【アナリスト水田雅展の銘柄分析】ストリームは幹細胞コスメ発売を材料視して急反発

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 家電やパソコンなどのネット通販サイトを運営するストリーム<3071>(東マ)の株価は、高値圏500円近辺でのモミ合いから11月中旬に下放れの形となって11月20日の218円まで急落した。ただし12月1日発表の幹細胞コスメ発売を材料視して、12月2日にはストップ高の319円まで急反発した。目先的には乱高下の可能性だが、収益改善基調を評価して高値圏回帰の展開だろう。なお12月8日に今期(15年1月期)第3四半期累計(2月~10月)の業績発表を予定している。

 家電製品、パソコン、デジタルカメラなどを販売するネット通販サイト「ECカレント」「イーベスト」「特価COM」の運営を主力として、14年2月には扶桑化学工業<4368>から化粧品・健康食品の無店舗販売を展開するエックスワンの株式80%を取得して連結子会社化した。

 また14年1月に子会社の中国・上海ストリームの出資持分全部を譲渡した一方で、他社のネット通販を支援するネット通販支援事業(ECサイト運営業務代行サービス)や、アライアンス戦略によるオンラインゲーム事業も強化している

 オンラインゲーム事業関連では14年6月に中国のネットサービス企業集団5173.Comとソーシャルゲームおよびeコマースに関して業務提携し、8月に中国ネットゲーム事業の第1弾としてスマホ専用ゲーム「三国志戦姫」についてDMM.comラボとゲームソフトウェアライセンス契約を締結し、5173.Comを通じて中国向けに独占配信すると発表した。そして11月12日には5173.Comの子会社Licheng(H.K.)Technology Holdings Limited(投資事業および5173グループの中国におけるゲーム事業の統括会社で、14年9月に当社発行の第6回新株予約権を行使して当社の筆頭株主となった)と共同出資による新会社を設立すると発表した。中国製ゲームタイトルの日本への導入・マーケティングを展開する。

 また14年9月にラオックス<8202>と提携し、子会社エックスワンのコスメティック関連商品をラオックスの免税店で販売開始した。また11月にはエックスワンがダイエットサプリメントを発売した。さらに12月1日にはエックスワンが幹細胞コスメ「XLUXES(エックスリュークス)」を発売した。最先端の再生医療技術を美容分野に応用した製品で、ヒトの脂肪細胞から取り出した幹細胞を培養した「ヒト幹細胞培養液」を直接肌に浸透させ、老化によって衰えた組織の再生機能を促進させる美容液としている。

 今期(15年1月期)の連結業績見通しは前回予想(3月12日公表)を据え置いて、売上高が前期比23.7%増の206億46百万円、営業利益が3億79百万円(前期は1億63百万円の赤字)、経常利益が3億72百万円(同1億19百万円の赤字)、純利益が2億86百万円(同84百万円の赤字)の黒字化としている。

 第2四半期累計(2月~7月)は、家電や周辺機器・デジタルカメラなど主要商品群の販売が大幅に増加して前年同期比47.8%増収となり、売上総利益率も改善して営業利益、経常利益、純利益とも黒字化した。純利益はエックスワン子会社化に伴う負ののれん発生益も寄与した。

 通期ベースでも増収効果や売上総利益率改善で好業績が期待される。ネット通販事業では販売促進策の強化、薄型テレビの大型画面化に伴う単価上昇、4K対応テレビへの関心の高まりに加えて、市場価格に迅速に対応できるシステム構築、仕入先とのデータ連携強化による取扱アイテム数の増加、販売効率の向上、販売価格の適正化と粗利益の確保、販管費圧縮などの施策を強化して収益は改善基調である。エックスワンでは第3四半期(8月~10月)に会員からの年間更新料収入が発生することも寄与するようだ。

 なお14年8月1日付の株式5分割に伴って株主優待制度の一部変更を発表している。決算期末(1月31日)現在100株以上~2500株未満所有株主に対して優待割引券1枚(1000円相当)、2500株以上~5000株未満所有株主に対して優待割引券3枚(3000円相当)、5000株以上所有株主に対して優待割引券5枚(5000円相当)を贈呈する。

 株価の動き(14年2月1日付で株式100分割、14年8月1日付で株式5分割)を見ると、9月24日高値540円まで急伸し、その後は500円を挟むレンジでモミ合う展開だったが、11月中旬にモミ合いから下放れの形となって11月20日の218円まで急落した。ただし12月1日発表の子会社エックスワンによる幹細胞コスメ発売を材料視して、12月2日にはストップ高の319円まで急反発した。

 12月2日の終値319円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS12円19銭で算出)は26~27倍近辺、実績PBR(前期実績に株式5分割を考慮した連結BPS32円45銭で算出)は9.8倍近辺である。週足チャートで見ると大陰線を引いて急落したが、52週移動平均線近辺から急反発の形となった。目先的には乱高下の可能性だが、収益改善基調を評価して高値圏回帰の展開だろう。

>>ストリームのMedia-IR企業情報

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■グローバルモデルに匹敵する日本語対応の高性能生成AIを4月から順次提供  ELYZAとKDDI<…
  2. ■優勝への軌跡と名将の言葉  学研ホールディングス<9470>(東証プライム)は3月14日、阪神タ…
  3. ■新たな映画プロジェクトを発表  任天堂は3月10日、イルミネーション(本社:米国カリフォルニア州…
2024年4月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ピックアップ記事

  1. ■金先物と原油価格、史上最高値に迫る―地政学リスクが市場に与える影響  今週のコラムは、異例中の異…
  2. ■「虎」と「狼」の挟撃を振り切り地政学リスク関連株で「ピンチはチャンス」に再度トライ  東京市場は…
  3. ■海運株と防衛関連株、原油価格の動向に注目集まる  地政学リスクによる市場の不安定さが増す中、安全…
  4. ■中東緊張と市場動向:投資家の選択は?  「遠い戦争は買い」とするのが、投資セオリーとされてきた。…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る