【編集長の視点】トレンドマイクロは3連騰、前期業績が上ぶれ着地し今期も続伸し市場予想を上回る

編集長の視点

トレンドマイクロ<4704>(東1)は19日、225円高の3625円と3日続伸し、昨年11月につけた昨年来高値3800円を視界に捉えている。前日18日大引け後に12月期決算を発表、前2014年12月期業績が、期初予想を上ぶれて営業利益が7期ぶりに過去最高を更新して着地し普通配当を増配、今2015年12月期も続伸を予想、純利益が、過去最高にあと10億円弱に迫り市場コンセンサスを上回ったことを評価して割り負け訂正買いが増勢となっている。今期配当は、前期期初と同様に未定としたが、前日の決算開示とともに配当政策を変更したことから前期実績以上の高配当が見込まれることも評価材料となっている。

■企業向けのクラウド関連のウイルス対策ソフトが続伸

前12月期業績は、利益が期初の減益転換予想を39億円超~32億円超上ぶれ、売り上げ1152億500万円(前々期比6.4%増)、営業利益336億5200万円(同14.3%増)、経常利益359億9200万円(同10.9%増)、純利益223億300万円(同13.8%増)と続伸した。コンピュータセキュリティ業界では、引き続き世界的に特定の企業や国家機関、組織を狙う「持続的標的攻撃型」のサイバーテロ攻撃が横行し、国内でもインターネットバンキング利用者やモバイルシステムを狙うサイバー攻撃が深刻化しており、企業向けに引き続きクラウド関連のウイルス対策ソフトが続伸し、個人向けでも、国内で消費税増税前の駆け込み需要やWindows XPのサポート終了に伴うパソコン特需の恩恵を受けたことなどが要因となった。今12月期も続伸を予想、売り上げ1231億円(前期比6.9%増)、営業利益342億円(同1.6%増)、経常利益366億円(同1.7%増)、純利益226億円(同1.3%増)とし、純利益は、2007年12月期の過去最高(235億6100万円)に肉薄するとともに、市場コンセンサスを約7億円上回る。

配当については、未定としていた前期は、前々期上乗せの創業25周年記念配当30円を落としたものの、配当性向を従来の65%メドから70%メドに引き上げ、普通配当を前々期の95円から116円(前々期実績125円)に引き上げた。今期配当は、従来通りに未定としたが、配当政策の変更から前期並み以上の高配当が期待できることになる。

■配当権利落ち後安値への調整幅の半値戻しから配当利回り3.2%の割り負け訂正期待

株価は、前期の四半期ごとの続伸業績を評価して上ぶれ、前期第3四半期の2ケタ続伸決算ではサイバーセキュリティ関連特需期待も加わって昨年来高値3800円をつけ、配当権利落ちとともに3080円まで調整、調整幅の半値戻し水準で中段固めを続けている。PERは21倍台と割安感は小さいが、前期並み配当継続と仮定すると、配当利回りは、3.2%と大きく割り負けることになる。昨年来高値を目指し再発進しよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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