【どう見るこの相場】やや材料難の中で米長期金利の動向が焦点

どう見るこの相場

■米FOMCを通過して米長期金利の動向が焦点

 今週6月19日~23日の株式市場は、前週13日~14日の米FOMC(連邦公開市場委員会)を通過してやや材料難となる中、米長期金利の動向が焦点となりそうだ。

 前週6月12日~16日は、米FOMC前後に発表された米経済指標に反応して、為替が一時1ドル=108円台後半までドル安・円高方向に傾いた後、一転して1ドル=111円台前半までドル高・円安方向に傾いた。日経平均株価は為替に連動する形で上値の重い展開となった。ただし調整は限定的で円高抵抗力を意識させる形だった。

 今週は米FOMCを通過してやや材料難となる。ただしトランプ米大統領のロシアゲート問題や英国の与党・保守党の過半数割れなどの政治リスク、北朝鮮やカタールなどの地政学リスクに対する警戒感は一旦後退している。

 こうした状況の中で、米FRB(連邦準備制度理事会)の今後の金融政策に対する観測で、米長期金利がどのように動くかが焦点となりそうだ。13日~14日の米FOMCでは0.25%の追加利上げを決定し、さらに年内あと1回の追加利上げを見込んだ。またイエレン米FRB議長は記者会見で、量的緩和で膨らんだ保有資産の圧縮(バランスシート縮小)を「比較的早く始める」と表明し、早ければ9月にも開始する可能性を示唆した。

 こうした米FOMCの決定やイエレン米FRB議長の記者会見を受けた市場の反応は、15日の米国市場で米10年債利回りが一旦上昇したとはいえ、全面的に追加利上げを織り込みにいくという動きでもない。年内あと1回の追加利上げやバランスシート縮小開始観測を強めて米長期金利が上昇すれば、為替が円安方向に傾き日本株にとって支援材料となるが、一方では、米景気は利上げを急がなければならないほど強くはなく、トランプ米政権の減税政策が不十分であれば米景気が失速しかねないとの見方も根強い。そして米FOMCの決定に反して利上げ打ち止め観測が強まれば、為替が円高方向に傾いて日本株にとって上値を押さえる要因となりかねない。

■出遅れ感の強い主力大型株に物色シフトの可能性

 米長期金利が上昇して為替が円安方向に傾けば、業績拡大期待が高まり日経平均株価が上値を試す展開となりそうだ。この場合、物色は中小型株から主力大型株にシフトする可能性が高まりそうだ。特に出遅れ感の強い自動車セクターや銀行セクターの動きに注目したい。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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