【アナリスト水田雅展の銘柄分析】パシフィックネットは下値固め完了感、今期増額の可能性を評価して出直り

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

中古パソコン・モバイル機器などのリユース事業を展開するパシフィックネット<3021>(東マ)の株価は、1月16日に直近安値474円まで調整したが、目先的な売り一巡後は500円近辺で推移して下値固め完了感を強めている。今期(15年5月期)業績増額の可能性や、5月期末一括で3%台の高配当利回りを評価して出直り展開だろう。

パソコン、タブレット端末、スマートフォンなど中古情報機器の引取回収・販売事業を主力として、レンタル事業も展開している。13年10月に旗艦店としてオープンした「PC-NETアキバ本店」など全国主要都市に9店舗を展開し、主要仕入先のリース・レンタル会社や一般企業からの引取回収を強化するとともに、生産性向上や業務プロセス効率化などで収益力を高めている。

全国主要都市8箇所に引取回収拠点を配し、ISO27001(ISMS)およびプライバシーマークに準拠した情報漏洩防止のためのセキュリティ体制に強みを持ち、企業や官公庁のセキュリティ意識やコンプライアンス意識の向上に伴って中古情報機器の入荷台数が大幅に増加している。データ消去サービスなども奏功して顧客カバー率が一段と広がり、大手金融機関からの中古情報機器引取回収もスタートした。

新サービスとして14年8月、レカム<3323>およびリステック(東京都中央区)との3社協業で中小企業向けサーバー機器レンタルサービスを開始し、法人向け格安スマートフォンのサービスも開始した。

14年10月には企業・官公庁・自治体での使用済みIT機器の回収からデータ消去までの一連の作業を大幅に効率化する日本初のWebサービス「P-Bridge」の無償提供を開始した。IT資産管理ソフト大手エムオーテックス社とデータ連携し、当社の引取回収サービスの提供価値を高める。中期的にはソリューション・プラットフォームと位置付けて、リサーチ結果の提供やユーザー間の情報交換など、さまざまなサービスを新たに投入する方針だ。

また14年11月には、Windowsクラスルーム協議会の「Windowsクラスルーム包括プログラム」のサービスメニューとして「教育機関のお客様向けECOサービス」を展開すると発表した。教育現場におけるICT機器導入時・処分時のコスト削減サービスや、ICT機器処分時の情報漏洩などセキュリティリスクを軽減するサービスを教育機関向けに提供する。

今期(15年5月期)の連結業績見通し(7月15日公表)は、売上高が前期比4.8%増の42億53百万円、営業利益が同5.4%増の3億円、経常利益が同1.2%増の3億11百万円、純利益が同6.3%減の1億71百万円、配当予想が前期と同額の年間16円(期末一括)としている。

第2四半期累計(6月~11月)は前年同期比23.1%増収、19.7%営業増益、16.9%経常増益、29.1%最終増益で期初計画を上回り、通期見通しに対する進捗率も売上高が52.6%、営業利益が50.3%、経常利益が51.8%、純利益が61.4%と概ね順調な水準だった。

米マイクロソフトのOS「ウインドウズXP」サポート終了に伴う入れ替え需要一巡や、消費増税の反動といったマイナス影響が想定よりも限定的な一方で、中古スマートフォンや中古タブレット端末といった中古モバイル機器の引取回収、業者向け卸販売が大幅に増加している。

通期見通しについては、市場動向や戦略投資などの状況を踏まえて精査中として前回予想を据え置いているが、顧客対応強化の効果で中古情報機器の引取回収・販売が順調に増加し、保守・サポートなど付帯サービス関連も拡大するだろう。生産性向上や業務プロセス効率化も寄与して通期見通し増額の可能性があるだろう。

株価の動きを見ると、1月14日の第2四半期累計業績発表後に急反落し、1月16日には直近安値となる474円まで調整した。しかし目先的な売り一巡後は500円近辺で推移して下値固め完了感を強めている。

2月12日の終値512円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS33円23銭で算出)は15~16倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間16円で算出)は3.1%近辺、実績PBR(前期実績の連結BPS352円83銭で算出)は1.5倍近辺である。

週足チャートで見ると26週移動平均線が戻りを押さえる形だが、一方では500円近辺が下値支持線の形だ。また日足チャートで見ると25日移動平均線突破の動きを強めている。今期業績見通し増額の可能性や5月期末一括で3%台の高配当利回りを評価して出直り展開だろう。

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