テクマトリックスは好業績を評価する流れで上場来高値更新の展開、18年3月期も大幅増益予想

 テクマトリックス<3762>(東1)は「ITのスペシャリスト集団」として、システム受託開発やセキュリティ関連製品販売などの情報サービス事業を展開し、ストック型ビジネスやクラウドサービスを強化している。セキュリティ関連が好調に推移して18年3月期も大幅増益・連続増配予想である。株価は上場来高値更新の展開だ。好業績を評価する流れに変化はなく上値を試す展開が期待される。

■システム受託開発やセキュリティ関連製品販売などを展開

 ネットワーク・セキュリティ関連のハードウェアを販売する情報基盤事業、および医療・CRM・EC・金融を重点分野としてシステム受託開発やクラウドサービスを提供するアプリケーション・サービス事業を展開している。

 17年3月期のセグメント別売上高構成比は情報基盤事業67%、アプリケーション・サービス事業33%、営業利益構成比は情報基盤事業83%、アプリケーション・サービス事業17%である。連結子会社は合同会社医知悟、クロス・ヘッド、沖縄クロス・ヘッド、カサレアルの4社である。
 収益面では情報システム関連のため、年度末にあたる第4四半期(1月~3月)の構成比が高い特性がある。また医療分野ではオンプレミス型(ユーザーがハードウェア、ソフトウェア、データを自分自身で保有・管理)システム提供から、クラウド型(ユーザーがインターネット経由で利用)サービス提供へビジネスモデル変更を推進しているため、14年3月期から医療情報クラウドサービスの売上と利益をサービス期間に応じて按分計上する方法に変更した。

■ストック型ビジネスやクラウドサービスを拡大

 中期成長に向けた重点戦略として、ストック型ビジネスの保守・運用・監視サービス関連の戦略的拡大、クラウド関連事業の戦略的・加速度的推進、ネットワーク・セキュリティ関連商材およびサービスの充実などを推進している。

 クラウドサービスでは、コンタクトセンター向け顧客情報・対応履歴一元管理CRMシステム「Fast Cloud」や医療情報クラウドサービス「NOBORI」など独自クラウドサービスを開発している。16年4月新たな医療クラウドサービス「NOBORI-PAL」を提供開始、16年7月ネットショップの商品データを一元管理できる新サービス「楽楽アイテムマネージャー」を販売開始した。

 約20年にわたって積み重ねてきた経験・ノウハウ・技術を結集した「Fast」シリーズは国内トップクラスの導入実績を誇っている。また17年3月期末「NOBORI」累積契約施設数は650施設(16年3月期末450施設)となった。そして「NOBORI」に画像を保管している患者数は約1500万となった。医知悟の遠隔読影プラットフォーム利用専門医の数は17年5月15日現在で1300となった。

■M&A・アライアンスを積極活用

 M&A・アライアンス戦略を積極活用している。14年10月クロス・ヘッドが仮想化技術の米Pica8(ピカエイト)社に出資、15年8月中国の北京ヘルスバンク・テクノロジーと合弁で北京ヘルステック医療情報技術(当社出資比率40%)設立、15年6月クロス・ヘッドがクライアント仮想化ソフトウェア「OVD」を開発するカナダのInuvika(イヌビカ)社に出資した。

 16年11月インドのオンライン医療診察サービスベンチャーであるDocsApp社に資本参加、17年1月カサレアルがクラウドアプリケーション開発環境を提供するPivotalジャパン社と認定トレーニングパートナー契約を締結、17年2月BEDORE(東京都)のAI対話エンジン「BEDORE」と連携したAI顧客サービス・ソリューションの提供を開始した。

■17年3月期大幅増益・増配、セキュリティ関連が好調

 前期(17年3月期)の連結業績は売上高が前々期(16年3月期)比5.1%増の219億96百万円、営業利益が同19.0%増の16億43百万円、経常利益が同14.5%増の16億26百万円、純利益が同22.8%増の10億18百万円だった。

 セキュリティ関連が好調に推移し、医療分野の黒字化も寄与して、クラウドサービスへの投資負担などを吸収した。売上総利益は同10.0%増加し、売上総利益率は34.3%で同1.5ポイント上昇した。販管費は同7.8%増加し、販管費比率は26.8%で同0.6ポイント上昇した。

 ROEは23.2%で同7.2ポイント上昇した。自己資本比率は27.9%で同2.8ポイント上昇した。配当は年間15円(期末一括)で、17年3月1日付株式2分割を考慮して前々期の年間20円を10円に換算すると実質的に同5円増配となる。配当性向は25.6%である。

 セグメント別に見ると、情報基盤事業は売上高が同6.5%増の147億51百万円で営業利益が同21.0%増の13億68百万円だった。次世代ファイアウォールなどセキュリティ関連が順調だった。また官公庁や民間企業における在宅勤務の拡がりに伴って個人認証システムが好調だった。

 アプリケーション・サービス事業は売上高が同2.5%増の72億45百万円で営業利益が同9.9%増の2億74百万円だった。医療情報クラウドサービス「NOBORI」は通期で黒字化した。好調な引き合いが継続し、目標としていた累積契約施設数600を超過して650施設を達成した。

 四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期48億85百万円、第2四半期55億12百万円、第3四半期52億92百万円、第4四半期63億07百万円で、営業利益は1億23百万円、4億72百万円、4億09百万円、6億39百万円だった。

■18年3月期も大幅増益・連続増配予想

 今期(18年3月期)の連結業績予想(5月9日公表)は、売上高が前期(17年3月期)比9.1%増の240億円、営業利益が同21.7%増の20億円、経常利益が同35.2%増の22億円、純利益が同37.5%増の14億円としている。

 セキュリティ関連が好調に推移し、人件費の増加などを吸収して大幅増益予想である。配当予想は同3円増配の年間18円(期末一括)で、予想配当性向は22.3%となる。

 セグメント別売上高の計画は情報基盤事業が同11.9%増の165億円、アプリケーション・サービス事業が同3.5%増の75億円としている。情報基盤事業では次世代ネットワーク・セキュリティ関連商材・サービスの拡充を目指す。アプリケーション・サービス事業ではCRM分野・医療分野・インターネットサービス分野においてクラウドサービス(SaaS)を加速度的に推進する。「NOBORI」契約施設数は850を目標とする。

■中期的に年率売上高成長率10%目指す

 中期経営計画「TMX3.0」では、目標数値として18年3月期の売上高251億円(情報基盤事業170億円、アプリケーション・サービス事業81億円)、営業利益23億50百万円(情報基盤事業16億円、アプリケーション・サービス事業7億50百万円)を掲げている。

 中期的には年率売上高成長率10%、M&Aや海外展開を含めて事業規模250億円~300億円、ストック売上(クラウド、保守、運用・監視サービス等)比率50%超を目指し、売上高営業利益率10%へ挑戦する。

 従来のIT産業の労働集約的な請負型ビジネスから脱却し、自らITサービスを創造し、ITサービスを提供する「次世代のITサービスクリエーター」そして「次世代のITサービスプラバイダー」への変貌を継続する。重点事業戦略は、クラウド関連事業の戦略的・加速度的推進、セキュリティ&セイフティの追求として、コストダウンによる高収益化やパートナーとのアライアンス強化も推進する。

 なお株主還元については連結配当性向20%以上を基本方針として、利益水準を踏まえた配当額の引き上げを重視し、株主優待制度の充実も推進する。

■株主優待制度は9月末に実施

 株主優待制度は毎年9月30日現在の500株以上保有株主を対象として実施している。5月16日に17年9月末の優待内容を発表した。500株以上保有株主に対しては1000円相当の商品5点または寄付から1点を選択、1000株以上保有株主に対しては3000円相当の商品5点または寄付から1点を選択する。

■株価は上場来高値更新の展開

 株価の動き(17年3月1日付で株式2分割)を見ると上場来高値更新の展開だ。6月5日には1877円まで上伸した。

 6月21日の終値1808円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS80円60銭で算出)は22~23倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間18円で算出)は1.0%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS277円14銭で算出)は6.5倍近辺である。時価総額は約448億円である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインとなって上昇トレンドである。好業績を評価する流れに変化はなく上値を試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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