アルコニックスは15年高値目指す、18年3月期増収・2桁増益予想

 アルコニックス<3036>(東1)は商社機能と製造業を融合した「非鉄金属の総合企業」を目指している。18年3月期は円安や非鉄市況回復も寄与して増収・2桁増益予想である。積極的な事業展開で中期的にも収益拡大基調が期待される。株価は年初来高値圏だ。指標面の割安感も見直し材料であり、15年6月高値を目指す展開が期待される。

■商社機能と製造業を融合した「非鉄金属の総合企業」目指す

 軽金属・銅製品(伸銅品、銅管など)、電子・機能材(レアメタル・レアアース、チタン・ニッケル製品など)、非鉄原料(アルミ・亜鉛地金など)、建設・産業資材(配管機材など)を取り扱う非鉄金属商社グループである。

 レアメタル分野に強みを持つことも特徴だが、中期成長に向けて商社機能と製造業を融合した「非鉄金属の総合企業」を目指し、M&Aも積極活用して、非鉄金属の周辺分野も含めた川上(製造)~川中(流通)~川下(問屋)を網羅するビジネス展開を推進している。
■M&Aを積極活用して業容拡大

 13年1月金属・化成品メーカーの米ユニバーティカル社を子会社化、13年3月アルミ合金スクラップ販売の大阪アルミセンターを子会社化、13年4月産業機械用精密加工部品メーカーの大羽精研を子会社化、14年4月住宅建設関連資材メーカーのケイ・マックを持分法適用関連会社化、14年11月アルミ銅センター(大阪アルミセンターが14年9月1日付で商号変更)が稲田商会の銅リサイクル事業(稲田銅センター)を譲り受けた。

 15年7月溶接材料製造・溶射加工事業の東海溶業を子会社化、15年10月非鉄金属専門商社の平和金属を子会社化、16年2月金属製品非破壊検査および金属マーキングのマークテックを子会社化、17年4月自動車向け精密プレス金型およびプレス部品製造の富士プレスを子会社化した。

■製造業が利益の過半

 17年3月期のセグメント別売上高構成比は、商社流通が87%(電子機能材事業が28%、アルミ銅事業が59%)、製造が13%(装置材料事業が8%、金属加工事業が5%)である。また経常利益の構成比は、商社流通が47%(電子機能材事業が27%、アルミ銅事業が20%)、製造が53%(装置材料事業が5%、金属加工事業が48%)である。

 レアメタル・レアアースなど非鉄金属の市況、持分法投資損益、M&Aに伴うのれん償却や負ののれん益なども収益変動要因となるが、積極的なM&Aが寄与して収益拡大基調である。M&Aも寄与して製造の利益が連結業績の過半を占めるようになった。利益配分については、将来の事業展開と経営体質の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、安定した配当を継続的に実施していくことを基本方針としている。

■17年3月期は最終減益だが営業利益と経常利益は増益

 5月15日発表の前期(17年3月期)連結業績は、売上高が前々期(16年3月期)比0.1%増の2019億48百万円、営業利益が同9.9%増の41億68百万円、経常利益が同1.7%増の43億52百万円、純利益が同38.1%減の30億83百万円だった。

 期後半の円安傾向や非鉄市況上昇などで商社流通の事業環境がやや改善し、営業利益と経常利益は増益だった。純利益は前々期計上した平和金属株式取得による負ののれん発生益の反動で減益だったが、この要因を除くと増益だった。

 全社の売上総利益は同18.8%増加し、売上総利益率は7.2%で同1.2ポイント上昇した。販管費は同22.9%増加し、販管費比率は5.1%で同0.9ポイント上昇した。M&Aによる新規連結で販管費が増加しているが、製造子会社の好調で売上総利益率も上昇している。

 営業外では持分法投資利益が増加(前々期3億44百万円、前期3億77百万円)したが、為替差損益が悪化(前々期は差益81百万円、前期は差損1億94百万円)した。特別利益では投資有価証券売却益1億18百万円を計上したが、前々期計上の負ののれん発生益19億75百万円が一巡した。

 ROEは9.9%で同7.9ポイント低下、自己資本比率は28.5%で同1.8ポイント上昇した。NET/DERは0.7倍で同0.1ポイント上昇したが、1倍以下を維持している。配当は前々期と同額の年間44円(第2四半期末22円、期末22円)とした。配当性向は18.4%である。

 セグメント別(連結調整前)の動向を見ると、商社流通の電子機能材料は売上高が同1.3%減の565億10百万円で経常利益が同29.5%減の11億61百万円だった。スマホ・タブレット関連は高機能機種向け電子部品が堅調だったが、レアメタル・レアアースは価格・需要とも低迷が続いている。

 商社流通のアルミ銅事業は売上高が同2.5%減の1196億99百万円で経常利益が同45.7%増の8億88百万円だった。自動車向け非鉄素材が増加し、下期の市況回復で非鉄原料も増益となった。

 製造の装置材料事業は売上高が同27.6%増の166億55百万円で経常利益が2億16百万円(前々期は1億01百万円の赤字)だった。米ユニバーティカル社が増益で、新規連結の東海溶業も貢献した。またマークテックは低迷していた海外事業が期後半に回復した。

 製造の金属加工事業は売上高が同3.8%増の90億82百万円で、経常利益が同1.5%増の20億96百万円だった。大羽精研は主力のチップマウンターヘッド部品が高水準に推移し。大川電機製作所は半導体・有機EL製造装置向けが高水準だったが、小ロット・短納期対応が利益を圧迫した。持分法投資利益は増加した。

 四半期別業績推移を見ると、売上高は第1四半期477億93百万円、第2四半期465億52百万円、第3四半期519億07百万円、第4四半期556億96百万円、営業利益は8億93百万円、9億04百万円、11億47百万円、12億24百万円、経常利益は10億83百万円、9億86百万円、8億92百万円、13億91百万円だった。

■18年3月期増収・2桁増益予想

 今期(18年3月期)の連結業績予想(5月15日公表)は、売上高が前期(17年3月期)比8.9%増の2200億円、営業利益が同10.4%増の46億円、経常利益が同12.6%増の49億円、純利益が同11.9%増の34億50百万円としている。

 円安、銅を中心とした非鉄市況の回復、レアメタル・レアアースの市況底打ち、製造子会社の収益改善、富士プレスの新規連結などで増収・2桁増益予想である。売上総利益率は同0.1ポイント上昇の7.3%、販管費比率は同0.1ポイント上昇の5.2%を想定している。配当予想は前期と同額の年間44円(第2四半期末22円、期末22円)で、予想配当性向は16.4%となる。

 セグメント別計画は、商社流通の電子機能材の売上高が同11.5%増の630億円で経常利益が同0.8%増の11億70百万円、商社流通のアルミ銅の売上高が同1.9%増の1220億円で経常利益が同9.9%減の8億円、製造の装置材料の売上高が同14.1%増の190億円で経常利益が同2.3倍の5億円、製造の金属加工の売上高が同76.2%増の160億円で経常利益が同15.9%増の24億30百万円としている。

■中期経営計画で20年3月期ROE13~15%程度目標

 中期経営計画(18年3月期~20年3月期、1年ごとに見直すローリング方式)では、経営目標値を20年3月期の経常利益65億円超、純利益47億円超、ROE13~15%程度、NET/DER1.0~1.3倍程度とした。3年間の投融資総額はM&A・事業投資を中心に250億円の計画としている。

 商社機能と製造業を融合した「非鉄金属の総合企業」を目指して積極投資を推進する方針だ。グループのシナジー効果を高めて中期的に収益拡大基調が期待される。

■株価は15年高値目指す

 株価の動きを見ると、5月15日に年初来高値となる2041円まで上伸する場面があった。その後は上げ一服の形だが、年初来高値圏で推移している。

 5月25日の終値1905円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS267円57銭で算出)は7~8倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間44円で算出)は2.3%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2511円23銭で算出)は0.8倍近辺である。時価総額は約246億円である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線がサポートラインとなって上昇トレンドの形だ。指標面の割安感も見直し材料であり、15年6月高値2198円を目指す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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