神鋼商事は売り一巡して戻り歩調、18年3月期通期予想据え置き

 神鋼商事<8075>(東1)は鉄鋼や非鉄金属関連の専門商社で、KOBELCO(神戸製鋼グループ)の中核となるグローバル商社を目指している。18年3月期第2四半期累計は7月の増額修正値を上回る大幅増収増益だった。通期予想は神戸製鋼所の製品データ改ざん問題の影響を見通すことが難しいとして、従来予想(2桁増収増益予想)を据え置いた。ただし第2四半期累計の進捗率は高水準である。株価は売り一巡して戻り歩調だ。

■KOBELCO(神戸製鋼グループ)の中核商社

 神戸製鋼所<5406>系で鉄鋼製品、鉄鋼原料、非鉄金属、機械・情報、溶接材料・機器などを扱う専門商社である。M&Aも積極活用し、KOBELCO(神戸製鋼グループ)の中核となるグローバル商社を目指している。

 17年3月期セグメント別(連結調整前)の売上高構成比は鉄鋼35%、鉄鋼原料28%、非鉄金属25%、機械・情報8%、溶材5%、経常利益構成比は鉄鋼52%、鉄鋼原料13%、非鉄金属19%、機械・情報12%、溶材4%だった。

 中期経営計画の目標値には21年3月期売上高8900億円、経常利益80億円、純利益52億円、海外取引比率50%、自己資本比率20%以上、ROE8%以上、D/Eレシオ1.0倍、投資計画4年間合計300億円などを掲げている。

■18年3月期2Q累計は計画超の大幅増収増益

 10月31日発表した今期(18年3月期)第2四半期累計(4~9月)連結業績(7月31日に増額修正)は、売上高が前年同期比28.9%増の4616億29百万円、営業利益が94.2%増の36億25百万円、経常利益が88.8%増の41億21百万円、純利益が87.7%増の28億54百万円だった。鉄鋼、鉄鋼原料、非鉄金属における主力製品の取扱数量増加や価格上昇効果で、7月31日の増額修正値を上回る大幅増収増益だった。

 セグメント別経常利益(連結調整前)は鉄鋼が51.2%増の19億67百万円、鉄鋼原料が61.4%増の5億59百万円、非鉄金属が66.4%増の11億66百万円、機械・情報が1億57百万円の黒字(前年同期は48百万円の赤字)だった。溶材は71.0%減の57百万円だった。

■18年3月期通期予想は据え置き

 今期(18年3月期)連結業績予想(4月28日公表)は、売上高が前期(17年3月期)比10.5%増の8500億円、営業利益が10.0%増の53億円、経常利益が10.5%増の58億円、純利益が24.6%増の37億円としている。

 神戸製鋼所の製品データ改ざん問題の影響を見通すことが難しいとして、従来予想を据え置いた。ただし当社顧客との関係においては、現時点では、商品回収要求など取引への大きな影響は出ていないとしている。通期予想に対する第2四半期累計の進捗率は売上高が54.3%、営業利益が68.4%、経常利益が71.1%、純利益が77.1%と高水準である。

 なお配当予想も据え置いて、年間90円(第2四半期末45円、期末45円)としている。16年10月1日付の株式併合(10株を1株に併合)を考慮して前期を年間100円に換算すると10円減配となる。また予想配当性向は21.5%である。

■株価は売り一巡して戻り歩調

 株価は神戸製鋼所の製品データ改ざん問題を嫌気して07年来高値圏3900円近辺から急反落した。ただし10月19日の直近安値2756円から切り返し、11月8日には3440円まで上伸した。売り一巡して戻り歩調だ。

 11月9日の終値3415円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS417円85銭で算出)は8~9倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間90円で算出)は2.6%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS5112円18銭で算出)は0.7倍近辺である。時価総額は約303億円である。

 週足チャートで見ると52週移動平均線近辺から切り返し、素早く26週移動平均線を回復した。サポートラインを確認した形だ。戻りを試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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