第一実業は18年3月期減益予想の織り込み完了して反発期待

 第一実業<8059>(東1)は産業機械を主力とする機械の総合商社で、海外展開や新規分野を強化している。18年3月期第1四半期が大口案件の減少で大幅減収減益となり、通期も減益予想である。ただし保守的な印象も強い。株価は18年3月期減益予想の織り込みが完了して反発が期待される。なお17年10月1日付で単元株式数を1000株から100株に変更するとともに、5株を1株に併合する。

■産業機械を主力とする機械の総合商社

 各種産業機械を主力とする機械の総合商社である。17年3月期のセグメント別売上高構成比はプラント・エネルギー事業31%、産業機械事業29%、エレクトロニクス事業31%、ファーマ事業6%、航空事業2%、その他0%で、海外売上比率は49%だった。
 
 収益面では案件ごとの採算性の影響を受けることに加えて、大型案件の売上計上時期によって四半期収益が変動しやすい。そして設備投資関連のため第2四半期(7月~9月)および第4四半期(1月~3月)の構成比が高い特性がある。

 地熱、温泉熱、焼却廃熱、一般工場廃熱など、未利用熱エネルギーを有効活用して発電するバイナリー発電装置ビジネスに関しては、14年4月米アクセスエナジー社の小型バイナリー発電装置の日本国内での独占的製造権を取得、14年5月独占販売代理店契約を締結、16年5月三菱重工業<7011>グループのターボデン(イタリア)社製バイナリー発電装置の国内販売総代理店契約を締結した。ラインナップ充実して事業拡大を図る。

 新規分野としては、植物工場システムに関するプロジェクト(埼玉県入間市にパイロットプラントを建設)や、茨城県笠間市と長野県飯田市におけるメガソーラー運営も推進している。また市場が拡大している車載向け二次電池製造装置分野や有機ELディスプレイ製造装置分野も強化する方針だ。

■18年3月期1Qは大幅減収減益

 今期(18年3月期)第1四半期(4~6月)の連結業績は、売上高が前年同期比14.8%減の321億33百万円、営業利益が31.9%減の6億74百万円、経常利益が32.4%減の7億59百万円、純利益が61.1%減の2億92百万円だった。なお受注高は15.0%増の430億60百万円で、受注残高は6.2%減の1029億58百万円だった。

 プラント・エネルギー事業などで大口案件が減少して大幅減収減益だった。売上総利益は2.8%減少したが、売上総利益率は13.9%で1.7ポイント上昇した。販管費は5.2%増加し、販管費比率は11.8%で2.3ポイント上昇した。営業外費用では為替差損74百万円、特別利益では関係会社株式売却益2億39百万円を計上した。

 プラント・エネルギー事業は売上高が41.5%減の69億21百万円で営業利益(連結調整前)が12百万円の赤字(前年同期は53百万円の黒字)だった。大口案件が減少した。受注高は40.9%減の63億78百万円、受注残高は17.2%減の557億44百万円だった。

 産業機械事業は売上高が7.4%増の95億41百万円で営業利益が85.8%増の2億14百万円だった。自動車関連業界向けの自動組立ライン、自動加工機、塗装ライン、家電・自動車部品製造の射出成型機などが増加した。受注高は62.7%増の164億64百万円、受注残高は21.5%増の253億59百万円だった。

 エレクトロニクス事業は売上高が0.3%増の139億42百万円で、営業利益が11.5%減の5億27百万円だった。IT・デジタル関連機器製造会社向けの電子部品実装機が増加したが、粗利益が減少した。受注高は20.0%増の169億48百万円、受注残高は5.5%増の147億85百万円だった。

 ファーマ事業は売上高が41.4%減の14億08百万円で営業利益が71.4%減の36百万円だった。錠剤外観検査装置やパッケージング用機器・装置が大幅減少した。受注高は6.7%減の17億90百万円、受注残高は1.0%増の40億99百万円だった。

 航空事業は売上高が50.4%減の3億28百万円で、営業利益が3百万円の赤字(同42百万円の黒字)だった。航空機地上支援機材や空港施設関連機器が大幅減少した。受注高は3.2倍の14億67百万円、受注残高は3.4%増の27億42百万円だった。

■18年3月期通期も減益予想だが保守的な印象

 今期(18年3月期)連結業績予想(5月11日公表)は売上高が前期(17年3月期)比14.8%増の1770億円、営業利益が19.6%減の47億円、経常利益が18.9%減の50億円、純利益が7.2%減の31億円としている。受注高の計画は12.9%増の1540億円である。
 
 配当予想は17年10月1日付で5株を1株に併合することに伴って6月27日に修正し、第2四半期末9円、期末45円とした。株式併合を考慮して換算すると前期は年間95円、今期は年間90円となり、実質的に5円減配となる。予想配当性向は30.9%となる。

 通期も減益予想だが保守的な印象が強い。設備投資需要が高水準であり、通期会社予想に上振れ余地がありそうだ。

■中期経営計画で19年3月期純利益33億円目標

 16年5月策定の中期経営計画「DASH2018」では、基本方針を「グローバルに事業軸体制を進め、一層の業績拡大を実現する」「経営体質の向上を図り、強力なガバナンス体制を構築する」とした。経営目標数値には最終年度19年3月期の売上高1330億円、営業利益50億円、経常利益53億円、純利益33億円を掲げている。

■株価は18年3月期減益予想の織り込み完了して反発期待

 なお17年10月1日付で単元株式数を1000株から100株に変更するとともに、5株を1株に併合する。

 株価は水準を切り下げて8月14日に年初来安値となる585円まで調整したが、その後は下げ渋る動きとなり調整一巡感を強めている。

 8月28日の終値600円を指標面(1株当たり数値は17年10月1日付株式併合前)で見ると、今期予想連結PER(会社予想連結EPS58円23銭で算出)は10~11倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間18円で算出)は3.0%近辺、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS726円61銭で算出)は0.8倍近辺である。時価総額は約333億円である。

 週足チャートで見ると600円近辺が下値支持線となって13週移動平均線突破の動きを強めている。18年3月期減益予想の織り込みが完了して反発が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■グローバルモデルに匹敵する日本語対応の高性能生成AIを4月から順次提供  ELYZAとKDDI<…
  2. ■優勝への軌跡と名将の言葉  学研ホールディングス<9470>(東証プライム)は3月14日、阪神タ…
  3. ■新たな映画プロジェクトを発表  任天堂は3月10日、イルミネーション(本社:米国カリフォルニア州…
2024年4月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ピックアップ記事

  1. ■金先物と原油価格、史上最高値に迫る―地政学リスクが市場に与える影響  今週のコラムは、異例中の異…
  2. ■「虎」と「狼」の挟撃を振り切り地政学リスク関連株で「ピンチはチャンス」に再度トライ  東京市場は…
  3. ■海運株と防衛関連株、原油価格の動向に注目集まる  地政学リスクによる市場の不安定さが増す中、安全…
  4. ■中東緊張と市場動向:投資家の選択は?  「遠い戦争は買い」とするのが、投資セオリーとされてきた。…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る