朝日ラバーは調整一巡感、18年3月期減益予想だが上振れ余地

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 朝日ラバー<5162>(JQ)はシリコーンゴムや分子接着技術をコア技術として、自動車内装LED照明光源カラーキャップ、医療・衛生用ゴム製品、RFIDタグ用ゴム製品などを展開している。18年3月期減益予想だが、自動車関連製品が好調に推移して上振れ余地がありそうだ。中期計画では20年3月期営業利益率8%以上を目指している。また6月20日には簡易的に睡眠ポリグラフ(PSG)検査が可能な着衣型ウェアラブルシステムの開発開始を発表している。株価は調整一巡感を強めている。戻りを試す展開が期待される。

■自動車内装LED照明の光源カラーキャップが主力

 シリコーンゴムや分子接着技術をコア技術として、自動車内装照明関連の工業用ゴム製品、卓球ラケット用ラバー、医療・衛生用ゴム製品、機能製品のRFIDタグ用ゴム製品などを展開している。17年3月期のセグメント別売上構成比は工業用ゴム事業82%、医療・衛生用ゴム事業19%である。

 自動車内装照明関連は、車載用小型電球の光源カラーキャップ「ASA COLOR LAMPCAP」や、車載用LED照明の光源カラーキャップ「ASA COLOR LED」が主力製品である。車載用「ASA COLOR LED」は高級車向けに加えて、小型車や軽自動車向けにも採用が拡大している。
 NEC<6701>のポータブルDNA解析装置向けマイクロ流体デバイスは、分子接着技術を活用した製品で14年10月量産開始した。マイクロ流体デバイスの生産能力増強、ライフサイエンス分野や医療分野における新製品開発推進のため、福島県白河市・白河工場の隣接地に白河第二工場が17年2月竣工予定した。

■見やすく疲れにくい自動車内装照明の開発開始

 15年9月埼玉大学と連携して、色のバラつきが少なく視認性に優れ、疲労低減性のある自動車内装照明用LEDの蛍光体層の共同開発を開始した。LEDの光を波長変換する蛍光体を組み合わせ、人間工学に基づいて運転者にとって見やすく疲れにくい照明の開発を目指す。

 この共同開発は経済産業省「平成27年度革新的ものづくり産業創出連携促進事業(戦略的基盤技術高度化支援事業)」として補助金の採択を受けた。事業期間は15年度から3年間、補助金額は3年間で9750万円の予定としている。

■プラズマ気流制御電極技術も開発

 シリコーンゴムの高い耐候性、柔軟性、耐電圧性を生かして、独自の分子接着・接合技術により、金属電極と強固に接合させることでプラズマ気流を発生させ、空気の流れを制御できる電極の開発を進めている。

 17年5月には「風車用プラズマ気流制御用電極の特性評価」事業が平成28年度に続き、平成29年度福島県産総研連携再生可能エネルギー等研究開発補助事業補助金の研究テーマとして採択されたと発表している。

■簡易睡眠ポリグラフ検査用着衣型ウェアラブルシステムの共同開発開始

 6月20日には、ミツフジ(京都府)および埼玉大学と共同で、呼吸波形を計測できるウェアラブルシャツとの組み合わせにより、簡易的に睡眠ポリグラフ(PSG)検査が可能な着衣型ウェアラブルシステムの開発を開始したと発表している。この共同開発は平成29年度埼玉県新技術・製品化開発費補助金事業に採択された。

 睡眠時無呼吸症候群(SAS)対策として、症状を自覚していない潜在患者数が多いためPSG検査の早期受診が奨励されている。呼吸波形を計測できるウェアラブルシャツとの組み合わせにより、簡易的にSASをスクリーニングできる製品の開発を目指す。

■17年3月期は大幅増益

 前期(17年3月期)連結業績は売上高が前々期(16年3月期)比8.9%増の65億11百万円、営業利益が同2.0倍の4億75百万円、経常利益が同2.1倍の4億90百万円、純利益が同2.6倍の3億41百万円だった。

 自動車関連製品が好調に推移し、原価低減効果も寄与して大幅増益だった。売上総利益は同20.5%増加し、売上総利益率は26.7%で同2.6ポイント上昇した。販管費は同4.8%増加したが、販管費比率は19.4%で同0.7ポイント低下した。

 特別利益では補助金収入6億92百万円を計上し、特別損失では固定資産圧縮損6億74百万円を計上した。ROEは9.2%で同5.5ポイント上昇、自己資本比率は39.0%で同1.1ポイント低下した。配当は同3円増配の年間16円(第2四半期末3円、期末13円)とした。配当性向は21.0%である。

 セグメント別に見ると、工業用ゴム事業は売上高が同9.5%増の53億08百万円で、営業利益(連結調整前)が同52.0%増の4億86百万円だった。自動車内装照明用「ASA COLOR LED」など自動車関連製品が好調に推移し、スポーツ用ゴム製品の卓球ラケット用ラバー、RFIDタグ用ゴム製品も増加した。

 医療・衛生用ゴム事業は売上高が同6.8%増の12億02百万円で、営業利益が同91.8%増の2億46百万円だった。採血用・薬液混注用ゴム栓が好調に推移した。

 四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期14億46百万円、第2四半期16億37百万円、第3四半期16億76百万円、第4四半期17億52百万円、営業利益は82百万円、1億12百万円、1億61百万円、1億20百万円だった。

■18年3月期減益予想だが上振れ余地

 今期(18年3月期)の連結業績予想(5月11日公表)は、売上高が前期(17年3月期)比4.6%増の68億09百万円、営業利益が同2.7%減の4億63百万円、経常利益が同10.7%減の4億38百万円、純利益が同10.1%減の3億07百万円としている。

 配当予想は前期と同額の年間16円(第2四半期末6円、期末10円)で、予想配当性向は23.4%となる。利益配分については、株主資本の充実と長期的な収益力の維持・向上、業績に裏付けられた安定的な配当の継続を原則としている。

 自動車内装照明用「ASA COLOR LED」など自動車関連製品が好調に推移し、RFIDタグ用ゴム製品も増加して増収だが、研究開発の強化や基幹システムの入れ替えなど事業基盤強化に向けた費用の増加で減益予想としている。ただし保守的な印象が強く、上振れ余地がありそうだ。

■中期経営計画で20年3月期営業利益率8%以上目指す

 20年3月期を見据えた長期ビジョン「AR-2020VISION」を14年策定し、前半3ヵ年(15年3月期~17年3月期)を第1ステージ「V-1計画」、後半3ヵ年(18年3月期~20年3月期)を第2ステージ「V-2計画」と位置付けている。

 そして17年3月、第12次三カ年中期経営計画「V-2計画」を発表し、経営目標値に20年3月期売上高70~80億円、営業利益率8%以上を掲げた。

 事業分野別売上高は、車載・照明(自動車内装照明用「ASA COLOR LED」、透明部材、販社材料)30~35億円、医療・ライフサイエンス(採血用・薬液混注用ゴム栓、プレフィルドシリンジ用ガスケット、マイクロ流体デバイス)13~15億円、その他(RFIDタグ用ゴム製品、自動車向けスイッチ用ラバー、卓球ラケット用ラバー)27~30億円としている。

 車載・照明では、自動車内装照明用「ASA COLOR LED」などの独自製品を展開し、培った技術を照明全般に広げて市場を開拓する。医療・ライフサイエンスでは、ディスポーザブルのゴム製品と診断医療や解析分野に貢献するマイクロ流体デバイスの開発を進める。その他分野ではゴムの可能性を追求し、独自のコア技術と複合させた付加価値を持つ機構製品を提供する。

■株価は調整一巡して戻り試す

 株価の動きを見ると、やや上値の重い展開だが、徐々に下値を切り上げて調整一巡感を強めている。

 6月26日の終値959円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS68円28銭で算出)は14倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間16円で算出)は1.7%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS880円48銭で算出)は1.1倍近辺である。時価総額は約44億円である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線がサポートラインの形だ。調整一巡して戻りを試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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