【どう見るこの相場】安倍政権の政治リスクに対する警戒感強が焦点で調整色強める可能性

どう見るこの相場

■安倍政権の政治リスクに対する警戒感が焦点、週末には米雇用統計

 今週7月3日~7日の株式市場は、東京都議会選挙における自民党の歴史的な大惨敗という結果を受けて、海外投資家が安倍政権の政治リスク・政局化に対する警戒感を強めるかが焦点になる。4日の米国市場が休場となり、週末7日には米6月雇用統計を控えていることも勘案すれば、日本株が調整色を強める可能性がありそうだ。

 前週6月26日~30日は日経平均株価2万円台固めの1週間となった。29日の米国株が大幅下落したことを受けて30日の日経平均株価は一時2万円台を割り込む場面があったが、終値では2万円台を維持した。また米10年債利回りの上昇を受けて為替は1ドル=112円台のドル高・円安水準に傾いた。膠着感が強いとはいえ、ここまでは概ねシナリオどおりの堅調な形だった。

 しかし7月2日投開票の東京都議会選挙において、自民党が想定以上に歴史的な大惨敗を喫した。この結果を受けて特に海外投資家が、安倍政権の政治リスク・政局化に対する警戒感を強めるかが焦点になる。4日の米国市場が休場となり、週末7日には米6月雇用統計を控えていることも換算すれば、当面は日本株が調整色を強める可能性がありそうだ。安倍総理が支持率回復に向けて、どのような動きを見せるかが注目される。

 なお3日の米6月ISM製造業景況指数、6日の米6月ADP雇用リポートなどの主要経済指標で米景気の堅調さが確認されれば、米10年債利回りが上昇して為替がドル高・円安方向に傾くだろう。この場合は日銀のETF買いと合わせて日本株の下値を支える可能性がありそうだ。

■中小型株物色は最終盤、政治リスク警戒で大型株シフトも様子見

 物色面では、けん引役だった人気株が高値圏で乱高下する動きが見られ、テーマ性の強い中小型株物色が最終盤に差し掛かった印象が強い。またIPO銘柄に短期資金が向かっているが、直近のIPO銘柄の初値倍率の状況を見る限り、経験則的にはIPO初値相場もピークアウトが近づいているようだ。

 出遅れ感の強い主力大型株への物色シフトが期待されるところだが、政治リスクに対する警戒感を強めた場合は、主力大型株への物色シフトも様子見ムードを強める可能性がありそうだ。

 また東京都議会選挙において、小池百合子東京都知事を支持する勢力が過半数を獲得したことで、20年東京五輪、築地再開発、待機児童解消、電線地中化といった政策の関連銘柄が個別物色される可能性もありそうだ。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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