平山ホールディングスは18年6月期の収益改善期待で戻り試す

 平山ホールディングス<7781>(JQ)は国内製造業向けインソース(製造請負)・派遣事業を主力として、技術者派遣や現場改善コンサルティングサービスも展開している。17年6月期連結業績予想を減額修正したが、株価への影響は限定的だ。18年6月期の収益改善期待で戻りを試す展開だろう。

■国内製造業向けインソース(製造請負)・派遣事業が主力

 17年3月1日付で旧平山が持株会社に移行して平山ホールディングスに商号変更した。国内製造業向けのインソース(製造請負)・派遣事業を主力として、連結子会社トップエンジニアリングの技術者派遣事業、その他事業(製造業向け現場改善コンサルティング事業、スタディーツアー事業など)も展開している。

 16年6月期売上高構成比(旧セグメント)はアウトソーシング事業85%、技術者派遣事業9%、その他事業5%だった。アウトソーシング事業の分野別売上高構成比は医療機器・医薬品49%、オフィス用品14%、食品12%、住宅設備8%、建設機械7%、自動車部品7%、その他3%だった。
 なお17年6月期からセグメント区分を変更し、インソーシング・派遣事業(旧アウトソーシング事業)、技術者派遣事業、海外事業、その他事業としている。

■テルモ向けを主力に大手優良企業グループと強固な取引関係を構築

 主要取引先はテルモ<4543>向けを主力として、LIXILグループ、TOPPANグループ、TOTOグループ、トヨタグループ、リコーグループ、三菱グループなどである。多種多様な業種・工程での実績を持ち、業界を超えた製造技術・ノウハウを蓄積して、大手優良企業グループと強固な取引関係を構築している。

 海外はベトナムとタイの現地法人(非連結子会社)で、日本国内のエンジニア不足に対応した外国人技術者の採用、東南アジア諸国の日系企業との取引拡大を推進している。16年2月には平山タイの子会JSHRが、JOB SUPPLY(JS)社から人材派遣事業(約1700名)を譲り受けた。

■「現場改善力」が強み

 主力のインソーシング・派遣事業では、当社に所属する現場改善コンサルタントと連携したサービスを提供し、顧客企業の製造現場における生産性向上、コスト削減や「ものづくり力」強化に繋げていることが強みだ。

 請負現場「ものづくり力」高度化のために、中核になる生産管理者の育成を強化するとともに、製造企業OBシニア層の技術を再開発して、製造現場の改善をワンストップで提案できる体制を構築することに経営資源を最優先で投資している。また従来の派遣・請負会社のイメージを脱却し、社内で育成した人材を社会に還元する「教育会社」を目指している。

 15年7月には当社独自の求人サイト「ものっぷ」を開設した。17年1月には特例子会社の認定取得を前提とした子会社「平山LACC」の設立を発表した。障害者の雇用の促進等に関する法律に基づいて特例子会社の認定を申請する。

■長期的目標は売上高営業利益率8%

 経営目標としてはグループ売上高200億円の早期達成を目指し、売上高営業利益率を中期的に5%、長期的に8%に向上させる方針だ。重点戦略としては、コンサルティング機能の強化や外国人技能者の積極的活用により、現場改善力・収益力を高めて差別化や顧客の囲い込みを推進する。

 そして国内製造業既存取引先の事業所拡大・安定化、既存製造派遣取引先のインソーシング(製造請負)化、自社管理業務および既存インソーシング契約取引先業務の改善、新規取引先の開拓(インソーシング案件獲得)、ハイエンド派遣・設計エンジニア派遣の拡大などを推進する。

 海外展開については、タイ、ベトナム、インドネシアでのコンサルティング事業の拡大、インドネシア、フィリピンへの拠点展開などを推進し、東南アジアでの人材ビジネス企業、コンサルティング企業、教育関連企業へのM&Aも検討する。JS社から人材派遣事業(約1700名)を譲り受けたタイのJSHR社については、中期的に4000名体制を目指すとしている。

■17年6月期第3四半期累計は需要高水準で2桁増収だが営業減益

 今期(17年6月期)第3四半期累計(7月~3月)の連結業績は売上高が前年同期比22.3%増の85億14百万円だが、営業利益が同92.1%減の7百万円、経常利益が同15.0%減の50百万円、純利益が同4.1倍の67百万円だった。

 インソーシング・派遣事業において輸送用機器、住設機器、食品関連分野からの受注が高水準で大幅増収だったが、採用関連コストの増加、技術者派遣事業における先行投資負担などで大幅営業減益だった。売上総利益は5.0%増加したが、売上総利益率は14.0%で同2.3ポイント低下した。販管費は14.0%増加したが、販管費比率は13.9%で同1.0ポイント低下した。
 
 営業外では為替差損益が改善(前期差損20百万円、今期差益32百万円)し、助成金収入が増加(前期0百万円、今期11百万円)した。特別利益で消費税等簡易課税差額収入28百万円を計上し、さらに法人税等が減少したため純利益は大幅増益だった。

 主力のインソーシング・派遣事業は売上高が同8.9%増の66億82百万円で、営業利益(連結調整前)が同2.5%減の5億97百万円だった。引き合いが堅調で増収だが、採用広告費の増加で減益だった。
 
 技術者派遣事業は売上高が同0.2%増の6億92百万円で、営業利益が2百万円の赤字(前年同期は42百万円の黒字)だった。採用および営業の両面での先行投資負担が影響した。海外事業は売上高が10億24百万円で、営業利益が22百万円の赤字だった。その他事業は売上高が同0.3%減の1億23百万円で、営業利益が3百万円の赤字(同9百万円の黒字)だった。

 なお四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期27億28百万円、第2四半期28億86百万円、第3四半期29億円、営業利益は26百万円の赤字、30百万円、3百万円だった。

■17年6月期業績予想を減額修正

 今期(17年6月期)の連結業績予想を6月13日に減額修正した。前回予想(8月12日公表)に対して、売上高は3億45百万円減額して前期(16年6月期)比19.2%増の116億18百万円、営業利益を2億14百万円減額して同76.6%減の30百万円、経常利益を1億70百万円減額して同15.6%増の74百万円、純利益を26百万円減額して同7.6倍の1億06百万円とした。

 特別利益に消費税等簡易課税差額収入99百万円が発生する見込みとなったため、来期(18年6月期)以降の成長を見据え、戦略的に採用費を積極投入して人員採用配置を強化した。また医療・医療機器分野において受注に対する適正な人材採用および人材確保・配置が進まなかった。このため原価率が上昇して営業利益は増益予想から減益予想に転じた。

 配当予想は据え置いて同18円減配の年間20円(期末一括)としている。前期の年間38円には上場記念配当32円が含まれているため普通配当ベースでは増配となる。予想配当性向は25.9%となる。利益配分については安定した配当の継続という観点から配当性向25%を基本としている。

■株価は18年6月期の収益改善期待で戻り試す

 株価の動きを見ると徐々に水準を切り上げて底放れの動きを強めている。17年6月期連結業績予想を減額修正したが株価への影響は限定的だ。

 6月22日の終値1157円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS62円03銭で算出)は18~19倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間20円で算出)は1.7%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1247円64銭で算出)は0.9倍近辺である。なお時価総額は約20億円である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線と26週移動平均線が上向きに転じて先高感を強めている。18年6月期の収益改善期待で戻りを試す展開だろう。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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