【編集長の視点】日本ドライケミカルは続落も中間配当の権利付き最終日を前に権利取りに割安修正買いがオンして再騰必至

 日本ドライケミカル<1909>(東1)は、前週末22日に1円安の2434円と小幅続落して引けた。同社株は、今年9月6日につけた直近安値2277円を年初来の2番底に2444円まで約170円高しており、北朝鮮情勢に絡んだ地政学リスク再燃への警戒感が波及し、目先の利益を確定する売り物が先行した。ただ続落幅は限定的で、下値には9月26日に今2018年3月期の中間配当の権利付き最終日を迎えるのを前に、中間配当と株主優待制度の権利取りのインカムゲイン狙いの押し目買いや、PER・PBR評価では超割安としてキャピタルゲイン期待の買い物が続いた。業績実態面でも、今年8月4日に発表した今期第1四半期(2017年4月~6月期、1Q)業績は、減収・赤字転換して着地したが、大型工事案件の進行基準による進捗遅れによるものとして織り込み済みとのコンセンサスも相乗している。

■株主優待制度込みの年間配当利回りは2.9%と市場平均を上回る

 同社は、株主への利益還元の重要な経営課題の一つとしており、2011年の東証第2部への再上場、2013年の東証第1部への市場変更以来、2013年3月末割り当ての株式分割(1株を2株に分割)、今年1月に終了した自己株式取得などを実施したほか、配当も年間60円を安定継続し同業他社の配当額を上回っている。また株主優待制度でも、贈答品の追加などを行い、今年8月4日に内容の一部変更を発表した。今期中間配当は、25円を予定しているが、年間配当利回りは、株主優待制度込みで2.87%と市場平均を上回っており、9月26日の配当権利付き最終日を前にしたインカムゲイン狙いの買い物につながっている。

 こうした株主厚遇策は、同社が2015年4月の千葉工場内の消火実験棟の建設、2016年5月の福島工場の新設稼働などの積極的な成長投資やアライアンス戦略を続けながらも業績が高水準で推移していることが背景にある。今2018年3月期業績も、売り上げ334億円(前期比8.0%増)、営業利益14億800万円(同11.0%増)、経常利益14億600万円(同9.2%増)、純利益12億400万円(同38.9%増)と増収増益転換が予想されている。今期1Q業績は、前年同期比8.5%減収、32.0%営業減益、31.3%経常減益、23.7%純益減益と減収減益転換して着地したが、大型工事案件の進捗がズレ込み、進行基準による業績計上が遅れているためで、下半期のリカバーが可能として3月通期予想業績に変更はない。

■2番底を確認しPER7倍台、PBR0.8倍の超割安訂正で年初来高値を目指す

 株価は、今年2月に発生したアスクル<2678>(東1)の倉庫火災で防災需要拡大期待を高めて年初来高値2501円へ急伸し、配当権利落ちで年初来安値2222円へ調整、その後、25日移動平均線を出没するもみ合いを続け、北朝鮮の核実験、弾道ミサイル発射などの地政学リスク懸念波及で2277円安値に突っ込み2番底を確認した。株主優待制度込みの高配当利回りはもちろん、PERは7倍台、PBRは0.8倍と市場平均を下回って超割安であり、年初来高値奪回に向け再発進しよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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