材料は後からついて来る=犬丸正寛の相場格言

■材料は後からついて来る

 普通は、「材料」、「出来事」、「ニュース」があって、それが株価に反応する形となるのが普通です。ところが、ここでは、その逆の動きもあると教えています。

 材料・出来事・ニュースは、大きく分けると、大体3つです。政治、物価、為替、失業率、事件、事故、天候、スポーツなどの「社会発」の出来事。企業業績、増資、新商品、M&Aといった「企業発」の出来事。そして、株価が1万円に乗せたとか出来高が増えたとか、外国人の買いが増えたとか、新高値の銘柄が多いといった「マーケット発」の出来事です。

 現在のように、情報開示が進んでいなかった以前は、とくに、企業発の情報は一部の大手証券や銀行などに偏っていました。

 こうした、おいしい情報にありつけなかった、当時の相場好きの小口投資家等は、秘策として、「マーケット発」の情報を大切にしていました。つまり、企業発の情報を知らなくても、マーケットを注意深く観ていれば、情報を知っていたのと同じように、あるいは、それ以上に稼ぐことができる、ということです。そこには、いくら早い情報であろうとも、マーケットで買わなくては儲けることができない、という基本を知っていたからです。

 仮に、良い材料を手に入れた向きが、買いの行動をすれば、必ず出来高の増加となって現れるからです。ここを見逃さなければよいのです。結果、材料を知らなくても、商いの増え方、今までと違う値動きなどを学べば、材料は知らなくても構わない、材料は後からついて来ると位置づけたのです。むしろ、当時の相場巧者は、「早耳買いの早耳損」といって、情報を早く手にいれることに有頂天となっていた人を軽んじていたほどです。

 企業情報は速やかな公開が大前提となった現在でも大いに役立つ教えだと思います。なぜなら、公開された情報がすべて、相場に反映されるわけではないからです。マーケット全体との関係などによって反応度が違ってきます。したがって、公開された材料に対する自分なりの判断に、出来高や値動きなどマーケットの動きを重ね合わせて判断することが大切です。もちろん、企業発・情報だけでなく、社会発・情報についても同じです。常に、「自己判断」を持ち、そして、「マーッケトとの対話」を怠らないことです。

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■グローバルモデルに匹敵する日本語対応の高性能生成AIを4月から順次提供  ELYZAとKDDI<…
  2. ■優勝への軌跡と名将の言葉  学研ホールディングス<9470>(東証プライム)は3月14日、阪神タ…
  3. ■新たな映画プロジェクトを発表  任天堂は3月10日、イルミネーション(本社:米国カリフォルニア州…
2024年4月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ピックアップ記事

  1. ■海運株と防衛関連株、原油価格の動向に注目集まる  地政学リスクによる市場の不安定さが増す中、安全…
  2. ■中東緊張と市場動向:投資家の選択は?  「遠い戦争は買い」とするのが、投資セオリーとされてきた。…
  3. ■節約志向が市場を動かす?  日本の消費者は、節約志向と低価格志向を持続しており、これが市場に影響…
  4. ■投資家の心理を揺さぶる相場の波  日米の高速エレベーター相場は、日替わりで上り下りと忙しい。とく…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る