【編集長の視点】ズームは2Q決算発表を前に業績期待を高め割安IPO株買いが再燃して反発

 ズーム<6694>(JQS)は、前日27日に12円高の1774円と11営業日ぶりに反発して引けた。決算発表シーズン入りした株式市場では、好業績株買いが旺盛になっているが、今年3月28日に新規株式公開(IPO)されたばかりの同社株は、今年8月10日に今2017年12月期第2四半期(2017年1月~6月期、2Q)累計業績の発表を予定しており、為替相場が、1ドル=111円台まで円安・ドル高に進んでいることから業績期待を高め、割安直近IPO株買いが再燃した。今年5月の今期第1四半期(2017年1月~3月期、1Q)決算発表時には、期末配当の増配も加わり2090円の戻り高値まで約1カ月で約20%高しており、再現有力との観測も強まっている。

■海外売り上げが約89%を占め今期の期初為替想定レートは1ドル=103円

 同社は、プロミュージシャンや音楽マニア向けにハンディオーディオレコーダーなどの電子音響機器を製作・販売しており、自社では研究開発に専念し、生産は、工場を持たないファブレス企業として中国企業に委託しており、売り上げのうち海外売り上げが、前2016年12月期実績で88.6%を占める。このため、円安・円高が業績に影響を与える為替感応度が高く、1円の円安・円高で営業利益が約1300万円左右される。

 今12月期業績は、売り上げ60億1900万円(前期比0.8%増)、営業利益2億2900万円(同3.7%増)、経常利益2億9900万円(同45.9%増)、純利益2億3800万円(同33.3%増)と増益転換を予想しているが、この想定為替レートは、1ドル=103円に設定している。前2016年12月期の実績レートの1ドル=109.3円、現状の1ドル=111円は、この想定レートに対して6円~8円の円安となるもので、増益転換幅の拡大が期待されている。東洋経済会社四季報最新号では、想定為替レートが保守的として売り上げ62億円、営業利益3億円、経常利益3億7000万円、純利益2億9000万円、配当も33円~40円と再増配含みと観測している。

 今年5月8日に発表された今期第1四半期(2017年1月~3月期、1Q)業績は、平均為替レートが、前年同期の1ドル=118.3円から114.7円にやや円高となったものの、新機種効果などから売り上げ15億3500万円(前年同期比8.7%増)、営業利益8200万円(同95.2%増)、経常利益4600万円(前年同期は7200万円の赤字)、純利益2800万円(同5800万円の赤字)で着地しており、一段と高い為替感応度の寄与が高まるとみられる。

■25日線を固めてPER16倍台、PBR0.8倍の割り負け修正に再発進

 株価は、今年3月に1520円の公開価格でIPOされ、2278円で初値をつけ上場来高値2331円に上ぶれたあと、上場来安値1421円へ突っ込み、公開価格割れは下げ過ぎとしてリバウンド、今期配当の33円(前期実績20円)への増配も加わり最高値から最安値までの調整幅の半値戻しをクリアする2090円の戻り高値をつけた。同高値からは再度、25日移動平均線を出没する下値固めが続いたが、PERは16倍台、PBRは0.8倍と割り負け顕著となっており、戻り高値クリアから上場来高値へのキャッチアップに弾みをつけよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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