【アナリスト水田雅展の銘柄分析】フォーカスシステムズは調整一巡感、収益改善基調や3月期末一括で2%台の配当利回りを評価して切り返し

銘柄分析

システム構築・運用のフォーカスシステムズ<4662>(JQS)は2月6日に第3四半期累計(4月~12月)業績を発表した。株価の反応は限定的だったが、1月20日の戻り高値1080円から反落後の調整に一巡感を強めている。今期(15年3月期)増収営業増益見通しや収益改善基調を評価して切り返し局面だろう。3月期末一括で2%台の配当利回りも評価材料だ。

公共関連・民間関連のシステム構築・保守・運用・管理サービスを主力として、セキュリティ機器関連事業も展開している。顧客別に見るとNTTデータ<9613>関連、日本IBM関連を主力として、CTC(伊藤忠テクノソリューションズ)<4739>関連、沖電気<6703>関連、ソフトバンク<9984>関連も主要顧客である。民間関連事業では関東圏・近畿圏に加えて東海圏にも拠点展開して営業を強化している。

アライアンス戦略も推進している。14年6月に三菱電機インフォーメーションシステムズと共同で電子透かし製品の販売促進活動を行うと発表し、14年7月には内田洋行<8057>が開発した統合型ERPパッケージ「スーパーカクテルイノーヴァ」の販売代理店契約を締結した。

2月6日に発表した今期(15年3月期)第3四半期累計(4月~12月)の業績(非連結)は、売上高が前年同期比8.7%増の108億76百万円、営業利益が同11.2%増の5億35百万円、経常利益が同7.2%増の4億96百万円、純利益が同25.0%増の3億13百万円だった。

公共関連事業、民間関連事業、セキュリティ機器関連事業とも概ね順調に推移したようだ。特に公共関連事業においては、前期第4四半期(14年1月~3月期)以降の回復傾向が顕著なようだ。

なお四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)35億83百万円、第2四半期(7月~9月)37億03百万円、第3四半期(10月~12月)35億90百万円、営業利益は第1四半期99百万円、第2四半期1億96百万円、第3四半期2億40百万円だった。営業損益は改善基調だ。

通期の業績(非連結)見通しは前回予想(5月8日公表)を据え置いて、売上高が前期比2.5%増の145億円、営業利益が同1.4%増の9億円、経常利益が同横ばいの8億50百万円、純利益が同9.7%増の5億円、配当予想が前期と同額の年間20円(期末一括)としている。

今後の事業展開を睨んで技術者の採用・育成などへ積極投資するため、今期の営業利益は微増の見通しとしている。ただし需要面で見ると、公共関連事業は政府発信の「世界最先端IT国家創造宣言」関連、民間関連事業は企業のITインフラ投資関連、セキュリティ機器関連事業は官公庁のサイバー犯罪対策関連を中心として高水準に推移する。

通期見通しに対する第3四半期累計の進捗率は売上高75.0%、営業利益59.5%、経常利益58.4%、純利益62.6%で利益進捗率がやや低水準だが、第4四半期(1月~3月)の構成比が高い公共関連事業が増加基調であることなどを考慮すれば順調な水準だろう。営業損益は改善基調であり、通期ベースでも収益改善が期待される。

株価の動きを見ると、1月20日の戻り高値1080円から反落したが、大きく下押す動きは見られず、概ね900円近辺で推移して調整一巡感を強めている。2月6日発表の第3四半期累計業績に対する反応は限定的だった。

2月16日の終値909円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS72円22銭で算出)は12~13倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間20円で算出)は2.2%近辺、前期実績PBR(前期実績のBPS726円46銭で算出)は1.3倍近辺である。

週足チャートで見ると、サポートラインの26週移動平均線が接近して再動意のタイミングのようだ。短期調整が一巡した形であり、今期増収営業増益見通しや収益改善基調を評価して切り返し局面だろう。3月期末一括で2%台の配当利回りも評価材料だ。

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