【アナリスト水田雅展の銘柄分析】日本マニュファクチャリングサービスは収益改善基調を再評価して反発のタイミング

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 製造請負大手の日本マニュファクチャリングサービス<2162>(JQS)が2月13日発表した第3四半期累計(4月~12月)連結業績は、営業損益が大幅に改善しました。株価は調整局面となりましたが、収益改善基調を再評価して反発のタイミングと考えられます。

 製造請負・派遣のIS(インラインソリューション)事業、修理・検査受託のCS(カスタマーサービス)事業、技術者派遣のGE(グローバルエンジニアリング)事業、子会社の志摩グループとTKRグループが展開する開発・製造受託のEMS(エレクトロニクス・マニュファクチャリング・サービス)事業を展開しています。今期(15年3月期)からIS、CS、GEを総称してHS(ヒューマンソリューション)事業にセグメント区分を変更しました。

 基本コンセプトとして、日本、中国、アセアン諸国における人材ビジネス事業とEMS事業の融合によるトータルソリューションサービス「neo EMS」を掲げています。製造アウトソーシング企業NO.1を目指すとともに、サービスの一段の高付加価値化に向けて開発・設計といった製造業の上流プロセス分野の機能を強化しています。単なる製造アウトソーサーから、キーテクノロジーを有して技術競争力を備えた企業グループへの変革を推進する戦略です。

 13年10月にはTKRが日立メディアエレクトロニクス(日立ME)の電源事業、トランス事業、車載チューナー事業、映像ボード事業を譲り受け、水沢工場(岩手県奥州市)を取得しました。14年10月にはパナソニック<6752>から車載向けを除く電源・電源関連部品事業(高圧電源、低圧電源、マグネットロール、トランス)を譲り受け、受け皿会社のパワーサプライテクノロジー(PST)が新たに操業を開始しました。パナソニックから引き継いだ取引社数は海外111社、国内90社であり、今後は営業・開発・技術機能の強化を図る方針です。

 日立MEおよびパナソニックからの事業譲受により、当社グループの電源事業は国内電源メーカー上位に匹敵する規模となりました。電源に関する技術ノウハウの蓄積・融合を図り、電源関連事業を当社グループのキーテクノロジー分野として、LED照明、空気清浄器、エアコン、複写機向けなどに新規顧客開拓を推進し、EMS事業の高付加価値化も推進する方針です。また14年9月には子会社TKRが検査工程の自動化・省力化装置のカスタマイズ受託生産を本格的に開始しています。

 14年10月には日本通運<9062>と、国内外の製造業務と物流業務を組み合わせた新たなワンストップサービスの構築に向けて業務提携しました。製造業をターゲットに物流分野のサービスを拡充し、19年度に売上高300億円を目指すとしています。

 中国での事業展開に関しては、14年3月施行の「中国労務派遣暫定規定」によって中国の労働政策が派遣から請負に転換する見込みとなり、5月には当社と子会社の北京中基衆合国際技術服務有限公司が、中国労務派遣専門委員会において発足した承欖(製造請負)研究プロジェクトに参画しました。16年3月の承欖(製造請負)法制化を目指しており、中国の製造業において製造請負の市場拡大が予想されるとともに、プロジェクトに参画している当社の競争優位性が期待されています。

 アジアへの展開では14年9月に子会社nmsタイランドを設立し、カンボジアの人材エージェントと連携して製造業向けにタイ人とカンボジア人の派遣を開始しました。さらに10月には子会社nmsベトナムがNMSIRと事業提携し、ベトナムでの労働派遣ライセンスを取得しました。12月には子会社nmsタイランドが、カンボジアの人材会社SOKおよびUNGの2社と、カンボジア人材のタイへの派遣事業について業務提携しました。今後3年間でカンボジア人派遣在籍数1万人を目指すとしています。

 2月13日発表の今期(15年3月期)第3四半期累計(4月~12月)の連結業績は、売上高が前年同期比12.1%増の346億02百万円、営業利益が1億26百万円(前年同期は5億34百万円の赤字)、経常利益が1億89百万円(同2億28百万円の赤字)、純利益が同95.3%減の40百万円となりました。

 前年同期に計上したTKR株式追加取得に伴う負ののれん発生益が一巡して最終減益ですが、EMS事業の収益改善が寄与して営業損益が大幅に改善しました。

 セグメント別に見ると、HS事業はISの好調などで同11.5%増収となりましたが、営業利益はISにおける事業投資コスト発生やCSにおける新規事業の採算悪化などで赤字幅がやや拡大しました。EMS事業は日本、中国、マレーシアにおける既存案件の増産が牽引して同12.4%増収となり、日本の赤字幅縮小や中国拠点の黒字化で営業損益が前年同期4億87百万円の赤字から今期1億70百万円の黒字へと大幅に改善しました。

 通期の連結業績見通しは前回予想(5月15日公表)を据え置いて、売上高が前期比16.5%増の488億円、営業利益が4億90百万円(前期は6億43百万円の赤字)、経常利益が5億10百万円(同1億75百万円の赤字)、純利益が負ののれん発生益一巡で同50.7%減の3億20百万円、配当予想が前期と同額の年間3円(期末一括)としています。

 なおパナソニックから譲り受けた電源・電源関連部品事業については、パワーサプライ事業(PS事業)として第4四半期(1月~3月)から新規連結します。今期の業績見通しに対する影響については明らかになりしだい公表するとしています。

 通期見通しに対する第3四半期累計の進捗率は売上高70.9%、営業利益25.7%、経常利益37.1%、純利益12.5%で利益進捗率が低水準ですが、EMS事業における既存案件の増産効果、中国における人件費上昇といった一過性要因の一巡、TKR香港における為替レート見直しなどオペレーション改善や事業構造改革の効果、日立MEから譲り受けた案件の本格稼働、第4四半期から新規連結するPS事業が寄与して、収益改善が本格化する見通しです。そして来期(16年3月期)はPS事業が通期寄与して収益改善基調が期待されます。

 株価の動きを見ると、2月16日に前日比29円安と急落し、概ね410円~430円近辺でのモミ合いから390円台に水準を切り下げました。そして23日には386円まで調整する場面がありました。

 2月23日の終値388円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS34円50銭で算出)は11~12倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間3円で算出)は0.8%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS451円79銭で算出)は0.9倍近辺です。

 日足チャートで見ると25日移動平均線、週足チャートで見ると26週移動平均線を割り込んで調整局面ですが、14年10月安値圏380円近辺に接近して下値支持線に到達した形です。収益改善基調を再評価して反発のタイミングと考えられます。

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