンスサポート、店舗リース・転貸サービスなどを提供し、ビューティサロン向け「開業支援」から「開業+経営支援」へのサービス領域拡大を推進する。なお美容専門求人・求職サイト運営のサロンキャリアを17年5月吸収合併した。

■サロンコンシェルジュNO.1企業を目指す

 中期経営計画では開業と繁盛を総合支援するサロンコンシェルジュNO.1企業を目指し、重点戦略として美容業界のBtoB電子商取引市場における圧倒的NO.1地位を確立するIT戦略、SPA方式活用によって売れる商品を開発するメーカー戦略、リピート商材拡充によりフロー&ストック型収益構造に転換する専門商社戦略、開業支援・経営ソリューション充実によって総合受注を促進するワンストップソリューション戦略を推進している。

 物販事業では、リピート商材である化粧品・消耗品の販売を拡大するとともに、機器分野ではPB商品、化粧品分野ではNB商品の品揃えを強化する。また15年6月にはプロ向け美容業界の商材仕入用として業界初となるスマホ用バーコード発注アプリ「BGスマート発注」を導入した。消耗品発注業務を簡素化して担当者の発注業務負担を軽減でき、当社への発注増加に繋げる。

 物流面では中国・広州に「HUB倉庫」を新設し、中国から日本に輸送する商品を保管料の安い中国の「HUB倉庫」に一旦集めて検品を行っている。保管料の削減、効率的な輸送、不良品の早期発見に繋げる。

■サービス領域拡大を推進

 15年11月には総合印刷会社の帆風と共同で、サロンの印刷用途に特化した印刷通販サイト「サロンプリント」を開始した。また16年1月にはマーケットプレイス型販売として、当社のプロ向け美容商材ネット通販サイトを他の美容商材卸業者に開放し、テナントとしての出店を可能にした。16年3月には、ノーリツ鋼機<7744>の子会社で歯科業界カタログ通販大手のフィード社と業務提携した。同社のPB商品として販売する歯科・医療機関向け機器・材料等を当社が製造(OEM)受託する。

 海外展開は、海外販売代理店方式=海外ディストリビュータ経由での輸出販売、越境EC代行方式=海外顧客向け購入代行ソリューションサービス導入、自社での越境EC方式=自社ECサイトの多言語版構築の3方向で推進する。

■美容サロン新規開業が集中する第4四半期(2~4月)の構成比が高い特性

 収益の季節要因として、美容サロンの新規開業が集中して美容機器の需要が高まる第4四半期(2~4月)の構成比が高い一方で、年末年始で美容機器の需要が減少する第3四半期(11~1月)の構成比が低いという特性がある。また物販事業の売上総利益率は為替による輸入仕入コスト変動の影響を受ける傾向がある。

■EC比率上昇基調でアクティブユーザー数も増加基調

 16年4月期物販事業の販売チャネル別売上高構成比はECが64%で、EC比率は上昇基調である。15年6月導入したスマホ用バーコード発注アプリ「BGスマート発注」も寄与してモバイル経由が大幅増加している。

 16年4月期末のEC登録会員口座数は15年4月期末比3万8307口座増加の27万7777口座、このうち過去1年に購入履歴のあるアクティブユーザー数は同7134口座増加の8万4760口座、アクティブユーザー比率は同1.9ポイント低下の30.5%となった。

 また16年4月期の物販事業の商品別売上高構成比は、PB機器46%、PB化粧品11%、NB機器17%、NB化粧品22%、中古品4%だった。PB・NB別で見るとPB比率57%、NB比率39%、機器・化粧品別で見ると機器比率64%、化粧品比率33%である。安定収益源で四半期別売上高の平準化にも繋がる化粧品の比率が上昇傾向である。

■17年4月期第3四半期累計は大幅増収増益

 前期(17年4月期)第3四半期累計(5月~1月)の連結業績は、売上高が前年同期比13.6%増の67億98百万円、営業利益が同70.9%増の3億39百万円、経常利益が同65.1%増の3億39百万円、そして純利益が同55.6%増の1億95百万円だった。物販事業においてリピート顧客が増加し、物販事業の売上総利益率改善も寄与した。

 売上総利益は同18.0%増加し、売上総利益率は33.6%で同1.2ポイント上昇した。販管費は同11.6%増加したが、販管費比率は28.4%で同0.5ポイント低下した。美容業界各種展示会への出展、通販カタログ3種の発刊、web広告の強化など積極的なプロモーション施策に伴う経費増加を増収効果で吸収した。

 主力の物販事業は売上高が同12.3%増の52億75百万円で営業利益(連結調整前)が同53.6%増の4億24百万円だった。リピート顧客が増加基調で、化粧品・材料の売上高は同22.4%増加した。

 なお四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期23億31百万円、第2四半期23億01百万円、第3四半期21億66百万円、営業利益は1億13百万円、1億65百万円、79百万円だった。

■17年4月期2桁増収増益・増配予想、18年4月期も収益拡大期待

 前期(17年4月期)連結業績予想(6月9日公表)は、売上高が前々期(16年4月期)比15.6%増の97億05百万円、営業利益が同20.6%増の5億32百万円、経常利益が同24.1%増の5億20百万円、純利益が同31.0%増の3億49百万円としている。EC比率の上昇、アクティブユーザー数の増加、リピート商材の伸長などで2桁増収増益予想である。
  
 配当予想(3月7日公表)年間7円(期末一括)としている。前々期との比較で1円40銭増配となる。予想配当性向は12.0%である。

 認知度・信用力の向上、サイトの利便性向上、美容業界イベントへの積極出展、PB新商品の投入、カタログ通販誌「BG STYLE」発刊などの施策に加えて、スマホ用バーコード発注アプリ「BGスマート発注」の本格化などで好業績が期待される。今期(18年4月期)も収益拡大が期待される。

■株主優待制度は1年以上継続保有を対象として毎年4月末に実施

 株主優待制度は16年4月期末から導入し、17年4月期末からは毎年4月30日現在で1単元(100株)以上を1年以上継続保有(4月および10月の株主名簿に連続3回以上記載)する株主を対象としている。優待内容は該当株主1名につき、希望小売価格3000円相当分の当社オリジナルブランド商品を贈呈する。

 なお16年10月に17年4月期末株主優待品目を発表している。当社オリジナルブランド「シエラ・オーガニカ」のB&Bシャンプー250mlとB&Bトリートメント200mlを2本セット(合計希望小売価格4800円相当)にて贈呈する。基本方針「3000円相当分」に対して実質的に大幅増配の形だ。

■株価は3月の上場来高値試す

 株価の動きを見ると、自律調整が一巡して5月23日に1911円まで上伸した。そして3月の上場来高値1925円に接近した。なお4月26日付で貸借銘柄に選定されている。

 5月23日の終値1893円を指標面で見ると、前期推定連結PER(会社予想連結EPS58円52銭で算出)は32~33倍近辺、前期推定配当利回り(会社予想の年間7円で算出)は0.4%近辺、前々期実績連結PBR(前々期実績連結BPS292円24銭で算出)は6.5倍近辺である。時価総額は約113億円である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線が接近して動意づいた。サポートラインを確認した形であり、好業績を評価して上値を試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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