【株式評論家の視点】日本ドライケミカルは自動火災報知設備の駆け込み需要に期待、配当・優待権利取り狙いで待ち伏せ買い

株式評論家の視点

 日本ドライケミカル<1909>(東1)は、昭和30年の創業以来、消火・防災事業を展開し、総合防災企業へと成長している。現在、日本国内において、煙・熱を感知して報知する自動火災報知設備から消火設備、消火器そして消防自動車まで、防災のすべてを顧客に提供している。

 8月4日に発表した今18年3月期第1四半期は、売上高52億5700万円(前年同期比15.3%減)、営業損益2億8400万円の赤字(同4600万円の黒字)、経常損益2億4900万円の赤字(同5500万円の黒字)、最終損益20600万円の赤字(同3200万円の黒字)に着地。 

 主に防災設備事業では、都市再開発等の大型案件、リニューアル案件にかかる受注は好調持続も、大型工事案件の進捗が進まなかったことが響き減収・減益。メンテナンス事業では、改修・補修工事案件にかかる引き合いが継続しているほか、ガス系消火設備等にかかる容器弁の点検作業が増加し増収・増益を確保したものの、全体としては低調に推移した。

 今2018年3月期業績予想は、売上高334億円(前期比8.0%増)、営業利益14億0800万円(同11.0%増)、経常利益14億0600万円(同9.2%増)、純利益12億0400万円(同38.9%増)と2ケタ増益を見込む。年間配当予想は、60円(第2四半期末25円、期末35円)継続を予定。また、9月30日現在の同社株主名簿に記載または記録された1単元(100株)以上を保有している株主を対象に株主優待品(10品目から一つ選択)の贈呈を予定している。

 株価は、3月17日につけた年初来の高値2501円から4月7日に年初来の安値2222円まで調整を挟んで5月11日高値2498円と買い直された後、モミ合っている。2015年4月に改正消防法が施行され、建物の延べ面積にかかわらず、旅館、ホテル、宿泊所等のほか、病院、診察所、助産所、老人デイサービスセンター、保育所、通所障害者福祉施設等 自動火災報知設備の設置が義務付けられたが、18年3月31日まで経過措置(猶予期間)となっており、駆け込み需要も見込まれる。今期予想PER6倍台・PBR0.81倍と割安感があり、配当利回り2.5%と利回り妙味もソコソコある水準で、9月中間期配当権利付を前に下押す場面は、待ち伏せ買いを考えるところだろう。(株式評論家・信濃川)

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