ANAPの17年8月期はインターネット販売が増え、上場後初の黒字決算となる

■今期18年8月期も増収増益を見込む

 若い女性向け衣料・雑貨『ANAP』を展開するANAP<3189>(JQS)の17年8月期は、インターネット販売が増える一方、不採算店舗の退店が進み、人件費、地代家賃の削減等もあり、大幅増益で上場後初の黒字転換となった。

 上場後3期連続で、不採算店舗が増えたこともあり、赤字決算が続いた。そこで、各セグメント別の対応方針を進めた結果、事業再建が軌道に乗り17年8月期で黒字転換となった。

 インターネット販売は、自社サイト、他社サイト共に好調で、インターネット販売は3億28百万円(16年8月期比9.0%増)となり、売上高構成比率が58%となった。

 不振の一因であった不採算店舗については、10店舗退店したことで、人件費、地代家賃が合わせて約2億60百万円減少した。その結果、粗利率は52.2%から54.9%と2.7ポイント改善した。

 17年8月期業績は、売上高68億45百万円(16年8月期比3.3%減)、営業利益2億02百万円(16年8月期△60百万円)、経常利益2億01百万円(同△68百万円)、純利益1億87百万円(同△20百万円)となった。

 今期は、これまでの方針を継続する一方で、これまでの春夏利益偏重型から秋冬も利益を伸ばすため、AW(オータム、ウィンター)プロジェクトを推進している。既に、その効果が表れ、9月、10月の売上は好調に推移している。

 また、好調に推移しているインターネット販売についても自社サイトの再強化を進めることで、EC比率を現在の58%から80%にする計画。その一つとして、アプリのUI(ユーザーインターフェース)改善を進めている。

 さらに、AIを活用し、社内の効率化を促進し、販売機会の喪失を抑制するサービスの提供を行う。そのため、既に、AIパッケージ開発等を行うGAUSSと共同でAIシステムの開発を行う子会社を9月に設立した。現在、自動でタグを付けるオートタグのシステムを開発中で、これが完成すると、これまでタグ付けにかかっていた時間を年間で約1500時間削減できることになる。

 このような取組を進めることで、今期18年8月期業績予想は、売上高69億13百万円(前期比1.0%増)、営業利益2億50百万円(同23.3%増)、経常利益2億47百万円(同22.7%増)、純利益2億17百万円(同15.9%増)と増収増益を見込む。

 余談ながら、インフォコム<4348>(JQS)は既に、コミックに関して、AIを使ったタグ付けを実施し、タグ付の時間短縮を実現すると共に、電子コミックの売上を伸ばしていることから、同社の取組は業績に大きな効果をもたらすものと思われる。

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