【どう見るこの相場】日経平均16連騰となり57年ぶりに最長記録を更新、2位の14連騰の頃と比較

◆「岩戸景気」の頃を知り大和証券で株式投資情報部・部長など歴任した森本宏氏に聞く

 日経平均株価は24日、108円高となり、16日続けて値上がりした。1949年に東証の取引が再開されて以来の最長連騰記録を2日続けて更新。これ以前の連騰記録は57年前の14連騰(1960年12月21日~1961年1月11日)が最長で、このときは1964年の東京オリンピックにかけて好景気が始まるあたり。のちに「岩戸景気」と呼ばれる高度経済成長期に入る端緒となった。

 今回の連騰も2020年の東京オリンピックに向けて景気拡大を期待したいところだが、現状、街(ちまた)には「景気回復の実感がない」と言った声が少なくない。そこで、かつて大和証券で株式投資情報部・部長や債券情報管理室長などを歴任し、「岩戸景気」の頃を知る森本宏氏に、当時の14連騰の頃と今回の16連騰との違いを聞いてみた。

 ■「景気回復の実感がない」のは株式保有比率の違いや成長率の違いが影響

 「まず経済成長率の違いが挙げられる。岩戸景気の頃は、池田隼人首相が所得倍増計画を掲げ、実際に当時のGNPが17%成長した年もあった。しかし、直近は1%成長にとどまっている」

 「次に、一般投資家の株式市場における割合が違う。東証の投資家別株式保有比率などに基づくと、当時は個人投資家の保有比率が50%近くはあったと思うが、今は17%台だ。これでは、株価がいくら上がっても、恩恵を受ける一般投資家は当時に比べて格段に少なくなっていることになる」

■今回の16連騰の局面は海外勢の買い越し転換と重なり個人はこの間売り越す

 「さらに、今回の16連騰を外国人投資家や個人投資家の動向と重ねてみると、外国人投資家の姿勢転換が顕著だ。海外勢は、9月月間では売り越したが、週ごとにみると、9月第4週はいきなり買い越した。そして10月も第1週、第2週と買い越した。第3週の動向は木曜日にわかるが、おそらく買い越しているだろう。一方、この間、個人投資家は売り越している」

 「海外勢の買い転換の要因は、日本企業の業績への期待とか、世界的に見た日本株の出遅れ感とか、直近は衆議院選での与党の勝利とか、いろいろ言われているが、与党の勝利は意外に重要かもしれない。「一強政治」などの批判はあるが、裏を返せば、政治の「安定度」が高いということにもなる。経済活動が活発化するには政治の安定が不可欠なため、海外勢は、われわれが予想するよりも与党の勝利を買い出動の根拠にしている可能性はある」(談)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■ガソリン・軽油の暫定税率廃止法成立  ガソリン暫定税率廃止法は11月28日に成立し、ガソリン税2…
  2. ■うつ・統合失調症・発達障害を脳から理解する、最前線研究を平易にまとめた一冊  翔泳社は11月25…
  3. 【新築マンションの短期売買を分析】  国土交通省は11月25日、三大都市圏および地方四市の新築マン…
2025年12月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031  

ピックアップ記事

  1. ■「大きく産んで小さく育てる」IPO市場、期待裏切る後半戦  48勝2分10敗である。2025年の…
  2. ■日銀イベント通過で円高前提、紙・パ株が師走相場の主役候補  今週のコラムは、日銀の金融政策決定会…
  3. ■FOMC通過も市場は波乱、金利と為替に残る違和感  FRB(米連邦準備制度理事会)のFOMC(公…
  4. ■眠れる6900トンの金が動き出す、「都市鉱山」開発でリデュース株に追い風  今週の当コラムは、金…
  5. ■天下分け目の12月10日、FRB利下げで年末相場は天国か地獄か?  天下分け目の12月10日であ…
  6. ■AI・データセンター需要拡大に対応、測定能力は従来比最大2倍  リガク・ホールディングス<268…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る