【アナリスト水田雅展の銘柄分析】ワークマンは高値圏モミ合いから上放れ接近、中期成長力を評価して一段高の可能性

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

作業服店チェーンのワークマン<7564>(JQS)が1月30日発表した第3四半期累計(4~12月)業績は増収増益で、通期見通しに対する進捗率も順調な水準だった。株価は高値圏でモミ合う展開だが徐々に水準を切り上げている。上放れが接近しているようだ。中期成長力を評価して14年9月高値6000円を試す展開だろう。これを突破すれば一段高となりそうだ。

ワーキングウェアや作業関連用品などの大型専門店チェーンをFC中心に全国展開している。ローコスト経営を特徴とするとともに、他社との差別化戦略としてPB商品「WORKMAN BEST」の開発・拡販、さらに単品管理プロジェクトの推進、地域特性に合わせた売り場づくりなどを強化している。

14年12月末現在の店舗数は41都道府県下に、FC店(加盟店A契約店舗)642店舗、直営店(加盟店B契約店舗・トレーニングストア)101店舗の合計743店舗である。ドミナントエリアの強化、出店エリアの拡大、既存店のスクラップ&ビルド(S&B)および不採算店舗の閉鎖なども推進し、人口10万人に1店舗として、中期的には22年3月期に全国1000店舗、28年3月期に全国1300店舗の展開を目指している。

なお14年9月には、来期(16年3月期)から実施する「中期業態改革ビジョン」の中で、アベノミクス法人減税が実現して業績も増収増益が続けば、在籍社員の年収を現在の約600万円(平均年齢36.4歳)から5年を目途に約100万円引き上げる目標を織り込んだと公表している。小売企業の中でトップクラスの待遇や女性社員が第一線で働きやすい環境を作り、社員のモチベーション向上と業績拡大につなげる方針だ。

1月30日に発表した今期(15年3月期)第3四半期累計(4~12月)の業績(非連結)は、チェーン全店売上高が前年同期比3.1%増の540億59百万円で、営業総収入(売上高)が同3.1%増の381億05百万円、営業利益が同3.9%増の67億08百万円、経常利益が同3.5%増の75億40百万円、純利益が同8.1%増の44億10百万円だった。

消費増税、夏場の天候不順、冬の本格的な寒さ到来の遅れなど厳しい事業環境だったが、PB商品投入や販促強化なども寄与して増収だった。既存店売上高は同1.5%増だった。コスト面では円安に伴う仕入コストの上昇や販管費の増加などで小幅増益にとどまった。ただしPB商品売上構成比は16.5%で同6.6ポイント上昇し、営業総利益率は34.3%で同0.3ポイント上昇した。なお新規出店は17店舗で北海道エリアに初出店した。既存店S&Bは5店舗、賃貸契約満了による閉店は4店舗だった。

通期の業績(非連結)見通しは前回予想(4月30日公表)を据え置き、チェーン全店売上高が前期比6.0%増の729億円、営業総収入(売上高)が同7.3%増の516億40百万円、営業利益が同7.8%増の90億30百万円、経常利益が同7.0%増の101億70百万円、純利益が同11.0%増の61億90百万円、配当予想が前期と同額の年間83円(期末一括)としている。5期連続の増収増益で最高益更新の見込みだ。

新規出店25店舗、閉店4店舗、運営形態変更23店舗で、期末の店舗数は751店舗の計画である。既存店売上高は同4.2%増を想定し、PB商品売上構成比は同1.7ポイント上昇の12.3%の計画としている。通期見通しに対する第3四半期累計の進捗率は、チェーン全店売上高が74.2%、営業総収入が73.8%、営業利益が74.3%、経常利益が74.1%、純利益が71.3%である。概ね順調な水準であり、PB商品売上構成比上昇も寄与して好業績が期待される。

月次売上高(FC店と直営店の店舗売上高合計、前年比速報値)を見ると、15年1月は全店99.5%、既存店98.3%だった。1月は全国的に気温が高めに推移したことで防寒商品が伸び悩んだようだ。既存店売上高は2ヶ月ぶりの前年比マイナスだった。ただし既存店客単価は9ヶ月連続の前年比プラスだった。また14年4月~15年1月累計売上高は全店が102.8%、既存店が101.2%となった。なお1月は新規出店、閉店とも0店舗で、1月末店舗数は743店舗である。

テレビCM放映効果による知名度向上、積極的な新規出店、出店エリアの拡大、ドミナント出店強化、商品力強化、PB商品売上構成比上昇による粗利益率改善、履歴発注システム稼働による発注作業の短縮化、適正在庫の維持などの効果が進展して中期的に収益拡大基調だろう。

株価の動きを見ると、14年9月高値6000円後は、高値圏5400円~5800円近辺でモミ合う展開だ。ただし1月以降は徐々に水準を切り上げてモミ合い上放れの動きを強めている。2月5日と6日には5870円まで上値を伸ばした。中期成長力を評価する流れに変化はないようだ。

2月10日の終値5750円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS303円85銭で算出)は19倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間83円で算出)は1.5%近辺、前期実績PBR(前期実績のBPS1953円29銭で算出)は2.9倍近辺である。

週足チャートで見ると、26週移動平均線が上向いてサポートラインの形となり、高値圏モミ合いから上放れのタイミングが接近しているようだ。中期成長力を評価して14年9月高値6000円を試す展開だろう。これを突破すれば一段高となりそうだ。

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■グローバルモデルに匹敵する日本語対応の高性能生成AIを4月から順次提供  ELYZAとKDDI<…
  2. ■優勝への軌跡と名将の言葉  学研ホールディングス<9470>(東証プライム)は3月14日、阪神タ…
  3. ■新たな映画プロジェクトを発表  任天堂は3月10日、イルミネーション(本社:米国カリフォルニア州…
2024年4月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ピックアップ記事

  1. ■海運株と防衛関連株、原油価格の動向に注目集まる  地政学リスクによる市場の不安定さが増す中、安全…
  2. ■中東緊張と市場動向:投資家の選択は?  「遠い戦争は買い」とするのが、投資セオリーとされてきた。…
  3. ■節約志向が市場を動かす?  日本の消費者は、節約志向と低価格志向を持続しており、これが市場に影響…
  4. ■投資家の心理を揺さぶる相場の波  日米の高速エレベーター相場は、日替わりで上り下りと忙しい。とく…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る