株を買うな時を買え=犬丸正寛の相場格言

■株を買うな時を買え

 当たり前のことですが、証券会社で買い注文を出し、その注文が成立すれば、お金を払って受け取るのは「株券」であって「時間」ではないことは言うまでもありません。しかし、本当に欲しいのは株券でしょうか。株券を物としてみた場合は、もしも倒産したら何の役にも立ちません。このため、株の入門テキストにある通り、株券を所有することで発生する価値が株式の魅力なわけです。とくに、現在では、株券自体が発行されない時代です。

 株を所有する目的は、(1)キャピタルゲイン(値上り益)、(2)インカムゲイン(配当金、優待)、(3)経営参加、の3つです。特に、個人投資家にはキャピタルゲインが最大の魅力です。そのキャピタルゲインを狙う際に大事なのが、「時間」ということです。つまり、内容の良い銘柄ならいつでも上がるかといえば、そうではありません。世界的銘柄といえども、いつでも活躍するということではありません。その季節にはその季節の花が咲くように、株にも季節感があるのです。

 株を「時間」に照らし合わせてみる場合は、「短期的」と「中長期的」な視点があります。短期的にはその銘柄が過熱していないか、マーケットの流れや人気にマッチしているか。たとえば、今の市場では値段の高い銘柄が人気か、あるいは値段の低い銘柄が人気か、といったことがあります。

 長期的な視点では、「ソーシャルニーズの変化」ということが大切です。時間が経ってみれば、時代の変化は分かりますが、渦中にあれば分かり難いものです。かつては、輸出関連銘柄が下げれば、内需関連が活躍したものです。しかし、昨今の相場では、輸出関連株以上に内需関連株が大きく下げています。これも、少子高齢化による国内マーケットの縮小という時代的変化です。

 今は立派な会社でも時代の変化、ソーシャルニーズの変化に対応できなければ極端な場合、倒産だってありうるのです。長期投資をする際、あるいは企業経営においては、特に、長期的観点での「時を買え」は、「時代の変化」の大切なことを教えといえるのです。

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