【アナリスト水田雅展の銘柄分析】インテリジェントウェイブは15年6月期営業利益上振れ余地や収益拡大基調を評価して出直り

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

システムソリューション事業のインテリジェントウェイブ<4847>(JQS)の株価は、1月28日の第2四半期累計(4月~9月)営業利益増額修正を好感して戻り高値366円まで急伸する場面があった。買いが続かず一旦反落したが、1月の直近安値278円まで下押すことなく切り返しの動きを強めている。13日は308円まで戻した。今期(15年6月期)営業利益上振れ余地や収益拡大基調を評価して出直り展開だろう。

大日本印刷<7912>の連結子会社で、金融業界やシステム開発会社向けソフトウェア開発を中心にソリューションを提供する金融システムソリューション事業、情報セキュリティ分野を中心に自社開発パッケージソフトウェアや保守サービスを提供するプロダクトソリューション事業を展開している。クレジットカード会社、ネット銀行、証券会社など金融関連のシステム開発受託・ハードウェア販売・保守サービスが収益柱だ。

中期的には、クレジットカード決済のフロント業務関連から、バックオフィス業務関連など基幹業務関連への事業領域拡大を目指している。また14年2月にはジーフィー(GIFI)と個人投資家向け次世代オンライントレードシステム分野で業務提携した。新規事業では自社開発コミュニケーションツール「Face(フェイス)コンシェル」の販売を強化している。口語解析技術を駆使したコンシェルジュ(画面上の人物画)が簡単な質問に自動応答するシステムだ。

1月28日に、今期(15年6月期)第2四半期累計(7月~12月)の売上高と利益の見通しの増額修正、そして通期の純利益見通しの増額修正を発表した。

そして2月4日に発表した第2四半期累計の連結業績は売上高が前年同期比6.9%減の28億44百万円、営業利益が1億83百万円(前年同期は1億03百万円の赤字)、経常利益が1億83百万円(同88百万円の赤字)、純利益が2億45百万円(同72百万円の赤字)だった。

クレジットカードの使用認証、銀行ATMのネットワーク接続を担うNET+1やクレジットカードの不正利用を検知するACEPlusなどの自社製パッケージソフトウェアが好調だった。情報セキュリティ対策業務ではパロアルトネットワークス社のマルウェア対策システムTRAPSなど他社製パッケージソフトウェアの販売が好調だった。

セグメント別の売上状況は金融システムソリューション事業が同9.2%減収、プロダクトソリューション事業が同33.5%増収だった。ソフトウェア開発業務よりも相対的に利益率が高いパッケージソフトウェアの販売が計画を上回ったことにより、利益も計画を大幅に上回った。純利益については税金費用が1億30百万円減少したことも寄与した。

通期の連結業績見通しは前回予想(8月6日公表)に対して売上高、営業利益、経常利益を据え置き、税金費用の減少に伴って純利益を1億30百万円増額した。売上高は前期比2.4%減の64億円、営業利益は同2.6倍の3億80百万円、経常利益は同2.2倍の4億円、純利益は同4.4倍の3億80百万円としている。配当予想は前回予想(8月6日公表)を据え置いて前期と同額の年間5円(期末一括)としている。

通期見通しに対する第2四半期累計の進捗率は売上高が44.4%、営業利益が48.2%、経常利益が45.8%、純利益が64.5%である。第2四半期累計上振れの主因となった金融システムソリューション事業の自社製パッケージソフトウェアの一部は、下期に計上予定だったものが第2四半期累計に前倒し計上されたためとして純利益以外を据え置いた。ただし不採算プロジェクトの一巡、ソフトウェア開発の受注拡大、他社製パッケージソフトウェアの拡販などで通期営業利益に上振れ余地があるだろう。

クレジットカード・金融業界では、システム・ハードウェア更新投資に加えて、ブランドプリペイドカードやモバイル端末決済など決済サービス提供の多様化、外国人旅行客増加に対応した新規設備投資などでIT投資が高水準に推移する。15年10月のマイナンバー制度導入に伴う金融関連の開発案件受注増加も期待される。中期的に収益拡大基調だろう。

株価の動きを見ると、1月28日の増額修正を好感して1月29日に14年9月391円以来の戻り高値水準366円まで急伸する場面があった。買いが続かず2月5日の285円まで一旦反落したが、1月の直近安値278円まで下押すことなく切り返しの動きを強めている。13日は308円まで戻した。

2月13日の終値307円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS14円43銭で算出)は21~22倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間5円で算出)は1.6%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS169円00銭で算出)は1.8倍近辺である。

日足チャートで見ると25日移動平均線、週足チャートで見ると26週移動平均線を回復した。今期営業利益上振れ余地や収益拡大基調を評価して出直り展開だろう。

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