【アナリスト水田雅展の銘柄分析】クリナップは戻り歩調の展開、16年3月期の収益改善期待で出直り本格化、低PBRも評価材料

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

システムキッチン大手のクリナップ<7955>(東1)は2月5日に第3四半期累計(4月~12月)業績を発表した。減収減益だったが利益は通期見通しを超過達成した。株価は14年11月安値をボトムとして戻り歩調の展開だ。消費増税の影響を受けた今期(15年3月期)の減収減益見通しは織り込み済みであり、今期利益増額の可能性や来期(16年3月期)の収益改善期待で出直りの動きが本格化しそうだ。低PBRも評価材料だろう。

厨房部門(システムキッチン)を主力として、浴槽・洗面部門(システムバスルーム・洗面化粧台)も展開している。

中期経営計画では「ザ・キッチンカンパニー」の確立を掲げ、システムキッチン「S.S.」「クリンレディ」「ラクエラ」「コルティ」を軸とした商品ラインナップの充実、ブランド力の強化、中高級システムキッチンの市場シェア上昇、全国のショールーム(101拠点)への集客強化、総合競争力の強化、会員登録制組織「水まわり工房」加盟店との連携強化、リフォーム需要の取り込み、トータルコストの低減、そして海外事業の戦略的推進などを重点施策としている。

2月5日に発表した今期(15年3月期)第3四半期累計(4月~12月)の連結業績は、売上高が前年同期比5.7%減の892億16百万円、営業利益が同50.0%減の36億30百万円、経常利益が同50.8%減の34億31百万円、純利益が同67.4%減の14億04百万円だった。

新設住宅着工戸数の減少など事業環境が厳しく減収減益だった。純利益は厚生年金基金解散損失引当金繰入額の計上も影響した。事業別の売上高は厨房部門が同3.9%減の694億10百万円、浴槽・洗面部門が同15.5%減の152億30百万円だった。

通期の連結業績見通しは前回予想(11月7日に減額修正)を据え置いて、売上高が前期比6.8%減の1200億円、営業利益が同59.4%減の36億円、経常利益が同62.2%減の32億円、純利益が同73.8%減の13億円で、配当予想(5月8日公表)は記念配当5円を落として年間20円(第2四半期末10円、期末10円)としている。

消費増税や輸入原材料の価格上昇などで減収減益見通しだ。純利益については厚生年金基金解散損失引当金繰入額の計上も影響する。ただし通期見通しに対する第3四半期累計の進捗率は売上高74.4%、営業利益100.8%、経常利益107.2%、純利益108.0%で、利益は通期見通しを超過達成した。通期業績に増額の可能性があり、消費増税の影響一巡などで来期(16年3月期)の収益改善が期待される。

食住イベントやリフォームフェアの開催によるブランド力向上、ショールーム全面リニューアルによる集客力強化、会員登録制組織「水まわり工房」加盟店との連携などの販売強化施策が奏功して、システムキッチンの市場シェアは上昇基調である。原価低減の効果なども寄与して中期的には収益拡大基調だろう。

株価の動きを見ると、14年11月安値803円をボトムとして水準切り上げの動きを強めている。2月12日に899円を付けて1月の戻り高値898円を突破し、17日は917円まで上伸した。今期の減収減益見通しは織り込み済みであり、来期の収益改善期待で戻り歩調の展開だ。

2月17日の終値911円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS30円64銭で算出)は29~30倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間20円で算出)は2.2%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS1301円25銭で算出)は0.7倍近辺である。

日足チャートで見ると25日移動平均線を突破して上伸した。また週足チャートで見ると13週移動平均線に続いて26週移動平均線も突破した。強基調への転換を確認した形だ。0.7倍近辺の低PBRも評価材料であり、来期の収益改善期待で出直りの動きが本格化しそうだ。

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