【アナリスト水田雅展の銘柄分析】アルコニックスは自律調整一巡して再動意のタイミング、14年12月高値試す

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 「非鉄金属の総合商社」を目指すアルコニックス<3036>(東1)の第3四半期累計(4月~12月)業績は大幅増益だった。株価は1800円近辺で自律調整が一巡して再動意のタイミングのようだ。今期(15年3月期)利益見通し再増額の可能性を評価して14年12月の上場来高値2107円を試す展開だろう。

 軽金属・銅製品(伸銅品、銅管、アルミフィンなど)、電子・機能材(レアメタル・レアアース、チタン・ニッケル製品など)、非鉄原料(アルミ・亜鉛地金など)、建設・産業資材(配管機材など)を取り扱う非鉄金属商社である。

 レアメタル分野に強みを持つことも特徴だが、中期成長に向けては「非鉄金属の総合商社」を目指し、M&A戦略も活用して、非鉄金属の周辺分野も含めた川上(製造)~川中(流通)~川下(問屋)を網羅するビジネス展開を推進している。

 13年1月金属・化成品メーカーの米ユニバーティカル社を子会社化、13年3月アルミ合金スクラップ販売の大阪アルミセンターを子会社化、13年4月産業機械用精密加工部品メーカーの大羽精研を子会社化、14年4月住宅建設関連資材メーカーのケイ・マックを持分法適用関連会社化した。14年11月には子会社アルミ銅センター(大阪アルミセンターが14年9月1日付で商号変更)が、稲田商会(福岡県北九州市)が北九州で展開する銅リサイクル事業を譲り受けた。

 2月6日発表の今期(15年3月期)第3四半期累計(4月~12月)の連結業績は、売上高が前年同期比10.5%増の1516億06百万円、営業利益が同31.7%増の38億10百万円、経常利益が同64.1%増の44億10百万円、純利益が同31.1%増の32億21百万円だった。自動車関連やスマホ・タブレット端末関連の好調、ケイ・マックの持分法投資利益などで大幅増収増益だった。

 セグメント別売上状況(内部売上高調整前)を見ると、軽金属・銅製品事業は半導体製造装置や航空機を主な需要家とする国内製造子会社の好調などで同8.0%増収、電子・機能材事業はレアアースの単価が下落したが、スマホ・タブレット端末関連部材が好調で同11.0%増収、非鉄原料事業は自動車用輸入アルミ合金塊などの好調、アルミ・銅スクラップの取り扱い数量増加などで同17.5%増収、建設・産業資材事業は海外でのバルブ類の取引増加などで同6.7%増収だった。

 四半期別の推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)484億04百万円、第2四半期(7月~9月)485億96百万円、第3四半期(10月~12月)546億06百万円、営業利益は第1四半期9億61百万円、第2四半期14億43百万円、第3四半期14億06百万円と好調な推移だ。

 通期の連結業績見通しは、前回予想(11月6日に売上高を減額、利益を増額)を据え置いて、売上高が前期比9.4%増の2010億円、営業利益が同18.2%増の41億20百万円、経常利益が同37.5%増の49億50百万円、純利益が同11.3%増の35億円としている。

 配当予想は年間36円(第2四半期末18円、期末18円)で、14年8月1日付の株式2分割を考慮して前期の年間65円を年間32円50銭に換算すると、実質的に前期比3円50銭増配となる。

 通期見通しに対する第3四半期累計の進捗率は売上高が75.4%、営業利益が92.5%、経常利益が89.1%、純利益が92.0%と高水準である。スマホ・タブレット端末向け電子材料関連、海外の自動車関連や半導体関連などが好調に推移し、利益面では貸倒引当金戻入や基幹システムの減価償却終了による販管費の減少、ケイ・マックの持分法適用関連会社化に伴う負ののれんを含む持分法投資利益も寄与する。通期利益見通しは再増額が濃厚だろう。

 14年5月に発表した新中期経営計画(15年3月期~17年3月期)では経営目標値として、17年3月期経常利益50億円超、純利益35億円超、ROE13~15%程度、NET/DER1.0~1.3倍程度を掲げ、3年間の投融資総額はM&Aを中心に150億円の計画としている。

 重点戦略としては、電子材料分野では原料(レアメタル・レアアース)から製品(電子材料・機能材料)までを網羅したビジネス展開、環境対応関連分野では省エネ・環境対応素材からリサイクル事業まで国内外での積極展開、海外事業では地場取引や三国間ビジネスの拡大および海外ネットワークの充実、そして新規投融資の積極推進に取り組む方針としている。

 17年3月期経常利益50億円超、純利益35億円超という目標値は15年3月期に前倒し達成の可能性が高まっている。積極的なM&A戦略が奏功し、グループのシナジー効果を高めて中期的にも収益拡大基調だろう。

 株価の動き(14年8月1日付で株式2分割)を見ると、14年12月の上場来高値2107円から利益確定売りで反落したが、足元では高値圏1800円~1900円近辺で推移して自律調整一巡感を強めている。

 2月19日の終値1849円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS273円69銭で算出)は6~7倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間36円で算出)は2.0%近辺、前期実績PBR(前期実績に株式2分割を考慮した連結BPS1638円21銭で算出)は1.1倍近辺である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線を割り込んだが、1800円を割り込む動きは見られず調整一巡感を強めている。また日足チャートで見ると一旦割り込んだ25日移動平均線突破の動きを強めている。自律調整が一巡して再動意のタイミングのようだ。今期利益見通し再増額の可能性を評価して14年12月高値2107円を試す展開だろう。

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