【VR・AR関連銘柄特集】市場動向や関連銘柄を探る

市場急拡大のVR・AR関連に注目

 VR・AR関連が注目されている。2017年が本格普及期入りとなり、中期的に市場の急拡大が期待されている。さらに映画マトリックスのような世界が実現するとの期待も高まっている。市場動向や関連銘柄を探ってみた。

VR・ARとは
VR(仮想現実=Vurtual Reality)というのは、コンピュータ上に人工的な仮想世界を作り出し、人の感覚に働きかけて、仮想世界をあたかも現実のように感じさせる映像技術のことである。視界を覆うゴーグルのようなヘッドマウントディスプレイ(HMD=頭部搭載型ディスプレイ)を装着し、ディスプレイに映し出される仮想世界が現実であるかのような感覚を体験できる。ゲームであれば、臨場感あふれる仮想世界で主人公になりきることができる。
またAR(拡張現実=Augmented Reality)というのは、コンピュータを利用して現実空間に、風景や展示物の説明文など、さまざまな付加情報を表示させることで現実世界を拡張する技術のことである。
さらに関連する技術として、SR(代替現実=Substitutional Reality)やMR(複合現実=Mixed Reality)がある。SRというのは、現実の世界と過去の映像を混同させて、本来実在しない人物や事象が目の前に存在しているように錯覚させる技術のことである。MRというのは、CGなどで作られた人工的な仮想世界に現実世界の情報を取り込み、現実世界と仮想世界を融合させた世界を作る技術のことである。
VRが現実世界と切り離された人工的仮想世界に入り込む技術であるのに対して、AR、SR、MRは現実世界をベースとした技術という違いがある。ただし株式市場ではVR・AR関連という一つのテーマとして取り扱うことが多い。

VRの普及が本格化

VRを体験するための機器の開発は、1968年に米国ユタ大学で開発されたHMDが最初のウェアラブル型VR装置とされている。また1990年代にはウェアラブル型ではなく、部屋の壁の全方位に映像を投影して没入環境を構築する没入型投影ディスプレイのVRシステムも開発された。ただし没入型投影ディスプレイは装置が大掛かりとなるため、現在では開発は下火になっている。

その後ディスプレイの高精度化や3D技術の進歩とともに、2012年頃から米Oculus(2014年に米Facebookが買収)のRiftなど、HMD型VR装置の開発・市場投入が加速し始めた。2015年には韓国SamsungがモバイルVRのGear VRを市場投入した。またVR元年と呼ばれた2016年には本格的なハイエンドHMD製品が多数市販され、対応コンテンツの供給も増加してHMD製品の普及が本格化している。

現在人気を集めている代表的なHMD製品としては、米OculusのRift、台湾HTCのVive、ソニーのPSVR(Play Station VR)などがある。

またモバイル市場においても、米Googleからスマートフォン向けVRプラットフォーム「Daydream」が提供されたことにより、2017年はVR対応がキーワードになるとされている。

市場規模は2020年に1400億ドル超との試算も

IDCジャパンによると2016年のVR・AR端末の世界出荷台数は1010万台だった。また2021年には9940万台に達する見通しとしている。金額ベースでは2016年の23.9億ドル(うちVRが21億ドル)が、2021年に673億ドル(うちVRが186億ドル)に拡大し、AR市場がVR市場を上回ると予想している。またコンテンツを含めたVR・AR合計市場規模は2020年に1443億ドル(約16兆円)に拡大するとも予測している。

米IDCのVR・ARヘッドセット市場に関するリポートによると、2017年第1四半期(1月~3月)の世界出荷台数は228万台となり、前年同期比約7割増加した。VRヘッドセット(224万台)のうち、約3分の2が韓国SamsungのGear VRや米GoogleのDaydream Viewなど、スマートフォンを組み込み、その画面をディスプレイとして使うスクリーンレス・ビューワーで、約3分の1が米OculusのRift、台湾HTCのVive、ソニーのPSVRなど、パソコンやゲーム機などと接続して使うテザードVRヘッドセットである。また2017年後半には数多くの新製品が登場するため、2017年通年の出荷台数は2016年比3桁成長すると予測している。

なおVR・ARの市場規模予測についてはさまざまな試算があり、一部報道によるとハードとコンテンツを合わせて、2020年に700億ドル(約8兆円)との試算や、2025年に1100億ドル(約12兆円)との試算もある。

関連市場はハードウェアやコンテンツなど幅広い

関連市場は、HMD型VR機器などのハードウェア、VR対応コンテンツなど幅広い。VR対応ゲームを制作する動きはもちろん、VRを体験できる施設を開設・運営する動きも広がっている。

VR対応コンテンツには、3D映画、スマホアプリ、ゲーム、イベント、コンサート、アトラクション、テーマパーク、スポーツの練習やVR中継配信などのエンタテインメント分野、さらに自動車・鉄道・航空機などの運転訓練シミュレーション、医療手術や宇宙飛行などの操作訓練シミュレーション、観光地の旅行体験、挙式・披露宴の体験、百貨店・商業施設のVRショッピング、自動車や住宅・不動産物件の販促ツールなどのビジネス分野がある。

株式市場における関連銘柄としては、HMD型VR機器の他に、VR対応スマートフォン・パソコンおよび部品・周辺機器などのハードウェア関連、アプリ・ゲーム・アトラクション・イベント・アミューズメント施設などエンタテインメント分野のコンテンツ関連、さらに体験ソフト・シミュレーションソフトなどビジネス分野のコンテンツ関連などがある。材料性という点ではアプリ・ゲーム制作関連銘柄が注目されそうだ。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

主要関連銘柄(コード順)

2157(東1)コシダカホールディングス
2354(東2)安川情報システム
2432(東1)ディー・エヌ・エー
2681(東1)ゲオホールディングス
3134(東1)Hamee
3393(東1)スターティア
3624(東マ)アクセルマーク
3632(東1)グリー
3639(東1)ボルテージ
3664(東マ)モブキャスト
3668(東1)コロプラ
3676(東1)ハーツユナイテッドグループ
3689(東マ)イグニス
3697(東マ)SHIFT
3698(東マ)CRI・ミドルウェア
3791(JQ)IGポート
3815(東マ)メディア工房
3845(JQ)アイフリークモバイル
3903(東1)gumi
3904(東マ)カヤック
3907(東マ)シリコンスタジオ
3909(東1)ショーケース・ティービー
3914(東マ)JIG-SAW
4308(東マ)Jストリーム
4696(東1)ワタベウェディング
4312(東1)サイバネットシステム
4334(JQ)ユークス
4712(JQ)アドアーズ
4728(東1)トーセ
4751(東1)サイバーエージェント
4763(東1)クリーク・アンド・リバー社
6038(東マ)イード
6050(東1)イー・ガーディアン
6460(東1)セガサミーホールディングス
6534(東2)D.A.コンソーシアムホールディングス
6629(JQ)テクノホライゾン・ホールディングス
6670(東2)MCJ
6731(東2)ピクセラ
6736(JQ)サン電子
6750(東1)エレコム
6751(東1)日本無線
6758(東1)ソニー
6879(東1)イマジカ・ロボットホールディングス
7814(JQ)日本創発グループ
7832(東1)バンダイナムコホールディングス
7911(東1)凸版印刷
7974(東1)任天堂
9603(東1)HIS
9684(東1)スクエア・エニックスホールディングス
9697(東1)カプコン
9790(東1)福井コンピュータホールディングス
9984(東1)ソフトバンクグループ

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