メディカル・データ・ビジョンは自律調整一巡して上値試す、7月末の診療データベース実患者数1895万人

 メディカル・データ・ビジョン<3902>(東1)は医療分野のビッグデータ関連ビジネスを展開している。17年7月末現在の大規模診療データベース実患者数は1895万人となった。17年12月期大幅増収増益予想である。株価は6月の上場来高値から一旦反落したが、自律調整一巡して上値を試す展開が期待される。

■医療分野のビッグデータ関連ビジネス

 医療分野のビッグデータ関連ビジネスとして、医療機関向けに医療情報システムを開発・販売するデータネットワークサービス、および製薬会社向けに各種データ分析ツール・サービスを販売するデータ利活用サービスを展開している。

 データネットワークサービスで医療機関向けに医療情報システムを販売するとともに、2次利用許諾を得た患者の医療・健康関連情報を集積する。そして集積した各種情報を分析し、データ利活用サービスとして主に製薬会社向けに提供するビジネスモデルだ。収益面では特にデータ利活用サービスにおいて下期偏重の特性がある。

 病院向けデジタル健康ソリューション「CADA-BOX」は16年10月提供開始した。患者自身が診療情報の一部を閲覧できるWEBサービス「カルテコ」や医療費後払いサービス「CADA決済」などを融合した。この「CADA-BOX」を介し、検査結果などを含むよりリアルタイムなデータを集積することで、データ利活用ビジネスの拡大を目指す考えだ。

■民間最大規模の診療データベースを活用して新規分野にも事業展開

 データ利活用ビジネスを支えるのは大規模診療データベース(病院から2次利用の許諾を得て匿名化処理がなされた入院患者ごとの診断名、治療方法、薬剤処方が分かる実臨床データ)である。8月1日発表した17年7月末現在の大規模診療データベース実患者数は1895万人(16年12月末比172万人増加)となった。全保険種類を網羅した民間最大級のデータベースである。

 大規模診療データベースを活用して新規分野への事業展開も推進している。17年2月設立した子会社MDVコンシューマー・ヘルスケアは乾燥性敏感肌用スキンケア「KISOU」を発売した。また17年6月にはSMO(治験施設支援機関)事業を展開するコスメックスを子会社化した。

■17年12月期通期大幅増収増益予想

 今期(17年12月期)連結業績予想(2月13日公表)は、売上高が前期(16年12月期)比36.8%増の36億円、営業利益が同25.9%増の5億42百万円、経常利益が同29.9%増の5億40百万円、そして純利益が同74.9%増の3億11百万円としている。

 営業強化で基盤事業を再成長させるとともに、新規事業の収益化も推進し、人件費の増加を吸収して5期連続増収増益予想である。通期予想に対する第1四半期の進捗率は低水準の形だが、下期偏重の収益特性のためネガティブ要因とはならない。通期ベースで好業績が期待される。

■株価は自律調整一巡して上値試す

 株価(17年5月1日付で株式2分割)は6月の上場来高値2863円から利益確定売りで一旦反落したが、2200円台から切り返しの動きを強めている。週足チャートで見るとサポートラインの13週移動平均線近辺から切り返す形だ。好業績や中期成長力を評価する流れに変化はなく、自律調整一巡して上値を試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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