【小倉正男の経済コラム】北朝鮮はグアム島に向けてミサイルを撃つのか?

★クライシスマネジメント 生き残るのが基本

■クライシスマネジメントでは意地とか見栄は無用

 前回のコラムで、韓国や日本を道連れにすると恫喝して、やるぞ、やるぞと見せながら、するりと逃げるのが北朝鮮のサバイバル(=生き残り)戦略である、と――。

 金正恩朝鮮労働党委員長は、軍司令官からグアム島周辺に向けた4発の弾道ミサイル発射計画について報告を受けた。金正恩委員長は、「アメリカの行動をもう少し見守る」と述べたとしている。

 やめてやるぞ、ということになるのか。あるいは、計画通りに弾道ミサイルを発射するのか。

 金一族の世襲支配という「国体」を護持するのが戦略目標であるなら、ここは危機を回避するのが常道になる。

 北朝鮮がグアム島に向けてミサイルを撃てば、アメリカが黙ってはいない。北朝鮮が韓国や日本に砲撃やミサイル攻撃をしたとしても、北朝鮮はサバイバルの基盤を失う事態になる。

 危機管理(=クライシスマネジメント)からみれば、北朝鮮の負け以外の何ものでもない。
 クライシスマネジメントでは、生き残りが至上命題であり、サバイバルが基本になる。意地だの、見栄だの、というのはクライシスマネジメントでは無用のことになる。

■売り言葉に買い言葉も本来的には無用

 アメリカとしては、北朝鮮に核爆弾とそれにアメリカ本土に届く弾道ミサイルを持たれるとクライシスマネジメントで問題が生じる。

 ただし、アメリカが北朝鮮を叩くなら、「世界がこれまで見たことがない炎と怒りに直面することになる」といった売り言葉や買い言葉を少しは控える必要がある。これも無用ということになる。

 それだけに、挑発的な言葉を吐いているときは、まだ安心なのかもしれない。

 トランプ大統領のディール感覚からして、やるぞ、やるぞと見せて、やるというのも愚かではないか。買う気があるなら買わないそぶりが、ディールというものだ。もっともこのあたりはなんともいえない・・・。

■経済制裁を厳格に実施すれば根底が揺らぐ

 基本中の基本に戻って、北朝鮮への経済制裁――。貿易、金融、海運などあらゆる面から締め上げる。中国もこれに協力する。これを厳格にやるのが案外重要と思われる。

 貿易、金融、海運などが制限されれば、国内の生産力は意味を失うことになる。変な言い方だが、北朝鮮の「資本主義」、あるいは「資本主義力」が機能しなくない。

 これこそがディールであり、飽きずにやることだ。信じてやれば、いずれ効果が出る――。北朝鮮の経済が存外によいのは、経済制裁がきちんと実施されていないことの証明にみえる。
それならば、経済制裁を厳格にやることが締め上げることになる。

 トランプ大統領、金正恩委員長とキャラクターが際立っているが、地道なやり方のほうが効く。「資本主義力」が機能しなくなれば、国家存立の根底が揺らぐ――。急がば廻れ、ということにほかならない。

(『M&A資本主義』『トヨタとイトーヨーカ堂』(東洋経済新報社刊)、『日本の時短革命』『倒れない経営―クライシスマネジメントとは何か』『第四次産業の衝撃』(PHP研究所刊)など著書多数。東洋経済新報社編集局で企業情報部長、金融証券部長、名古屋支社長・中部経済倶楽部専務理事、日本IR協議会IR優良企業賞選考委員などを歴任して現職)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事

最新記事

カテゴリー別記事情報

     

    新着記事

    ピックアップ記事

    1. ■作戦も重要だが、用兵も劣らず大切  いまや決算の季節である。決算は企業の通信簿であり、結…
    2.  気象庁から5月から7月までの3か月予報が発表された。結論から言うと今年の夏は6月から気温が高く、蒸…
    3. ■軽量デザイン版も国内で同時に販売予定  楽天<4755>(東1)グループのRakuten Kob…
    2017年9月
    « 8月    
     123
    45678910
    11121314151617
    18192021222324
    252627282930  
    IRインタビュー 一覧

    協立情報通信の長谷川浩社長に聞く ピクスタの古俣大介社長に聞く メディカル・データ・ビジョンの岩崎博之社長に聞く JPホールディングスの荻田和宏社長に経営への取組みを聞く アイビーシーの加藤裕之社長に聞く 翻訳センターの東郁男社長に聞く イワキの岩城慶太郎副社長に聞く ヨシムラ・フード・ホールディングスの吉村元久社長に聞く ヨコレイの西山敏彦社長に展望を聞く 平山の平山善一社長に近況と展望を聞く アンジェス MGの山田 英社長に聞く CRI・ミドルウェアの押見正雄社長に聞く セキドの関戸正実社長に現況を聞く アルコニックスの正木英逸社長に聞く 京写の児嶋一登社長に聞く トレックス・セミコンダクターの藤阪知之社長に聞く イーグランドの代表取締役社長江口久氏に聞く ミロク情報サービスの是枝周樹社長に聞く 日本マニュファクチャリングサービスの小野文明社長に聞く 日本エム・ディ・エムの大川正男社長に聞く 建設技術研究所の村田和夫社長に聞く 東京個別指導学院の的場一成社長に聞く ビューティガレージの野村秀輝社長に聞く サンコーテクノの洞下英人社長に聞く

    アーカイブ

    「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
    また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
    ページ上部へ戻る