【アナリスト水田雅展の銘柄分析】NSユナイテッド内航海運は安値圏モミ合いから上放れて戻り歩調

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 NSユナイテッド内航海運<9180>(JQS)の株価は、7月以降は安値圏450円~500円近辺のレンジでモミ合う展開だったが、12月2日には513円まで上伸した。モミ合いから上放れて強基調に転換したようだ。原油価格下落も追い風であり、今期(15年3月期)業績増額の可能性や指標面の割安感を評価して戻り歩調だろう。

 NSユナイテッド海運<9110>の子会社である。グループ一員として一体感を醸成し、営業力の一層の強化を図るため、14年10月1日付で商号を新和内航海運からNSユナイテッド内航海運に変更した。鉄鋼向けの原料炭・石灰石・鋼材、電力向けの石炭、建設向けのセメントなどを輸送する内航海運事業を主力として、港湾運送事業やLPGタンクローリー等輸送事業なども展開している。

 今期(15年3月期)の連結業績見通しについては、前回予想(4月30日公表)を据え置いて売上高が前期比3.6%増の217億92百万円、営業利益が同25.9%減の13億86百万円、経常利益が同26.3%減の13億30百万円、純利益が同30.8%減の8億02百万円の増収減益見込みとしている。配当予想については年間10円(期末一括)としている。

 第2四半期累計(4月~9月)は、修繕費が増加した影響などで前年同期比41.2%営業減益、41.8%経常減益、51.1%最終減益だったが、売上高、利益とも計画を上回った。売上高は鉄鋼関連貨物や一般貨物の輸送量が想定以上に増加して同9.3%増収となり、利益面では増収効果に加えて諸経費圧縮効果も寄与した。

 通期見通しに対する第2四半期累計の進捗率は売上高が50.7%、営業利益が38.6%である。利益進捗率は低水準の形だが営業利益を四半期別に見ると、船舶ドック入りが集中して修繕費が一時的に増加した第1四半期(4月~6月)の1億09百万円に対して、第2四半期(7月~9月)は4億26百万円に改善している。通期の営業利益見通しは達成可能なペースだ。輸送量は引き続き堅調に推移することが予想され、原油価格下落による燃料価格下落メリットも考慮すれば通期増額の可能性があるだろう。

 株価の動きを見ると、7月以降は概ね安値圏450円~500円近辺のレンジでモミ合う展開だったが、12月2日には513円まで上伸した。原油価格下落も好感してモミ合いから上放れる動きのようだ。

 12月2日の終値513円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS74円44銭で算出)は6~7倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間10円で算出)は2.0%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS663円52銭で算出)は0.8倍近辺である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線と26週移動平均線を突破して上伸した。450円~500円近辺のモミ合いから上放れて強基調に転換したようだ。原油価格下落も追い風であり、今期業績増額の可能性や指標面の割安感を評価して戻り歩調だろう。

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