立花エレテックは上場来高値圏、18年3月期1Q大幅増益で通期予想は増額の可能性

 立花エレテック<8159>(東1)は産業用機器・電子部品などを扱う技術商社である。18年3月期第1四半期は大幅増益だった。半導体需要が好調で通期予想は増額の可能性がありそうだ。なお18年3月期末から株主優待制度を導入する。株価は上場来高値圏だ。上値を試す展開が期待される。

■産業用機器・電子部品を扱う技術商社

 産業用機器・電子部品などを扱う技術商社である。仕入先は三菱電機<6503>および三菱電機グループが合計で約7割を占めている。

 M&Aも積極活用して業容を拡大している。10年FA機器専門商社の大電社を連結子会社化、12年FA機器専門商社の高木商会を持分法適用会社化、13年子会社立花デバイスコンポーネント設立してルネサスエレクトロニクス販売からコンポーネント事業と半導体製品再販事業を譲り受け、14年高木商会を完全子会社化した。海外は子会社8社合計14拠点で中国および東南アジアに展開している。

 17年3月期のセグメント別売上高構成比(18年3月期からの新セグメントに組み替え後)は、FAシステム事業59%(FA機器39%、FAシステムソリューション9%、産業メカトロニクス4%、産業デバイスコンポーネント7%)、半導体デバイス事業(半導体、電子デバイス)30%、施設事業(空調機器、LED照明、太陽光発電システム、昇降機)9%、その他(MS事業・他)4%だった。MS(マニュファクチャリング・サービス)事業は、金属加工の製造受託(MMS)と電子機器の製造受託(EMS)を統合した事業である。海外事業売上比率は13.9%だった。

 収益面では全体として企業の設備投資動向が影響し、第2四半期(7~9月)および第4四半期(1~3月)の構成比が高くなる季節特性もある。

■2021年の創立100周年に向けて連結売上高2200億円目指す

 技術商社の強みを活かして海外ビジネスの拡大、グループシナジーの追求、事業領域の拡大、営業力強化と体質改善を推進している。

 16年3月期を初年度とする6ヶ年中長期経営計画「C.C.J2200」では、2021年の創立100周年を見据えて確固たる基盤を持った電機・電子の一大技術商社を目指し、目標数値に21年3月期の連結売上高2200億円(単体1400億円、国内子会社460億円、海外子会社440億円、消去100億円)、連結営業利益75億円を掲げている。

 その他の目標値としては、21年3月期末従業員数1530人、6年間の総投資額87億円(人件費の累計)、21年3月期ROE8%以上を掲げている。基本戦略および事業戦略の推進のため人材採用・確保を強化する。営業面では東京・名古屋の市場開拓、自社保有技術の蓄積によるシステムソリューションビジネスを強化する。

■18年3月期1Qは大幅増益

 今期(18年3月期)第1四半期(4月~6月)の連結業績は、売上高が前年同期比9.7%増の377億30百万円、営業利益が69.5%増の11億67百万円、経常利益が94.6%増の13億23百万円、純利益が2.1倍の9億33百万円だった。

 半導体デバイス事業が大幅伸長し、FAシステム事業も好調だった。売上総利益は12.6%増加し、売上総利益率は13.6%で0.4ポイント上昇した。販管費は2.5%増加にとどまり、販管費比率は10.5%で0.7ポイント低下した。

 セグメント別に見ると、FAシステム事業は売上高が8.4%増の217億28百万円で営業利益が41.6%増の7億79百万円だった。半導体・液晶製造装置関連が好調だった。FA機器分野も主力機種が好調に推移した。

 半導体デバイス事業は、売上高が12.5%増の124億26百万円で営業利益が2.1倍の4億74百万円だった。半導体分野では国内民生向けパワーモジュールやOA機器用ロジックIC、電子デバイス分野ではメモリーカードやOA機器向け電子デバイスが伸長した。

 施設事業は売上高が12.7%増の24億71百万円で営業利益が69百万円の赤字(前年同期は82百万円の赤字)だった。店舗用パッケージエアコンなどが好調だった。その他は売上高が1.6%減の11億03百万円で営業利益が15百万円の赤字(同6百万円の赤字)だった。EMS分野で国内における電子機器製造受託の大口案件が減少した。

■18年3月期横ばい予想だが増額の可能性

 今期(18年3月期)連結業績予想(5月12日公表)は、売上高が前期(17年3月期)比3.0%増の1650億円、営業利益が0.5%増の52億円、経常利益が1.1%増の54億円、純利益が5.0%減の37億円としている。配当予想は同4円増配の年間32円(第2四半期末16円、期末16円)としている。予想配当性向は21.8%となる。

 セグメント別売上高の計画は、FAシステム事業が3.7%増の972億円(FA機器が3.3%増の640億円、FAシステムソリューションが4.7%増の148億円、産業メカトロニクスが10.1%増の70億円、産業デバイスコンポーネントが1.1%増の114億円)、半導体デバイス事業が1.2%増の482億円、施設事業が8.2%増の153億円、その他が8.4%減の43億円としている。

 通期予想に対する第1四半期の進捗率は売上高22.9%、営業利益22.4%、経常利益24.5%、純利益25.2%である。設備投資関連で第2四半期および第4四半期の構成比が高くなる季節特性を考慮すれば高水準であり、通期予想に増額の可能性がありそうだ。

■株主優待制度を18年3月期末から実施

 なお株主優待制度を18年3月期末から実施する。毎年3月31日現在の100株(1単元)以上保有株主を対象として、継続保有期間および保有株式数に応じてクオカードを贈呈する。

■株価は上場来高値圏で堅調、自律調整一巡して上値試す

 株価は15年3月高値1600円を突破して7月25日の上場来高値1668円まで上伸した。その後は上げ一服の形だが高値圏で堅調に推移している。自律調整の範囲だろう。

 8月23日の終値1579円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS146円60銭で算出)は10~11倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間32円で算出)は2.0%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2361円12銭で算出)は0.7倍近辺である。時価総額は約411億円である。

 週足チャートで見ると、13週移動平均線がサポートラインとなって上昇トレンドである。自律調整一巡して上値を試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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